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「嘘のない」「人の血のかよった」「没頭して初めて伝えることができる」ミュージカル『ゴースト』取材会 浦井健治、咲妃みゆ、桜井玲香

大ヒット映画「ゴースト/ニューヨークの幻」から生まれたミュージカル『ゴースト』が、 3月5日(金)から日比谷・シアタークリエを皮切りに上演される。2018年に初演され、大きな感動を呼んでの再演だ。(東京公演は、3月23日(火)まで。2021年4月4日(日)愛知県芸術劇場 大ホール、4月9日(金)~11日(日)大阪・新歌舞伎座)

2月9日(火)に製作会見が開かれたが、その後、初演でもゴーストとなるサムを演じた浦井健治と彼を愛するモリー役の咲妃みゆ(Wキャスト)、そして今回の公演からモリー役に挑む桜井玲香(Wキャスト)が取材会に登場。さらに深い話を聞いた。

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―日本版初演ではサムとモリー、二人の心の動きが細やかに伝わってきて、とても切なく思いながら拝見しました。初演に出演された浦井さん、咲妃さんが苦労された点、心がけていた点はどんなところですか?

浦井:演出のダレンが「やってみよう」「感じたことを言い合う、伝え合う」「正解はない」というおおらかな考え方なので、初演の際にはワークショップ(体験型の講座)のようなことをたくさん行いました。やってみて、そこから嘘のない台詞を導いていくというスタンスで、すごく時間がかかるのですが「それをしたから、初演ができた」という思いがあります。
再演から参加するキャストは、いきなり再演のスピードに乗ってやらねばならない。1週間で一幕全部をやってみるというような、とてもタイトなスケジュールなので、水田くんを筆頭に、玲香ちゃんも、きっと家で頭がパンクしそうなくらい準備しているのだろうと思います。
でも、そういうすべての時間がいとおしい時間であり、その時間が稽古場で、みんなにつながりをもたらしてくれている気がします。
ダレンも「嘘のない台詞」「嘘のない友情」「仲間意識」を求めている。観ている方がそれを感じてくださったなら、ちゃんと伝わったのかなと思います。

咲妃:日本版ではセットチェンジなども人力で行っていて、初演の最初から、ダレンさん、キャスト・スタッフ一同が、「人の血のかよった舞台」「温かみのある舞台を」という共通認識を持っていました。
そして…初演では台詞を繰り返しお稽古した印象があります。そういった意味では、その瞬間に生まれたやり取りが、「心の動きが細やかに伝わった」という印象を持って頂いたことにつながるのかなと思います。

―桜井さんは初めて加わってみて、いかがでしたか?
浦井:大変ですよね。
桜井:(笑いながら、うなずいて)初演を映像で拝見して、演劇要素が強い作品だと感じました。内容も深いものなので、ただ悲しい・怒りではなく、感情表現を細やかに、ニュアンスまで表現することが、とても大切な作品だと思いました。「嘘はつけない」と思いましたし、没頭して初めて伝えることができる作品だと思うので、自分から作品にぶつかっていかなくては、観てくださっている方に「この人は表面的な演技しかしていない」と伝わってしまう。そういう意味では、ちょっと怖い作品だなと感じています。でも、それが魅力だと思います。

―本作ではサムがモリーに「愛している」とはっきり言わなかった(言えなかった)ことを後悔していますが、これまでにそのような後悔はありますか?
咲妃:大中小いろいろありますが…私は宮崎に住んでいた幼少期は転勤族でした。たまたま、近所の野良猫をかわいがっていたのですが「引っ越し先には連れていけない」と言われていたので、引っ越しの朝、姿を現してくれなくて、探し回ってもどこにもいなくて。最後の「元気でね」という言葉が言えなくて、引っ越し先に向かう車の中で大泣きしました。猫はそばにいてほしい時にいてくれない。気ままなところが好きなのですが、幼少期の自分にとって、それは大きな経験で、引っ越し先で作文にしたためたら、給食の時間の作文コーナーで全校放送されて、「そんな子が転校してきたんだ」と。別のクラスの先生から「感動した!」と声をかけてもらいました。どういうオチ…って話でした。(笑)

桜井:う~ん(何を話すか、すこし考えて)先日、マッサージをしてもらいに行った初めてのお店でのことです。足湯をしてもらったのですが、私の足がとても冷えていたので「ちょっと熱いかもしれない」と言われたのですが「大丈夫です!」と言ってしまって。その後もお湯がずっと冷めない…というか、すごく熱くなって。でも今さら「熱い」とは言えなくて、ずっと我慢していたら、だんだん大丈夫になってきたのですが、でも家に帰ってから見たら、真っ赤になっていて、赤みが全然引かなくて。低温やけどをしたかもと心配になって、いろいろ検索したり…。でも、そのまま寝たら、次の日には大丈夫になっていました…というお話です。(笑)

浦井:えー、何を話そう…。面白い方向(の話)にいこうか?いっぱいある!
咲妃:健ちゃんはお優しいから、気になったことがあっても、一旦は飲み込みそう。
浦井:そうね…。軽いタッチでは…。『ウエスト・サイド・ストーリー』season3で、ゲネプロ前の場当たりを1回やって、かっきー(柿澤勇人)たちのゲネプロを観て、翌日の(浦井&桜井の)ゲネプロが中止になって、そのまま公演中止になってしまった。その時に玲香が「やりたかった」と目の前で言った時に、「がんばろうな。またやろうな」と言ったけど「俺もくやしかったよ」と言わなかった。だけど後から「それは共感しておけばよかったな」「なぜ、そこで先輩ぶったんだろう」と。「同じ気持ちだよ」というのは、今、言いました!(笑)
桜井:(あの時は)「大人だな~」と思いました!
浦井:でしょう! 全然違う。(本当は)全然大人じゃなかったんだ。(笑)

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―原点に戻って…映画とは違う、ミュージカル『ゴースト』の魅力をお願いします。
浦井:「えせ霊媒師のオダ・メイ役を日本で演じるなら森公美子さん!」というくらいの、当て書きのような素晴らしい女優さんのパフォーマンスが見られることがひとつ。
モリー、サム、カールの関係性がどんどん変わっていくところで、人間味や人生を学べる。教訓のようなものもいっぱいある。最後には希望に昇華できるようなすがすがしさが感じられる、そういう稀にみる作品。 このコロナ禍だからこそ伝えたいメッセージがぎっしり詰まっている作品だと思います。

咲妃:映画だと画面に映っている人物しか見られませんが、舞台では気になる人物の動向を自分のタイミングで追えるのが、ミュージカル『ゴースト』の楽しんで頂けるところのひとつだと思います。ミュージカルだけに楽曲での感情表現がかなり色濃く提示されるので、そこでも映画とは違った角度から楽しんで頂けるのではないかと思います。

桜井:そのとおりだと思います。重複しますが、映画の良いところを更に良いとこ取りした上に、すごく良い楽曲が合わさって、目の前で行われる分、また一歩グッと入り込めるのが、ミュージカル版の魅力だと思います。
日本の方が見て、理解しやすい演出、心情の描き方がされているのも、全部ひっくるめて魅力だと思います。

咲妃:う~ん、(玲香ちゃんが)かわいい!

―楽曲でグッとくるのは?
桜井:もうオーバーチュアから大感動!
咲妃:あ~、私も大好き!
桜井:(出演の)お話を頂いたときからサントラをずっと聞いていて、オーバーチュアがかかっただけで泣ける…。
咲妃:わかる!今も鳥肌たった!ピアノの最初の♪ティラティラという始まりから…。
浦井:うん、うん。
咲妃:いいよねぇ~
桜井:いい!聞き入ちゃうと、最初の「サム、カール、見て!」と(芝居に)入れないの。
咲妃:注意しないと。でもそこも健ちゃんに「行くよ!」って(声かけてもらって)。
浦井:「聞き入ってないで!」って。
桜井:ドアを開けてくれたら、とりあえず(舞台に)出ます!(笑)

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ミュージカル『ゴースト』
脚本・歌詞:ブルース・ジョエル・ルービン
音楽・歌詞:デイヴ・スチュワート&グレン・バラード
演出:ダレン・ヤップ
出演:浦井健治、咲妃みゆ/桜井玲香(Wキャスト)、水田航生、森公美子

★東京公演
日程:2021年3月5日(金)~23日(火)
会場:日比谷シアタークリエ

★愛知公演
日程:2021年4月4日(日)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

★大阪公演
日程*4月9日(金)~11日(日)
会場:新歌舞伎座

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