福井晶一と原田優一が、たった2人で20役以上を演じるという驚きのブロードウェイ・ミュージカルが、2017 年3 月17 日(金)に幕を開け、3 月20 日(月・祝)まで上演されている。
その物語というのは・・・
自作のミュージカルでブロードウェイを目指す作家ダグ(福井晶一)と作曲家バド(原田優一)の2人が、スポンサーを探すべくプロデューサーを招待して自作のミュージカルを披露することになった。作ったのは、ブロードウェイのためのビッグなミュージカル。役柄は20以上あるのに、演じるのは自分たち2人だけ!!
さぁ、どうやって上演する?! 20以上の役柄っていったい何? スポンサーは見つかるのか?!
ゲネプロを控えた福井晶一と原田優一を訪ね、大いなる挑戦への意気込みを聞いた。
―いよいよ初日ですが、手ごたえはいかがですか?
原田:今回は演じるたくさんの役の中に、原田と福井という役も含まれていて、素でやっているのか、役なのか分からないところから始まる作品です。こうした半分自分で半分役を演じるという作品は初めてで、しかもかなりのブラックユーモアを踏まえてミュージカルというものを鋭く切り込んでいきます。ここまで踏み込んでやる作品はなかなかありません。やっていて勉強になる部分もありますし、そこで自分のパフォーマンスが出せるのはとても面白いです。
お客様にも面白さがダイレクトに伝わっていくだろうと思っています。稽古中も稽古場にいらして初めて見た方にすごく笑って頂きました。今回は170席という小さな劇場ですが、お客様が入って、お客様の笑い声や反応が、この作品を完成させてくれると思っています。今、これからゲネプロなので、まさに完成まであと一歩。ワクワクしているところです。
福井:こういうスタイルの2人スタイルのミュージカルは初めてで不安もあったのですが、演出の板垣さんがきちんと方向性を示して下さったので、迷わず信じてここまで来ることができました。手ごたえとしては、純粋にお客様に楽しんで頂ける、良いものができたと思っています。
お客様参加型ですから、お客様が入るのが楽しみです。素と役を両方…ということでは、役になって1ナンバー歌って、すぐに「今の場面は・・・」と自分たちで解説をします。普通のミュージカルでは絶対にないことで、その切り替えがとても難しいのですが、頭をフル回転させて、楽しみながらできればと今、ワクワクしています。
―ここまでおふたりで稽古してきて、「やはり、この人はここがすごい!」と思ったところはありますか?
原田:福井さんと初めて共演したのは『レ・ミゼラブル』。しっかりと楽譜通りに歌えてから芝居…というミュージカルの王道で出会った2人ですが、福井さんに『歌会』に出演して頂いて新たな一面を発見し「こんなにやってくださるんだ」「面白い部分を見せるのもお好きなんだ」と思ったことから、「真面目にバカをやる」というこのミュージカルへとつながりました。今回も「福井さんの新たな引出しを開ける」ことになっていると思います。
自分は稽古の最初から引きだしを全部オープンにしてしまうんですが、福井さんは「こんなのどうですか?」と1つ1つ出してくれます。それが面白い!ご本人は狙ってないのでしょうが、僕から見れば面白くって狙っているとしか思えない。だから「福井さんはズルい!」って言っています。正統派ミュージカルから、こうしたコメディまでできる、とても貴重な俳優さんだと思います。
福井:いやぁ、もう優一君は『レ・ミゼラブル』でも素晴らしい演技をされる方なのに、こんなにたくさん引出しがある!(笑) 僕は『歌会』で優一君に新しい扉を開いてもらった(笑)、新しい面を引きだしてもらったので、たいへん尊敬しています。演出の能力もあるし、エンティメント性もユーモアも持っている。僕にはない面白さをたくさんもっているから、勉強になります。自分が面白いかどうかは、よくわからないのですが…。
原田:それがズルい!!(笑) だって面白いんですから!!
福井:とにかく、優一君のセンスが素晴らしいです。今回もすごいキャラクターを演じていますので、是非注目して頂きたいです。
―すごいキャラクターですか?!
福井:みなさんの脳裏に焼き付いて、忘れられないと思います!(笑)
―これまでにもないキャラクターですか?!
原田:ないです! 老若男女を演じることは、なかなかないですよ。
福井:2人で稽古しながら、互いを引き立て引き上げという関係で作っていけたので、信頼関係も『レ・ミゼラブル』の時より『歌会』、『歌会』の時より今回と深まって来て、すごくいい形で出来ていると思います。本当にワクワクしています。
―お客様が入るのが、待ち遠しいですね。
福井:お客様が入ると、稽古とは全然違うと思います。フリートークみたいなところもあるんですが、優一君は口が上手いから次々におもしろトークが出てき来ますよ。楽しみにおいで下さい!
―では最後に、「ここを観て!」というところをお願いします。
原田:老若男女を演じますが、衣装はこのままです。「こんな人、いるよね!!」というデフォルメしたかたちで、お客様の想像力をかきたてるようなヒントをお見せして、お客様にも想像力をつかって面白がって頂けるといいなと思っています。僕たちとお客様が意見交換しながら、劇場内のあちこちで火花が散っているようにできたら…と思っていますので、楽しみに劇場においで頂ければと思います。
福井:ミュージカル好きの方でも、そうでない方でも、とにかく楽しんで頂きたいですね。「ミュージカルはこうして作られる」とプレゼンする作品でもあり、たとえ僕たちが失敗しても、作家と作曲家が必死にプレゼンをしているのだから、失敗もしっかりみてもらうという二重構造の作品です。グランドミュージカルとはまた違って、楽な気持ちで観て頂いて、お客様も僕等と一緒になって楽しんで頂きたいです。
インタビュー後にゲネプロを観劇した。
福井晶一と原田優一が、観客と言葉を交わしながら、エネルギッシュに歌い、踊り、観客を「若手ミュージカル作家たちのミュージカル製作物語」と、劇中の劇の「中世ドイツのシュマー村の活版印刷のお話」という、2重構造の世界へとグイグイとひっぱりこんでくれる。
(C)gutenberg-jp
時折、「福井さん」と「原田さん」も顔を出し、20数役の早変わり(?!)に抱腹絶倒させられる。中世ドイツも今も変わらぬ世の中について真面目な話も興味をそそられるのだが、 とにかく次々繰り出される音楽が最高に楽しい!時に美しいハーモニーが聴けたかと思えば、朗々と響くソロ、声帯模写(?)と声色は百変化。王道のミュージカルをしっかり歩いてきた、このふたりだからできる歌声は、直球・変化球を投げては打って、打っては投げてと、客席に乱れ飛ぶように響き渡る。さらに絶妙な観客との交流も、そのキャリアがあればこそ?!
(C)gutenberg-jp
ミュージカルファンにはたまらない、ミュージカルネタはもちろん、時事ネタまで散りばめて、 こんなミュージカルがあったんだ!!
楽しい驚きがいっぱいの公演は、20日(月・祝)まで。
チケットはすでに完売公演もあり。公式HP http://www.gutenberg-jp.com にてご確認下さい。
【公演スケジュール】2017 年3 月17 日(金)~3 月20 日(月・祝)
※開場は各公演時間の30 分前
【会場】新大久保・R’s アートコート
〒169-0072 東京都新宿区大久保1-9-10
TEL 03-5273-0806
【チケット情報】 [入場料金] 5800 円(全席指定)
【公式ホームページ】http://www.gutenberg-jp.com
【お問合せ】株式会社ショウビズ otoiawase.showbiz@gmail.com