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本日初日!藤原竜也&山本裕典 「鱈々」(だらだら)ゲネプロレポート 

藤原竜也&山本裕典が初共演となる舞台 「鱈々」が10月7日、天王洲 銀河劇場で初日の幕を開ける。
前夜にゲネプロが公開された。    (撮影:引地信彦)

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韓国演劇界の重鎮 李康白(イ・カンベク)の原作を栗山民也が演出。
出演者は藤原竜也、山本裕典、中村ゆり、木場勝己の4人のみ。
「鱈々」(だらだら)という不思議な題名を調べてみると原題の「プゴテガリ」は「干し鱈のあたま」という意味だ。

ジャーン(藤原)とキーム(山本)の仕事場兼住居の倉庫が舞台。
35歳になる2人は、長くそこで倉庫番として働き、暮らしてきた。箱を伝票どおりに倉庫に運び入れ、置き、運び出す、単調な仕事。正確に完全に仕事をやり遂げようとするジャーンと、仕事にも暮らしにも飽き飽きして適当に働き、酒に女にはまるキーム。
やがて変わり映えのしない日々を送る2人の前にミス・ダーリンと名乗る女(中村ゆり)が現れ、その父(木場勝己)ともども2人の生活に入り込んでくる…。

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舞台には暗く、重圧感のある倉庫が再現され、二人の暮らしのにおいまでも漂ってきそうだ。
対照的なジャーンとキーンだが、2人だけの絆が感じられる不思議さ。
それを象徴しているのは、ジャーンが二日酔いのキームのために作る干し鱈のスープだろうか。

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鱈のスープは韓国では二日酔いを醒ますスープと考えられていて、韓国ドラマにもしょっちゅう登場するアイテムだ。
当然スープを作るのは、二日酔いをしている本人ではなく、普通は妻だったり家族だったり。大切な人を思いやって時間をかけて作り、朝起き抜けに飲ませてあげるもの。
鱈のスープは、きっと真心を象徴するアイテムなのだろう。

舞台では個性的な4人が、それぞれの願いをかかえて火花を散らす。
本作は「社会の不条理を描く」傑作と言われる作品であり、それは時を経ても日本に舞台を移しても変わらず訴えかけてくる。
だが今も不条理はなくならない。
それでも人間が不条理を超えて生きていけるのは、なぜなのか…。

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極端に正反対のジャーンとキーンだが、誰しも自分の中にジャーンとキーンがいて、たくましく生きるミス・ダーリンをさがしているのかもしれない。

公演は10月30日(日)まで東京・天王洲銀河劇場にて。その後、長野・静岡・大阪・福岡・鹿児島でも上演。
公式HP http://hpot.jp/stage/dara