ミュージカル『グランドホテル』公開稽古＆囲み会見

in Report(STAGE/MUSICAL), STAGE/MUSICAL · 2016/03/12

英国演劇界で栄誉ある賞の一つである「2016年オフ・ウエストエンド・シアター・アワード（ The offies ）」で、“最優秀ミュージカル作品賞”と“最優秀振付賞［振付：リー・プラウド］”をダブル受賞が発表されたばかりのトム・サザーランド演出版『グランドホテル』

ロンドンでもチケット入手困難と言われるほどの注目度大のトム・サザーランド演出版『グランドホテル』がさらにグレードアップした日本版として2016年４月9日（土）より上演される。3月8日（火）には公開稽古と囲み会見が行われ、日本版の特徴である「Team GREEN」「Team RED」という二つのチームで同じ作品でありながら、異なる演出、異なる結末という異例のスタイルの舞台の一片をのぞかせてもらった。

日本版舞台のため来日中の演出家トム・サザーランドは「稽古を続けながら、同じ音楽、同じ脚本を演じて一つのバージョンではすべてうまく治まる楽観主義、もう一つのバージョンでは1929～30年代のベルリンの歴史を示唆する人々の夢や希望が剥奪された悲劇的なものと、全く同じ素材を使いながら、全く違うキャラクターやバージョンが生まれつつあります。この夢のようなアイディアがこの日本でできて大変嬉しい。この作品の素材の力、キャストの力を本番で皆様に感じていただきたい」と意気込みを語った。

世界一の豪華絢爛なホテル『グランドホテル』の登場人物たちはみな人生の岐路に立ち、慣れ親しんだ日常に別れを告げねばならない状況にいる。
人生の節目を迎えた一人ひとりが進みゆく道は、、

演出家のトム・サザーランドが両チームの違いが少ないシーンを選んだという“オープニングシーン”が披露された公開稽古。

Team RED、Team GREENと両チームで愛と死の化身を演じるスペシャルダンサーの湖月わたる

重い病を患う会計士。貯金をすべて使い人生の最期の日々を豪華なホテルで過ごそうと『グランドホテル』にやってきたオットー・クリンゲラインには中川晃教と成河。

Team REDのオットー役の成河はハットを目深に被り、表情を抑えている。

Team GREENの中川晃教は表情豊かにホテルの様子を伺っている。

公開稽古後に行われた囲み会見には演出のトム・サザーランド、オットー役である中川晃教と成河が登壇。

中川晃教は「今年デビュー15周年を迎える、この年に『グランドホテル』という作品に出会えたことを嬉しく思っています。稽古を通して、ミュージカルの元となった作品ということを実感しています」

成河は「稽古が始まって、まだ序盤だがとても複雑でやることが沢山あって追いつかない状況ですが、みんなでくらいついていっているところです。とても大きなカンパニーなので、どこまでみんなで一致団結して一つになっていけるかが最後の勝負どころだと思う」と、それぞれの思いを語った。

また、中川晃教は相手チームについて「今日の時点での集大成を観せてもらって、むちゃくちゃいいなと思いました。思わずツイッターで“成河さん率いる皆さん、いい〜”とツイートしちゃったくらい」と期待感をあらわすと、成河は「歌声では小学生と大学生のような違いがありますが、すごくいいチャンスとして、背中をみて、沢山学んでいきたい。その先に個性がでたらいいと思っています」と期待と尊敬の思いをあらわした。

演出家のトム・サザーランドは結末の違いについて聞かれると「今日のところはシークレットにして、みなさんの想像にお任せしたい。言えるとすれば、どちらのチームがよりドラマチックな展開ではなく、二人に合わせ、両チームに合わせたものを作るつもりです。今までご覧になったことがある方にとっても、どちらのチームの結末も想像をはるかに超えたものになるでしょう」と話し、成河が「便宜的に楽観的・悲劇的と言葉を分けているが、そんなに簡単なものじゃない複雑なものとして“何かを成し遂げようとして、なんとかそれが成り遂げられた人”もしくは“それがそれがそこまで届かなかった。また、届いた瞬間に奪われてしまった人たち”というようにとトムさんはおっしゃってます」と続けると、「だから！観ないとわかりません」と中川が締め、息の合った会見に記者たちの期待も高まった。