ストリートダンスから派生し、現在ではストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させ、海外の演劇祭に招待されるなど、国内外から注目を集めているDAZZLE。
活動19年目を迎える今年、歌舞伎という枠を超え、演出家としても数々の功績を収める坂東玉三郎のダンス初演出を受けた。その『バラーレ』の公開ゲネプロが3月6日(金)赤坂ACT シアターにて行われた。
イタリア語で「踊る」という意味の『バラーレ』。
これまで独自の音楽や特別な舞台装置を使って作品を上演してきたDAZZLE が、既存のクラシック音楽に乗って、身体ひとつで「踊る」ことを表現したら、どのようなものになるのか…。
更なる境地の流麗な舞台を目指し、1年あまりの稽古を重ねてきた。
公演の演目はストラヴィンスキーの「春の祭典」、マーラーの「交響曲第4番」の3楽章、アストル・ピアソラ他による「タンゴ・アルゼンチーノ」で構成されている。
ストラヴィンスキーの「春の祭典」はこれまでも、モーリス・ベジャールやピナ・バウシュ、マーサ・グレアムというダンス界ではあまりにも有名な巨匠たちによって演出、振付されてきた作品であるが、今回DAZZLEはこの複雑なリズムの曲をときにストリートダンスの色を出しながら、32分を踊りきった。個々が内面に向かいながら、この複雑なリズムの中、いったいどれだけの稽古を繰り返してきたのだろうか。そのユニゾンの正確さには驚嘆させられる。
マーラーの「交響曲第4番」の3楽章は「春の祭典」の力強い踊りから、一転やわらかな動き、表現でみせる舞台となっており、ストリートダンスから派生しているとは思えない滑らかな動きで身体から動きの軌跡が見え、曲の美しさと一体化していた。
演目の3つ目「タンゴ・アルゼンチーノ」は世界中で公演され、日本にアルゼンチンタンゴを広めることとなったアルゼンチンタンゴのショーだが、今回はその中から坂東玉三郎が曲を抜粋している。先の2演目とは違い、ヘアスタイルまでビシッと決めた黒づくめのダンサーたちが、一糸乱れぬ動きや個々のモチーフをみせる。ドラマチックな曲にキレよく進む踊りに引き込まれる舞台だった。
また、今回『バラーレ』は9名のDAZZLEメンバーだけでなく、アンサンブルとして新体操で鍛え抜かれた身体を特技とする新進気鋭のグループ「BLUE TOKYO」、青森大学新体操部、BROADWAY DANCE CENTER のダンサーたちも参加している。
ほとんどの振付をおこなった主宰の長谷川達也は坂東玉三郎から一人称で踊るストリートダンスから「もっと大きなものに対して踊ってみたらどうか」という提案があり、外に向かって、お客様と対話するような感覚で踊る“二人称”や思考を非現実的空間にまで広げることを学んだと話す。これまでと違う大きさが実際にあらわれていた舞台だった。
2015年3月7日(土)に初日を迎えた『バラーレ』は3月15日(日)まで赤坂ACT シアターにて上演される。
airweave presents 『バラーレ』
演出:坂東玉三郎
振付:長谷川達也
出演:DAZZLE
長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治
飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文、宮田祐也
アンサンブル BLUE TOKYO 他
公演日程:2015年3月7日(土)~15日(日)
会場:赤坂ACT シアター
料金:S席 8,500円 A席 6,000円 U-22 3,000円
(全席指定・税込・未就学者児童入場不可)
お問い合わせ:チケットスペース 03-3234-9999
特別協賛:株式会社エアウェーブ
制作:松竹
主催:TBS/TBSラジオ