アジアのミュージカルを盛り上げている韓国。オリジナルミュージカル創作も盛んで、本作は30代の女性が1人で作・音楽・演出を手掛けたヒット作。
日本初演は2014年。出演者は5名のみという濃密な舞台作品で、日本でも高い評価と人気を獲得しての再演となった。
今回の新たな目玉は、舞台初出演となる中川翔子。前回から引き続き出演する4人と中川が生み出す新たな『ブラック メリーポピンズ』とは…。
【囲み会見】
左から 上山竜治、小西遼生、中川翔子、一路真輝、良知真治
「葛藤しながらアンナを想い続ける次男ヘルマン」を演じ、中川翔子と歌も一緒に歌うという上山竜治。「(中川が)本当にきれいな声で、毎日ドキドキしながらやらせて頂いています」
長男ハンス役の小西遼生は「前回とは兄弟関係が変わっていて、1から新しいものを作っている感覚」。
「一路真輝さん、優しいイケメンの兄弟に囲まれて、みなさんの優しさに感謝感動しながら、稽古でボコボコにして頂いて、魂全裸で挑む勢いです」と言う妹アンナ役の中川翔子。
「再演ではあるけれども、中川さんが加わってとてもフレッシュに仕上がった」と一路真輝。
「一番下の子ども役」「お姉ちゃんを支えるところは支えていきたい」と良知真治。
小西から「かわいい妹過ぎる」と言われ、上山から「中川が人見知りで最初は目が合わなかった。最近やっとコミニュケーションとれるようになった」と曝露された中川は、「人生、中野に引きこもっていたけれど、コミニュケーションを良いですね。中川翔子を捨ててアンナとして生きてやろうと発奮しております」「レベル31、フィーバー状態です」と生き生きとした表情をのぞかせた。
一路は「子供時代の発散しているアンナちゃんがすごくかわいい」。 見どころとなりそうだ。
[物語]
1920年代、ドイツの著名な心理学者グラチェン・シュワルツ博士の屋敷で火事が起こった。この火事によって、屋敷及び博士の遺体さえも燃え尽きた。この事件は大きなニュースとなったが、何より人々の興味を引いたのは、シュワルツ邸の家庭教師メリー・シュミットが、業火の中自らは火傷を負いながらも、博士の4人の養子達、ハンス、ヘルマン、ヨナス、アンナを劇的に救出したということだ った。 しかし、翌日メリーは失踪。 残された子供達は、事件の衝撃かその晩の事を何も憶えておらず、火災の原因はわからずまま闇に葬られた。ところが次第に、メリーのアリバイが疑われる証言が出始め、彼女は容疑者として追われることとなる。 それから12年。いつしか事件は忘れ去られ、4人の子供達はそれぞれ違う家庭の養子となり新しい人生を送っていた。しかしそんなある日、彼らに、グラチェン博士の手帳が届く。そこには事件の真相が・・・。 封印されていた、パンドラの箱が開けられた時、4人が見たものは・・・。
【ゲネプロ】
グラチェン・シュワルツ博士の屋敷 スリルとサスペンスを感じさせるオープニング…
幸せな子供時代。はつらつとした姿と
大人になって、思い出せない過去に苦しむ姿。
キャストは2つの時代の明暗を瞬時に演じ分け、物語が進む。
中川は静かでおとなしい大人と、溌剌と元気な子供のアンナを見せる。特に子供時代に炸裂させるパワーは圧倒的。
しっかりと聞かせる歌声は、他キャストも太鼓判の美しさ!とてもミュージカル初出演とは思えない!
日本演出らしい繊細さも、再構築された物語の展開も、そして俳優陣の魅力もさらに磨かれて、4人の兄弟の個性がくっきりと浮かび上がり、ミステリーとしてもいっそう面白くなった今回の再演。
初演で読売演劇大賞最優秀スタッフ賞を受賞した舞台美術はシンプルで美しく、推理を盛り上げるマジックにを一層盛り上げる。
客席でしか感じられない、今と12年前を行き来しする、このハラハラドキドキ。
韓国のファンにも、是非観てもらいたい日本版ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』となった。
韓国発心理スリラーミュージカル 「ブラック メリーポピンズ」
脚本・作詞・音楽:ソ・ユンミ
演出:鈴木裕美
上演台本:田村孝裕
訳詞:高橋亜子
出演:中川翔子 小西遼生 良知真次 上山竜治 一路真輝
○東京公演 2016年5月14日(土)~5月29日(日) 世田谷パブリックシアター
○兵庫公演 2016年6月3日(金)~6月5日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
○福岡公演 2016年6月9日(木) 福岡市民会館
○名古屋公演 2016年6月17日(金) 愛知県芸術劇場 大ホール
公式サイト(海外からもチケット購入が可能) http://m-bmp2.com