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舞台『不信~彼女が嘘をつく理由』 栗原英雄 インタビュー

2016年に吹き荒れた「真田ブーム」。その中心となった大河ドラマ「真田丸」の三谷幸喜の新作描き下ろし舞台が、2017年3月に上演される。今度はなんとサスペンス!
この作品に、大河ドラマ「真田丸」で真田昌幸の弟の真田信尹役でいぶし銀の輝きを見せた俳優、栗原英雄が出演する。

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栗原英雄は、劇団四季では『ライオンキング』スカー役をつとめるなど活躍。2009年に退団した後は、ミュージカル『タイタニック』などの舞台や、映画にも多数出演してきた。

まずは話題となった「真田丸」について、そして舞台『不信』について話を聞いた。

―初のドラマ出演となった「真田丸」で一番苦労されたことは何でしたか?
苦労したことはないです。もう、すべてが楽しかったです!なかなかできない経験をさせてもらったわけで、こんなに嬉しいことはないです。鎧を着てトイレにも行けないとか、苦労もありますが、前日から水分調整して…というのも、役者の仕事のうちですし、苦しさだって嬉しかったです。

―では一番楽しかった思い出は何でしょうか?
三谷さんの作品で、あのスタッフ、キャスト、あのメンバーで「真田丸」という船に乗れたことですね。終わってもつきあいがあり「こんな仲の良い座組みはない」と、みなさんがそうおっしゃいますね。
そして、僕は徳川家や北条家上杉家にも行きましたが、真田家のモットーは、草刈(正雄)さんを筆頭に「自由」で、それぞれの家に芝居のタッチがあって面白かったです。真田家は「自由」で、草笛(光子)さんでまとまる感じでしたね。

―その「真田丸」脚本の三谷さんから舞台『不信』の話が来たのは?
ミュージカル『タイタニック』で夫婦役をやっていたシルビア・グラブさんが出演されている『ショーガール』という作品を観に行った、2016年4月頃ですね。『ショーガール』も三谷さんの演出ですが、この日は来られないと聞いていました。ところが開演10分前頃に「三谷さん、いらっしゃったわよ」というメールをもらって、終演後にご挨拶に行ってお会いしました。ちょうど「真田丸」も10数話ごろまで放送されていた頃。評判も良くて…とお話をして「また、いつか」とお別れした。その3日後くらいに事務所にPARCOさんから「来年、三谷さんのお芝居はいかがですか?」と連絡を頂きました。
その時には題名もプロットもなくて、徐々に「4人でやる」「ライトコメディ」と聞きました。そのうちに「少し重い、ブラックコメディにしたい」となってきました。
もともと「真田丸」の時も三谷さんがミュージカル『タイタニック』をご覧になって、シルビア・グラブさんのところに「彼、テレビに興味ないかな?」とおっしゃった。「興味ありますよと伝えて」と話したら、その数日後にNHKさんから事務所にご連絡頂いたんです。「テレビに興味ありませんか?」からちょうど1年後に「三谷幸喜さんの舞台、どうですか?」になった。びっくりしました。

―他の共演者の3人はすでに三谷さんの舞台に出演されていますが、栗原さんだけが三谷さんの舞台は初めてですね。すでに三谷さんとお話されたこと等、ありますか?
「真田丸」の時も三谷さんとメール交換などもしていなかったですし、「真田丸」が始まってからもお会いしたのは2~3回。先日、『エノケソ一代記』でお会いしたのが4回目くらい。
僕も取材だとしゃべりますが、普段はあまりしゃべらないのです。三谷さんもシャイなところがあって、この間もご挨拶した後にはちょっと無言になってしまって…(笑)。三谷さんが「この作品の舞台監督は『タイタニック』の舞台監督ですよ」と言って、舞台監督のところまで連れて行って下さって、3人でしゃべってたり…と、そんな感じです。

―三谷さんについて、周囲の方から何か聞いていらっしゃいましたか?
「シャイな方だ」というのは聞いていました。でも僕はあまり他から聞かないようにしています。他人から聞いた「この人はこうなんだ」というものは持たずに、僕が直に接した感覚でいきたいのです。固定観念を持たないというか、僕は僕が接したものを大切にしたいと思うのです。お互いの感覚が一番良いんじゃないかと。

―フィルターを通さずに…ですか?
そうですね。役者に大切なものは「聞く力」なんです。僕が劇団四季育ちですから「しゃべる力」だと言うと思う方もおられますが、役者にとって究極は「いかに聞けるか」です。相手役のことばもそうですし、スタッフや演出家のことばをいかに聞けるかが大切。そうすると成長できると思うのです。

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―三谷さんといえば当て書きですが、栗原さんのどんな点に注目して当て書きされそうでしょうか?
どうでしょう…。僕は食材なので、三谷さんが思ったとおりに書いて頂くのがよいですね。三谷さんは人を見る目がすごい方で、どの人物もその他大勢じゃない。どの人にもドラマがある。人生がある。それを拝見してきているので、私自身同料理さのかれちゃうのか楽しみです。もう1つは「こんなものが見てみたい」「栗原英雄のこんなところを見てみたい」というのをお書きになるんじゃないかと思います。新たな自分発見がありそうですね。

―本作の出演者は4人。話し合いをしながらの舞台になりそうですか?
そうできたらいいですね。「よろしくお願いします」ですね。

―栗原さんは自分からオープンマインドで臨まれるんですね?
いやぁ、せっかく一緒にお芝居できる機会をもらったのに、変なところに気をつかったり、労力をつかうのは勿体ないと思うんです。

―お稽古場で一緒に話し合いをしながら作りあげていくのが、楽しかったりお好きだったりするのでしょうか?
そう、そうですね。それに役者って一人では何もできない。無力なんです。舞台は特に、衣装があり、装置があり、照明があって、それを作っていく共同作業が面白いんです。みんなの方向は「いいものを作りたい」。そのために「ああでもない」「こうでもない」と意見を出す、話し合う。それ以外のところに気をつかうのはもったいないと思うんです。それに僕も、もう若くはない。残りの役者人生を有意義につかわなくては。
ただ僕は役をもらうと、その役の感じでしかいられなくなりがちなんです。

―恐い役だと、普段から恐い人になってしまう?
「目つき悪いよ」と言われたり、家で「この役の時は、キーキーしている」とか言われたりします。

―『マンマ・ミーア』のビル役だと野性的な感じになったり?
そうですね。肉食系におのずとなったりします。(笑)
今回も柔軟にいようと思っています。そうすれば、なんでも受け入れられるかなと。稽古が始まったら、煮詰まってくるだろうと思います。それを乗り越えないと良い作品はできない。それすらも楽しめたら…と思っています。

―では最後に意気込みをお願いします。
三谷さんが「真田丸」を終えて、新たな物を書き下ろす。これまでとは違う、ブラックなものの中で先が全然読めないものを表現したいと言っている。僕らは稽古場で地道に稽古して「えっ?!そんなことになるの?!」という風に出来たならいいなぁ…と思っています。

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舞台『不信~彼女が嘘をつく理由』

[作・演出]三谷幸喜
[出演] 段田安則 優香 栗原英雄 戸田恵子
2017年3月7日(火)〜4月30日(日)
プレビュー公演:3月4日(土)〜6日(月)
東京芸術劇場シアターイースト
公式HP    www.parco-play.com/

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