ミュージカル『アップル・ツリー』 新人演出家・城田優と精鋭キャストに密着連載！ 「顔合わせから舞台が作りあがるまで」 連載第６回　歌稽古 ～きらきら光る才能がずらり!!～

ミュージカル『アップル・ツリー』
新人演出家・城田優と精鋭キャストに密着連載！
「顔合わせから舞台が作りあがるまで」

連載第６回
歌稽古
～きらきら光る才能がずらり!!～

映画・ドラマなど映像作品で活躍するのみならず、ミュージカル『エリザベート』でのトート役、『ロミオ＆ジュリエット』『ファントム』等で主演をつとめ、ミュージカル俳優としても高い評価を得ている俳優、城田優が、「全身全霊で取り組む」と宣言し、演出を手掛けるミュージカル『アップル・ツリー』。

この作品が作られていく様子を片隅から見守り、城田優とキャスト＆スタッフの熱量をお届けしようと始まった連載も、第６回となりました。

これまでに
第１回　初顔合わせ　
第２回　配役オーデション　
第３回　城田流　筋トレ！
第４回　本読み
第５回　最後のワークショップ
とお伝えしてきました。

今回は歌稽古の様子…アダムとWキャストのイヴの3人が行った第1幕の歌稽古と、全員参加で行われた第2幕の歌稽古、2回分をお伝えします。

歌稽古の初日は･･･
第1幕でイヴをWキャストで演じる関谷春子さんと和田清香さんが、音楽監督・演出助手の西野誠さんとレッスン中のところにお邪魔しました！
 

関谷さんと和田さんは、川崎龍さんが演奏し、西野さんが歌ったデモテープを聞いてからレッスンに参加している様子。
デモの音源が時折流れていましたが、数々の舞台で歌唱指導もされている西野さんの声は、優しい広がりのある素敵な声。そして、いつの間にかゆらゆらと体を揺すってしまうようなリズムと美しいメロディの『アップル・ツリー』1幕の楽曲です。

関谷さんと和田さんは、あらかじめ台本と楽譜、そしてデモテープを自分なりに研究して参加。音楽用語が多く飛び交い、分からない部分もたくさんあったのですが、どうやら言葉の1音、１音の発音の仕方、アクセントの置き場所、リズムや見逃しやすい微妙な音程の箇所など…細かな部分を丁寧に確認しているようでした。

関谷さんや和田さんからも次々に西野さんに質問し、意見交換を交えながら、西野さんはその質問に答えていきます。
西野さんが持ち帰り再検討するものもあれば、いくつかは「演出と兼ね合わせて考えよう」ということで宿題になる点もありましたが、ほとんどがこの場で解決されていきます。

おふたりの楽譜は、書きこみがいっぱいになったはず。
観客としてはさらっと聞いてしまう台詞や歌詞ですが、こんなにも細やかな心配りがされていたのかと、改めてミュージカル作りの大変さを感じました。

そして1幕最後まで確認すると「では、歌ってみましょう！」と、もうソロで歌って下さいました。

 和田清香さん

 関谷春子さん

城田さんが「聞いていて心地の良い声を重視して選んだキャスト」というのも納得!！おふたりとも透き通った、のびやかな歌声。第1幕の美しいメロディに乗ると、本当に心地よく、心も舞い上がる感じがします。皆さん、期待して下さいね。

そして、おふたりは個性も違い、声の色合いも違うようです。きっとWキャストの両方のイヴが観たくなりますよ！

次に登場されたのは、岸祐二さん。

このスタイルでレッスン開始です。と云っても、取り上げたポイントはほんの3か所。歌詞の中の１つの単語について意識を確認し、1か所のリズムと歌詞のタイミングを確認、もう1か所メロディを確認。一度さらっと歌って再確認した後、ソロで歌って頂きました。深みのあるつややかな声に聴きほれました！

そして、2週間後の4月下旬、全員そろっての歌稽古があると聞いて訪ねました。
キャスト全員と西野さん、ピアノの川﨑さんも揃い、川﨑さんの生演奏での歌稽古です。

見学したのは2幕途中から。
楽曲が1幕とは全く違うイメージで、王女を演じる豊原江理佳さんのソロ曲は、なんとブルース！
西野さん曰く「テクニックを活かして聞かせるソロ曲」だそう。そしてそれを歌う豊原さんの声に、どこまでものびていけそうなパワーを感じました。

王女に愛されるのは上野さん演じるサンジャー大佐。心に響く歌声で、悲壮感が迫ってきます。上野さん演じる悲恋のヒーロー…想像が膨らみます。

さらに、2幕には力強く気持ちいい、弾むようなコーラスがあり、ワクワク、ドキドキ、ハラハラを盛り上げます。この日以降、このメロディが私の頭の中をグルグル!!　キャッチ-で忘れられない楽曲揃いです。

キャストからも続々質問がでます。

小山侑紀さんも質問していました。

「英語の元の歌詞の響きとリズムを考慮した日本語の歌詞の歌い方」や、例えば「命」という言葉の「ち」という1音の出し方など、西野さんがポイントを挙げて一緒に考えつつ歌っていきます。

とても細やかに神経を使って歌って大変なはずですが、皆さんとても楽しそうです。

全体の稽古終了後、15分ほど西野さんから杉浦奎介さんへ「ミュージカルの歌い方」についてアドバイスがありました。杉浦さんは1幕ではキーパーソンとなる「ヘビ」、2幕では狂言まわしの吟遊詩人という重要な役を演じます。

杉浦さんのソロは、さすが声楽専攻の大学院生。聞き惚れました!! 皆さんにも早くお聞かせしたいです。

【密着後記】
『アップル・ツリー』の歌稽古は、色とりどりの宝石がずらりと並んだイメージ。
キャストの皆さん、西野さん、川﨑さん…、キラキラした音楽の才能があふれ、こぼれている感じ。その歌声にうっとりと聞き惚れ、素敵な時間を過ごさせて頂きました。

そして、「アップル・ツリー」の楽曲のバラエティにも驚き、楽しさに魅了されました。私もコーラス曲を口ずさみながら帰路についたほどです。

素人耳（?!）には「もう完璧！」「これ以上、何をすることがあるの?!」と感じた皆さんの歌声ですが、西野さんは「これから歌い込みます」とおっしゃっていました。1月後にはどんな歌声になっているのでしょうか。聞き逃せないです！

次回はいよいよ…本稽古が始まります！
まず、稽古場にスタッフ＆キャストが大集合し顔合せ。それから本格的な稽古が始まります。

Astageの密着はまだ続きます。また読んで下さいね！