『CHESS in Concert』としてすでに2012年、2013年と公演し、高い人気と評価を得た『CHESS』が、ついにミュージカルとしての幕を開けた。
音楽はあのABBAのベニー・アンダーソンとビョルン・ウルヴァ―スが作曲を、「ライオンキング」のティム・ライスが原案・作詞を担当。その素晴らしさを、ついにミュージカルとして楽しめることになった。
9月27日の初日を控え、前日の26日に囲み取材と公開ゲネプロが行われた。
【囲み取材】
白と黒のチェスの世界に相応しい舞台衣装で姿を見せた4人。
左から 田代万里生 石井一孝 安蘭けい 中川晃教
2人のチェスの名手の恋人を演じる安蘭けいは「早く幕が開かないか、早く舞台に立ちたい」「お客さまの反応を頂いて、そこから得る物も多い」と3度目の『CHESS』にも更なる進歩を見せる気概十分。「素晴らしいものができました」と自信をのぞかせた。
やはり3度目のソビエトのチェスプレイヤーを演じる石井一孝は開口一番「稽古場が燃えている!それを早く届けたい」。また「一糸乱れぬ」と島 健のオーケストラを絶賛し、「音を支配して魂を伝えたい」と本作の音楽と芝居の双方の魅力を語った。
音楽の完成度の高さと、それと甘んじることない歌と演技を口にしたのは中川晃教も同じ。「オーケストラの人たちと歩み寄りながら、その音楽に飲み込まれる瞬間も飲みこまれないように抗っている瞬間もギリギリのきわどいところを行き来できる。まさにライブ。ミュージカルの醍醐味を味わえる」と本作の素晴らしさ、オーケストラの見事さを称えた。
今回が初参加となる田代万里生は「『CHESS』みたいなミュージカルが思いつかないという思いがますます強くなった」「スペシャリストの集まりで、この作品が成り立っている」と作品とキャスト・スタッフを絶賛。「『CHESS』の虜になっているので、お客さんも虜にしたい」と見事な話術で舞台の魅力をアピールした。
【公開ゲネプロ】
東西冷戦の時代。
アメリカのチェスの天才、フレディ(中川晃教)は彼のセコンド、フローレンス(安蘭けい)と共に、ソ連のアナトリー(石井一孝)とのチェスの世界一を決めるゲームに向かう。
3人の個性と、その複雑な背景が描かれる中で、政治という大きな影が不気味に舞台を覆う。
そしてそこにクールに登場するアービター(田代万里生)。不思議な輝きと魅力を放つ。
多彩で迫力ある音楽。期待を裏切ることない歌と演技。ミュージカルらしい流れを楽しんでいると、演劇としての思いがけない展開に引き込まれていく。
そして、人生という世にも不思議な物語は、さらに意外な進展を見せる。
イタリアからタイへ、物語の舞台が変わると音楽が変わり、空気が変わる。
楽しみながら、世界や時代を感じ、チェスという競技や自由や権力についても考えさせられてしまう壮大なドラマ『CHESS』。
東京公演は10月12日(月)まで、東京芸術劇場 プレイハウス。
大阪公演は10月19日(月)~25日(日)まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。
ミュージカル『CHESS』
【作曲】ベニー・アンダーソン ビョルン・ウルヴァ―ス 【原案・作詞】ティム・ライス
【演出・訳詩】荻田浩一 【音楽監督】島 健
【出演】安蘭けい 石井一孝 田代万里生 中川晃教(五十音順)
AKANE LIV 戸井勝海 天野朋子 池谷京子 角川裕明 高原紳輔
田村雄一 遠山祐介 ひのあらた 横関咲栄 大野幸人
公式サイト : http://www.chess-musical.jp