後列左から相島一之 山路和弘 玉置玲央 阿南健治
前列左から 東憲司 新妻聖子 北村有起哉 西岡德馬 井上麻矢
5月24日から東憲司版『戯作者銘々伝』を上演するこまつ座が、記者懇親会と『戯作者銘々伝』の公開稽古を行った。
こまつ座は座付作者井上ひさしに関係する作品のみを専門に上演する制作集団として、1984年に『頭痛肩こり樋口一葉』公演で旗揚げ。
以来、公演を重ね、今回の『戯作者銘々伝』が第109回公演となる。
懇親会では、こまつ座 代表取締役 井上麻矢と『戯作者銘々伝』を書き下ろした東憲司が出席。
井上麻矢 から「言葉と憲法と庶民。この3つのキーワードと一緒に今年のこまつ座を進めたいと思います」と話が始まった。
『戯作者銘々伝』はその中の「言葉」に深くかかわる作品だ。
井上麻矢は「言葉にとりつかれた人たちの姿を描いた「戯作者銘々伝」という小説を素材に、東さんが書き下ろした新作戯曲が東憲司版『戯作者銘々伝』です」と紹介。
さらに「7月6日からの第110回公演は原爆投下3年後の広島の父娘の姿を描いた「父と暮らせば」を上演します。井上ひさしが生前「長崎を舞台に「母と暮らせば」を書く」と言っていたことから、12月には山田洋次監督による映画「母と暮らせば」(主演:吉永小百合 二宮和也)が上演されます。戦後70年の企画として楽しみにして頂けたら」と憲法と庶民にかかわる作品も紹介された。
山形にある井上ひさし展示室 遅筆堂にこもって戯曲『戯作者銘々伝』を書き下ろした東憲司は、井上ひさしの同名小説が原案とあって「井上ひさしさんの言葉や世界観を失わないように、これも入れよう、あれも入れようと自分に思い聞かせながら書きました」「井上ひさしの全戯曲を読み、過去の作品から息づいているメッセージも盛り込んだつもりでいます」と執筆の苦労と作品への自負を語った。
場所を稽古場に移して、出演者と共にフォトセッションが行われた。
北村有起哉がマイクを手にすると「ユキヤ!」と声がかかるなど、出演者たちの雰囲気は和気藹々。楽しく充実した稽古が行われていることが伝わってきた。
「江戸の時代に社会を風刺し、かみついた戯作者たちの生き様を、現代の皆さんの目の前で生き生きと描きたい」と北村。
北村演じる山東京伝の前妻・後妻などひとりで3役を演じる新妻聖子は「唯一の女性キャストとして可愛がって頂いて有り難いです。男性の偉人伝ではあるが、その中に確かに女性も生きた証があったのだと、力及ばずながら表現していけたら」となごみの笑顔を見せた。
花火師を演じる玉置玲央は「でっかい花火を打ち上げたい」、相島一之は「新作でモジベーションが上がる」と意欲を示せば、山路和弘は「面子が魅力的で予想通りに楽しい」。
阿南健治は「今はほとんどいなくなってしまった三助(さんすけ)、庶民の代表です」、蔦屋重三郎を演じる西岡德馬は「不思議な魅力がある怪人物。浮世絵をプロデュースしたことは有名だが、黄表紙をどうやったかはあまり知られていない」と演じる人物を紹介、役に魅了されている様子がうかがえた。
そして 『戯作者銘々伝』冒頭のシーンの稽古が公開された。
舞台は三途の川のほとり! 登場人物は全員死んでる?!
芝居のテンポの良さに、歌がぴったり。 懇親会で東憲司が宮川彬良が担当した音楽について語った「最初は驚いたが、今はマッチしていると思う」という言葉に大いに納得させられた。
さてさて、この幽霊たち(?!)の魂は、どうなっていくのやら?
楽しみなこまつ座の新作、描き下ろし舞台 『戯作者銘々伝』は5月24日に幕を開ける。
【あらすじ】
黄表紙で絶大な人気を得た戯作者の山東京伝(北村有起哉)は、町人の力が大きくなることを恐れた松平定信の寛政の改革により処罰された。
権力に屈し追い込まれた京伝は、烟草店を開き、そこで若く純真な花火師の幸吉(玉置玲央)に出会う。
江戸時代後期、黄表紙や洒落本が風俗を乱すと咎められ弾圧されながらも「笑い」というものに全てを賭けた戯作者たちの鬼気迫る生き様。
夜空にあがる一瞬の光に身を捧げる花火師と、書くことに魅せられ、コトバと心中した戯作者の数奇な運命とは…。
【公演概要】
こまつ座第109回公演・紀伊國屋書店提携
東憲司版『戯作者銘々伝』
作・演出 東憲司(劇団桟敷童子)
音楽 宮川彬良
出演 北村有起哉 新妻聖子 玉置玲央 相島一之 阿南健治 山路和弘 西岡德馬
■東京公演 2015年5月24日(日)~6月14日(日)
会場 新宿南口・紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店新宿南店7F)
お問合せ こまつ座 03-3862-5941 http://www.komatsuza.co.jp/
入場料 8,000円/夜チケット7,500円/学生割引5,500円(全席指定・税込)
■兵庫公演もあり