「まるで、そっくり同じ洋館が近付いてきている感じだ」
「おい、向こうの洋館の中を見ろ……俺達もいるぞ!」
・・・・霧に包まれた孤島でくりひろげられるホラーコメディ・・・・
チラシの文句を見ただけでワクワクしてしまう舞台『ブロッケンの妖怪』に、新進気鋭の俳優、大貫勇輔が出演する。
大貫勇輔は『ロミオ&ジュリエット』の死のダンサー役で一躍注目を集め、ダンサーとして世界的な活動を続ける一方、2012年にはミュージカル『キャバレー』に出演。その後『ピーターパン』の最年少フック船長に抜擢されるなど、ミュージカル俳優としても活躍。今年は「セカンド・ラブ」(テレビ朝日)でドラマデビュー、『アドルフに告ぐ』でストレートプレイに初挑戦。
そんな躍進めざましい大貫勇輔が、竹中直人、生瀬勝久ら芝居達者の揃う舞台『ブロッケンの妖怪』に出演すると聞き、稽古場を訪ねた。
―本作への出演が決まった時の感想は如何でした?
実はオーデションの話を頂いて「是非、受けたいです!」と受けさせて頂きました。決まった時は、すごく嬉しかったです!
―勝ち取った役ということで、どんな部分を期待されていると思われますか?
やはりダンスは大きな理由の一つだったと思います。今回も少し舞うというか、踊ると言うか…動く部分があるので、そういうところを活かそうと、面白いと思っていただけたのかなと思っています。
―すでにお稽古も随分してこられたと思いますが、素敵なキャストのみなさんのイメージは最初から変わってないですか?意外な発見など、ありましたか?
まず、高橋さんが実際にお会いしてとにかくキレイな方でびっくりしました!そして竹中さんも生瀬さんも本当に親切で優しい方です。生瀬さんは、いつも冗談を言っては場を明るくしてくださって、竹中さんはずっと台本をかぶりつくように見ていらっしゃる。僕の中でのお二人のイメージは逆だったのですが…。
生瀬さんは気軽に声をかけて下さる方で、すごくうれしいです。竹中さんは稽古中とそうでない時と切り替えをきっちりされているなと思っています。よく飲みに連れて行って頂いて、面白い話を聞かせて頂いています。
意外だったのは、今回初舞台となる佐々木希さんはちょっと澄ました感じなのかと思っていたのですが、すごく謙虚!年上だから「いい子」なんて言ってはいけないのですが、本当に素敵な方で、びっくりしました。安藤さんは僕が大好きなポツドールの三浦大輔さんのところでずっとやっておられたと聞いて、三浦さんという共通項があったので、すぐ仲良くなれました。
―台本を拝見したのですが、出演者全員が謎めいて…。
脚本を初めて読んだ時、1回読んだだけでは内容がつかめなかったです。観る方も1回観ただけでは、全部をちゃんと分かるのは難しいかもしれないですね。
(作・演出の)倉持裕さんは不条理劇を創ることで有名ですよね。そういう面と、裏にはきちんとしたストーリーが細かく決まっている面とがあるのです。先にクリアにしておかなければ芝居が面白くないという部分はクリアにする。でもお客さんにゆだねる部分…にごしておく部分とのバランスがすごく面白いのです。
最初は何が何だか分からないところから始まりますが、少しずつ分かっていく。分かっていく気持ちよさと、分からないから早く知りたいというジリジリした感じのバランスが最高です。
―大きなカンパニーでなく、出演者はこの7名だけのようですが、まとまっている感じなのでしょうか?
みなさん、すごくストイックです。いい意味で緊張感がありますね。力を抜いて良い時には抜いていますが、だからといって「わ~っ」と騒々しくはならない。刺激をもらえる稽古場だと感じています。
―お稽古は如何ですか?
僕が前回出演したのは、栗山民也さん演出の第二次大戦下のストイックな話(『アドルフに告ぐ』)だったので、笑える部分を僕の中に求められていなかったのです。今回はホラーコメディということで、自分にとっては全てが新しくて、挑戦という感じがしています。
毎日の稽古場でも、倉持さんはあまり説明をしてくれません。淡々と「じゃ、もう1回やってみようか」と1つのシーンを何回も何回もやるのです。倉持さんは俳優が考えたものの中から「それはやめてみようか」とか「その時にはそこに立っていてみようか」と良いものをピックアップしていく。そうしたやり方も初めてで、最初は不安でたまらなかったです。必死に考える…出された情報を自分がどういうふうにキャッチするかで、答えが変わる…居るべき場所が…反応が変わるので、できるだけ純粋に、あまり考えすぎてもいけないと思って、稽古場だけにグッと集中して、この2週間を過ごしています。
―それはダンサーの大貫さんとは違う、新しい何かが生まれてきている感じでしょうか?
全く新たな挑戦ですね。ただ何が新しくて、何が前からある自分なのか、境目が分からなくなってきています。でも間違いなく、今まで見たことのない自分…なのかなぁ~。
芝居をしていると「ここは自分と似ているな」という部分と「ここは自分の中にはないな」という感覚と、両方が混在しています。ただ「自分にはない」と思っていた部分も、見せていないだけで実はあるのかな…と、芝居をしながら思っています。
毎日稽古場で稲井貴一になって、毎日新しい発見があります。1人の人間を演じる…人生を生きるということが如何に難しくて、如何に面白いか…この現場ですごく感じていますね。
―それは役者に、役者の面白さにはまっているということですか?
はまっています。すごくはまっています!
僕はこれまでは「これだ!」というものを見つけないと絶対に舞台には立てなかったんです。『アドルフに告ぐ』の時は、本多芳男という役でしたが、彼はこういう人だ、このセリフの時はこういう気持ちだと思ってやっていました。
今回はいかにこうだと決めつけてしまわないようにするか、自分を不安な状態でいさせるか…というところがポイント、課題だと思っています。台詞のことを考えないで、本当にその場でふっと自然にでた感覚で台詞も言えるようにできたらいいなぁと思っています。
―舞台の上で生身ですか?
生瀬さん、竹中さん、田口さんは舞台の上でそういう感じなんです。「あんな風に芝居したいなぁ」とすごく思っています。
でもいろんな俳優がいて、演出家がいるので、今回はたぶん、そういうことなのかなぁと自分なりに考えてやっています。それが合っているのか…わかりませんし、正解ってひとつもないのかもしれませんが…。
―今回はホラーでコメディ・・・?
僕もホラーと聞くと怪しい雰囲気だったり、コメディはおちゃらけたり、コント風なのかと思っていたら、そういうことではないんですよ。意図してないけど面白い瞬間、笑わせようと思っていないのに、つい笑ってしまうことってありますよね。ティシュを取って欲しかったのに携帯を手渡されたら「違うわ!」とクスッとなる。そんな上手くかみ合わなかったりしたときに出る笑いの連続なのです。
台本を読んだ時に、もう一つ感じたことは、俳優に託した部分が多い。俳優次第で何倍にも面白くなる。ごく普通の会話なのに、心地いいリズムと呼吸…間というのかな…と声の高さによって、ついクスクス笑ってしまうものが生まれる。竹中さんと生瀬さんのお二人はそういう場面の連続です。
僕もホラーだ、コメディだと意識しないでやることがポイントなのかと思っています。
観に来て下さる方も、先入観を持たずに来て下さった方が楽しめると思います。
―生だからこそ感じられる間合いや空気感を楽しむことができそうですね。
そうですね。それに映像との絡みが重要なのですが、そこは稽古ではまだよく分かっていなくて、僕らも楽しみにしている部分です。
―『ブロッケンの妖怪』で、大貫勇輔のどこを見てもらいたいですか?
う~ん…、僕というよりもこの作品を見て欲しいです。作品の味わい深さを純粋に楽しんで頂きたいですね。
―さて、最後に…、今の大貫さんが目指しておられるところは?
僕は今「俳優になりたい」という気持ちが一番強いです。ダンスはもう自分にとってなくてはならないもの…というか、生活の一部になってしまっているので、ダンスのことは、あまり考えていないです。今は「俳優になりたい」。そのひとことです。俳優に憧れています。
―どんな俳優になりたいのですか?
好きな俳優さんはいっぱいいますが、自分自身で見つけたいなぁと思っています。生瀬さんや竹中さんを見ていると、自分というものをすごく持っていらっしゃる。ダンスなら大貫勇輔というものを僕はわかっているのですが…。大貫勇輔という俳優を見つけたい…。歌も勉強しています。歌は長くちゃんとやり続けないと良くならないものですから…。歌も好きなので、歌は練習をずっと続けて、踊りは生活の中に入れつつ、俳優になりたい!今、それが僕の軸にあります!
大貫勇輔 (おおぬき ゆうすけ)
神奈川県出身。7 歳から母親のもとでダンスを始め、17 歳よりプロダンサーとして数々の作品に出演。11 年ミュージカル『ロミオとジュリエット』で小池修一郎氏に見いだされ、12 年にはミュージカル『キャバレー』にも出演。13 年イスラエルで最も注目を集めるアーティストのインバル・ピント氏に見初められ『100 万回生きたねこ』に出演。『マシュー・ボーンのドリアン・グレイ』の主役も務めた。
14 年にはラスタ・トーマス氏率いるBODBOYS に参加し世界デビュー。15 年は「セカンド・ラブ」(テレビ朝日)でドラマデビューし、『アドルフに告ぐ』では初となるストレートプレイに挑み、直近ではミュージカル『ピーターパン』、ダンスと音楽の饗宴『Clementia』に出演。
<公演概要> 『ブロッケンの妖怪』
作・演出: 倉持 裕
出演: 竹中直人 生瀬勝久 佐々木希 大貫勇輔 安藤聖 田口浩正 高橋惠子
東京 10/30[金]~11/1[日] シアター1010
広島 11/3[火・祝] 上野学園ホール
大阪 11/5[木]~8[日] サンケイホールブリーゼ
静岡 11/9[月] 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
東京 11/12[木]~29[日] シアタークリエ
名古屋 12/1[火] 中日劇場
福岡 12/3[木] 福岡市民会館
鹿児島 12/5[土] 宝山ホール(鹿児島県文化センター)
鳥取 12/6[日] 鳥取県立倉吉未来中心 大ホール
新潟 12/8[火] りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
栃木 12/12[土] 足利市民会館 大ホール
オフィシャルサイト http://www.tohostage.com/brocken/
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応募方法: Astageアステージ公式Twitterアカウント「@astage_ent」をフォロー&リツートしてくださった方、 Facebookで「いいね」&メッセージを送ってくださった方の中から抽選でプレゼントいたします。(なお、プレゼントの発送先は日本国内に限ります。)
応募の際には、 「大貫勇輔色紙希望」とお書きください。
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■応募締切 11月22日(日) ・
・当選者の発表は、発送(2015年11月25日予定)をもって代えさせていただきます。 当落に関するお問い合わせはお受けできません。
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