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「舞台上で命が燃えている作品」『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ 』取材会 玉野和紀、吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志

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脚本・構成・演出・振付を玉野和紀が担い生み出す怒涛のジェットコースターステージ『CLUB SEVEN ZERO 』シリーズ3作目『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ 』が、2021 年 6 月 6 日(日)~6 月 25 日(金)日比谷シアタークリエにて上演される。

キレキレのダンスオープニングから、個性的なキャラクターが登場してユーモアいっぱいに繰り広げられる“スケッチ“、完成された一つの作品といえるミニミュージカル、そして公演のラストを飾る、70曲あまりを連続で歌いつづる  “50音ヒットメドレー”(以下“50音”)…。2部構成の盛沢山な公演は、多くのファンに熱く愛されてきた。
また同時に、玉野の描く究極のエンターテイメントを実現するため、すべてを振り絞り挑戦する出演者の姿に、多くの観客が笑いと活力をもらってきた。

今回もそんな公演を6月に控えた玉野和紀と、彼が絶大な信頼を寄せるレジェンドメンバー、吉野圭吾、東山義久、西村直人と、前作から続投の大山真志への取材が叶った。
5人に本作への意気込みと、本シリーズへの熱い思いを存分に語ってもらった。

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大山真志  東山義久  玉野和紀  吉野圭吾  西村直人

―振り返って、『CLUB SEVEN』シリーズで苦労した思い出・キャラクターなどを教えて頂けますか?
玉野:僕は脚本を作りあげるまでが毎回大変で、プレッシャーが大きいです。「いかに出演者を光らせるか」「新しいチャレンジもして欲しい」と考えながら、ずっとやってきました。(2003年の『CLUB SEVEN』シリーズ開始から)長くやってきて、“『CLUB SEVEN』は面白いのが当たり前”になって、ハードルもどんどん上がってきた。
マンネリ化しないようにしたいけれど、「待ってました~!」と言ってもらえる良いマンネリもある。少しずつでも「待ってました」と思ってもらえるキャラクターやネタが出来てきたのは嬉しいことですが、「新しいものは、どうする?」と考えるのが、一番苦しい。「もう新しいものは作れないかもしれない」という考えがよぎる時もあり、毎日「どうしよう…」とばかり思っています。
みんなはどう?「これ、ホントにやるの⁈」と思うようなことは、あまり無いのではと思うのだけど…。
東山:僕が苦労したのは、ツタン仮面ですね。(笑)
大山:苦労してないでしょ⁈
東山:いえ、大変でしたよ!みなさんに、そのときの台本をお見せしたいくらいです。「こう出てくる」の後は「×××××××」と書いてあるだけ。「あとはなんとかやって」という感じで。(爆笑)
財宝を探しに来た人に、ツタン仮面の僕が2つの質問を出して、正直に答えてもらうのですが、毎回、違う質問をしようと、ツタン仮面が出る日は、ずっと考え続けて、ギリギリまで練習していました。大変でした。
玉野:最初の台本には、いくつか書いてあったでしょ。
東山:いや・・・、それはつまらなかったんで・・・。(爆笑)
吉野:次回は、そういうところまで、全部玉野さんに書いてもらおうよ!
東山:ですよね!
玉野:僕はそういう毎回違うネタを考えなきゃならない自分のパートが3つくらいあって、本当にいっぱいいっぱいだから!
東山:だから、次回はついでにこっちのも考えて下さい!(笑)

西村:僕は振り付けの速さに苦労したことがあります。動画で見ていたときは「そう速くもないな」と思っていたのに、やってみると速い!何回練習しても追いつかない、振りが出てこない…。大変でした。稽古場でやっと「できた!」と思って、衣装を着けてカツラかぶると、今度はカツラが顔にかぶさってきて…。苦労しました。
玉野:“50音”でのダンスは、いろんな方が作った振り付けだから、クセが強いのもあって難しいんです。みんなが苦労するよね。
西村:振り付けと歌詞を同時に体に入れていくので、余計に大変です。
玉野:直人は某アイドルグループの超高速振り付けの時には、踊るのを止めて動画を撮影していたね。
西村:これはすぐには覚えられないと思ったから。
玉野:でも、さすがに義はばっちり踊れてて。
大山:(笑いながら)この曲のとき、義さんは一か所、タップを踏んで振り付けを誤魔化していましたよね。
東山:そうそう、この曲!
大山:立ち位置がど真ん中だから、義さんだけ(違う振り付けでも)許されてた!
東山:(大きな声で)その節はすみませんでした!(笑)

玉野:圭吾が大変だったことは?
吉野:う~ん…。“50音”の振りで苦労するのは、毎度決まっているようなものですが、2幕冒頭のミニミュージカルにも苦労しますね。短い時間で物語をきちんと完結させるために、毎回、みんなで悩みます。嫌な苦労ではないのですが。
玉野:長いのも大変だけど、短く書くのも難しいね。

大山:僕は、某アニメキャラクターを演じることになっていて、公演直前に「キャラクター名は提示してはいけない。でも、そのキャラクターだとわかってもらいたい」という状況になり、悩みに悩んで、結局「だ~れだ?」と観客に問いかけたことがありました。
全員:(口々に)あったね!一番覚えているよ。(笑)
玉野:そんなギリギリのところでやっているのが『CLUB SEVEN』シリーズですね。
吉野:某有名大ヒットミュージカルの曲でスケッチをやった時は、面白かったなぁ。僕は客席で観ていましたが、すばらしくて、感動しました。
全員:あれは面白かったね。またやりたいね。
西村:大歓声を受けたよ。
玉野:本当にショーストップになって、なかなか次に進めなかった。僕はその作品が大好きだから題材として取り上げさせてもらっているので、そこを理解して、広い心で見て頂けると嬉しいなぁと思っています。そのあたりも、いつもギリギリの挑戦ですね。

東山:それから…、圭吾さんがリハーサルでやることは、かならず本番でもやるんですよ。
玉野:普通は「稽古場ではいろいろと試しにやってみるんだな」と思うでしょ。そしたら、本番でも全部やるんだもの。(笑)
吉野:普通やるでしょ!稽古場でどんどん試して。
玉野:あそこまでやらないよ!でも、そこからブラッシュアップしていくからね。
それに「これは出来ません」というメンバーは一人もいない。だから、みんなに「はい」と台本を渡す時が楽しみでもあります。

―今回の『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』でのみなさんのチャレンジは?
東山:新しいキャラクターを与えられたら、掘っていこうと思います!
西村:頂いたものを、もう一度見たくなって頂けるようなものに仕上げたいと思います!
全員:(うなづく)

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―では、玉野和紀さんにお尋ねします。現時点での『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』の構想について、新たな試みなどがあれば教えてください。
玉野:基本的な構成は、変わりません。内容は毎回新作ですが、今回も新作です。前回のネタの練り直しではなく、ネタ自体を真新しいものへとチャレンジしようと思っています。

―そのネタのちょい出しを、お願いできますか?
西村:ミニミュージカルはどんな話か、決まりましたか?
玉野:決まった。すごく真っ当なミュージカルをやります。今回は「誰も死なないものを書いてみよう」と思っています。それでいてテーマは〈暗殺計画!〉
東山:これまでのミニミュージカルではほぼ毎回、誰か死んでいたよね。
玉野:コロナ禍もあって、今回はハッピーエンドにしたいと思っています。チャレンジです。

―それぞれのキャラクター等は?
玉野:直人はおじいちゃんで、そこでの出演は3人。 圭吾は2つのキャラクター、先生と銅像をやります。
全員:銅像!! (爆笑)大変だ!稽古場がストップする!
玉野:義は鳥役を2つ。
東山:2羽!難しいでしょ?! スズメと燕と言われても、違いをどうやればいいのか…。
玉野:真志は…子供キャラと…あとはなんだったかなぁ。(笑)

―出演者のみなさまに質問です。やってみたい役やパフォーマンスなどがあれば教えてください。
吉野:(手を挙げて)昆虫!
東山:ミュージカルで?スケッチですか?
吉野:ミュージカルで。(笑)
玉野:真っ当なミュージカルで⁈
吉野:泣けるものを。ミュージカルでなくても、“50音”でなく、せめてスケッチで。
東山:主役は?
吉野:主役は玉野さんが人間の男の子で。
玉野:男の子?
東山:それをやるとしたら、僕は何役?
吉野:カマキリ。
東山:圭吾さんは何?
吉野:芋虫。
全員:デカい芋虫だよ!(笑)
吉野:直ちゃんは何がいい?
西村:バッタ!でも飛ぶから疲れそうだな。バッタは義みたいな人の役だな・・・。
東山:真志はカブトムシの雌とか?
西村:角は欲しいなぁ…。
玉野:ダンゴムシとか? (笑) でも、昆虫でミュージカルはできないよ!
東山:ぜったい面白いよ!
吉野:蚊でもミュージカルにできたのだから(できる!)。
玉野:(蚊の家族をやった)あの頃は、ちょっとチャレンジし過ぎたよ~。(笑)

―他にやりたいことは?
東山:はい!『CLUB SEVEN』のダンス・ミュージカルでは、僕は出る度に妖怪やアンドロイド、操り人形のような人間では無い役でしたが、『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』になってからは普通の人間役が多いので、ダンス・ミュージカルがやってみたいです。ちょっと真面目すぎたかな?
玉野:言葉無しの?
東山:言葉は有ってもいいです。僕が素敵だったら。(笑) いや、作品が素敵だったら。
玉野:義はしゃべらない、人間でない方がよかったりもするから。
東山:ヒドイ!
大山:俺は『CLUB SEVEN 10th stage!』の『悪魔の赤い靴』がすごく好きでしたよ。
東山:ああいうのやりたい!5分くらいでもいい。前は10分くらいだったかな?ミニ・ダンス・ミュージカル!
玉野:昔はダンスもよくやっていたね。

東山:他のみなさまからのリクエストは?
西村:(ビジュアル写真の)地球防衛軍ですね。
大山:今回は、地球防衛軍をやるのですか?
西村:楽しみですよね。
玉野:この衣装は、オーダーして作ってしまったからね。
東山:このかっこいい感じで無茶ぶりをやるのでは?
玉野:結局決めるのは、僕なので。(笑)

大山:玉野さんから僕に、デブキャラ以外をくれませんか?
東山:何回も言うけれど、それは枠だから。
玉野:このメンバーの中では、仕方ないよ。
大山:そうなのかなぁ・・・。(納得いかない様子)
玉野:もうちょっと太らないとね。
大山:え~、もう膝が大変なんですよ。
玉野:それでも動けるのが、真志の魅力だから。

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―『CLUB SEVEN ZEROⅢ』を観ようかな…と思っているお客様に、本作の魅力をかみ砕いてわかりやすく教えてください」
大山:僕たち出演者にも、何が出るかわからない、おもちゃ箱のようなところがあって、全力で楽しんでもらえるのが『CLUB SEVEN ZERO 』だと思うので、楽しんで笑顔になって帰っていただけたら嬉しいです。
東山:七人しかいない、七人でショーをつくるということが大きいと思います。僕たちも喜怒哀楽・全部の感情でお届けするので、お客様も同じように楽しみ・笑い・怒り・悲しんだりと、いろんな気持ちになって観てもらえるのではないかなと。そこが『CLUB SEVEN』の一番面白いところだと思います。
西村:僕はおかげ様で(全公演出演しているので)『CLUB SEVEN』を見たことがないのですが(笑)、リピートしたくなる魅力があると思います。ただその魅力が何なのかは、僕は見たことがないのでわからないのですが、ラーメン屋に例えると、おいしいお店はたくさんありますが、「また行きたいな」と思う店は多くない。リピートしたくなる魅力は、手間暇かけて、じっくり作ったスープと麺、具にもこだわる。どれが欠けても成立しない一杯だからです。
そういう一品料理が『CLUB SEVEN』で、そういうものを作っているのだという自信をもって作っています。自信がなくなったときには、店をたたまなきゃいけないと思います。今回も2年かけて出汁を取り、作っていると思うので、おいしい一杯を食べに来てもらいたいと思います。
吉野:こんなにも舞台上で命が燃えている姿を見ることができる作品は、なかなかないのではと思うので、そういう姿を見て頂きたいと思います。
玉野:『CLUB SEVEN』は唯一無二の舞台だと思います。お客様が、日頃ご覧になるミュージカルとは全然違う出演者の姿を見られるというのが魅力です。キャストそれぞれが、自分らしさを出して、自分と役とを行ったり来たりしています。
そして、全部違う個性的なキャラクターばかりを演じるので、「次はどんな顔がみられるのだろう」という楽しさがあります。
何の先入観もなしに楽しんで頂ける、娯楽に徹したショーを作りたいというのが、『CLUB SEVEN』を始めるきっかけだったので、もう何でもありの舞台です。
感情の落差が激しいので、お客様も観ていて疲れるのでしょうね。終演後は、お客様も「お疲れ様でした」と帰って行かれます。(笑)
僕たちも“出演”というよりも“出場“という感じです。みんなが全力を尽くして汗流して、最後に一体となる。こんな作品は他にはありません。
今回は、「コロナをやっつけてやろう」という思いがあって、チラシビジュアルも地球防防衛軍にしました。公演の3時間近くの時間で、一瞬でもいいので、いろんなことを忘れてもらえるような舞台になればと思っています。ぜひ劇場にお越しください。

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『CLUB SEVEN ZEROⅢ』
日時:2021年6月6日(日)~6月25日(金)
会場:日比谷シアタークリエ
脚本・構成・演出・振付:玉野和紀
出演者:玉野和紀、吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志、妃海風、凰稀かなめ
公式サイト: https://www.tohostage.com/club_seven/