本年4月よりKAAT神奈川芸術劇場の芸術監督に就任した白井晃の第一弾作品となる『夢の劇-ドリーム・プレイ-』。
4月11日に、その公開ゲネプロが行われた。
本サイトでは、舞台初挑戦にして初主演の早見あかりの単独インタビューをお伝えしたが、ついに15日より本公演がスタートする。
【囲み取材】
構成・演出・出演の白井晃、主演の早見あかり、田中圭、台本・出演の長塚圭史が衣装をまとったまま会見に登場した。神インドラの娘アグネスを演じる早見は、白い羽が沢山ついたワンピースで登場。神の娘に相応しく瑞々しく美しい。表情はとても明るく、白井、田中、長塚とも和気藹々としており、チームワークがしっかりと出来上がっていることが感じられた。
白井:KAATの芸術監督になって第一弾の演目がこの『夢の劇』でして、素敵な早見あかりくんと田中圭くんに参加して頂きまして、台本は長塚圭史さんと創作させていただきました。非常に不思議な本なんですけれども、色彩感豊かに仕上がっていると思いますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
早見:ついに始まります。記者会見では緊張しすぎて泣くと言うハプニングがあったんですけど、今は緊張がないといったら嘘になりますが、ちょっと楽しみな気持ちと、このカンパニーで乗り越えられるんじゃないかという気持ちが強くなったので楽しめたらいいと思っています。(―ももクロのメンバーには来て欲しいですか?)見に来たいなら来て欲しいですけど、お互い適当な関係なのでスケジュールの事とかもあるので、無理して絶対に来いとは言わないんですけど、私もももクロの舞台は見にいけなかったので大きな声では言えないです。来てくれたら嬉しいです!
田中:楽しみと言う気持ちが強いですし、転換も含め自分たちみんなでゼロから作ってチームワークも強くなっています。劇場に入ったときに絶対に他では見られないつくりになっています。白井さんの下でKAATでやる意味と言うのが、劇場の空間にあるので、後はお客様たちと僕たちがどう作っていくのかが楽しみです。
長塚:大きなチャレンジですね。音楽と踊りと、初舞台のあかりがいたりとか、色々と大変なチャレンジが今でも続いていて、明日プレビューでしょ?また劇的な大変更とかまだまだあるんじゃないかと。それが白井さんの現場なんだなということを改めて思っています。
1ヵ月半の稽古を乗り越えた早見は、インタビューの時には感じ得なかった、強さと明るさが増していたようで、稽古を重ねてきた故の自信が垣間見られた。
【公開ゲネプロ】
客席が舞台を三方からぐるりと囲んで見下ろす。舞台には沢山のオブジェが置かれている。幻想的で、芝居が始まる前にその世界観にに引きこまれる。また、舞台奥には生演奏をするバンドが控え、音楽もまたこの舞台の魅力となっている。
早見は稽古を積んできたとはいえ、初舞台とは思えないほど伸びやかに舞台を駆け回る。演出の白井晃とも息がピッタリ。
ダンスを小さいころからやっているという早見。ダンスシーンでは軽やかなステップで羽が生えたようにのびのびと踊り、天真爛漫で人間界を何も知らないインドラの娘アグネスそのままに、くるくると表情を変えながら演じている。
物語終盤、詩人を演じる田中圭とのせつないやりとりも印象的だ。
舞台と客席がとても近く、演者の息遣いさえも感じられそうな距離感。色とりどりの小道具・大道具が舞台上にちりばめられおり、劇場に入った瞬間に「何が始まるのか?!」とワクワク感が沸いてくる。
そこに愛らしく瑞々しいアグネスが登場するだけで、一気に夢の世界が広がり華やぐ。
舞台を観ていると、思いがけない進展の続出。上下左右に世界が広がり、物語を追うのだけでなく、空間や空気感を楽しむ感覚もある。
音楽も心地よく、多彩なジャンルのダンスも随所にちりばめられて、楽しい演出に見どころ満載となっている。
【ストーリー】
神インドラの娘アグネスが、雲のてっぺんに立って、眼下の世界=地球を見ている。
そこは、月に照らされた陰気な世界。
父はアグネスに、地上へ降りて人々の不満や嘆きを見聞きしてこい、と娘を送り出す。
地上に降り立ったアグネスは、恋人を一途に待ち続ける士官、
来る日も来る日も劇場の入口に座り続ける楽屋番の女、
自分が扱った犯罪・悪行を反映し苦悶に満ちた弁護士など、
苦難に満ちた人間たちと出会い、人間の存在の痛みを経験しながら成長していく。
しかし、それらは現実なのか、夢なのか……
そして、ついにアグネスが天空へ戻る時が訪れる。それはまるで、人が“夢”から目覚める合図のようにも見えるのだ。
【スタッフ】
原作 ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ
構成・演出 白井 晃
台本 長塚圭史
振付 森山開次
作曲・編曲・演奏 阿部海太郎、生駒祐子、清水恒輔、トウヤマタケオ
【キャスト 】
早見あかり
田中 圭
江口のりこ
玉置玲央
那須佐代子
森山開次
山崎 一
長塚圭史
白井 晃
久保貫太郎
今里 真
宮河愛一郎
高瀬瑶子
坂井絢香
引間文佳
神奈川公演/企画製作・主催 KAAT神奈川芸術劇場
2016年4月12日~30日
松本公演/主催 一般財団法人松本市芸術文化振興財団
2016年5月4日・5日
兵庫公演/主催 兵庫県/兵庫県立芸術文化センター
2016年5月14日・15日
公式サイト http://www.yumenogeki.jp/