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ミュージカル『オン・ユア・フィート!』 インタビュー 青野紗穂 「見どころが多くて、目が足りないと感じるかも」

1980~90年代に「CONGA」「1-2-3」などの世界的ヒット曲によってスターとなったグロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンのヴォーカルであるグロリアの生涯を描いたミュージカル『オン・ユア・フィート!』が、12月8日(土)からシアタークリエを皮切りに福岡・愛知・大阪で上演される。
ラテンミュージックとダンスに乗せて描かれる、グロリアの家族・愛、そして成功と挫折…。2015年11月にブロードウェイで開幕し、ロングランとなった人気ミュージカルが、日本に初上陸する。

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今回、Astageに登場頂くのは、主人公グロリアの妹・レベッカ役を演じる青野紗穂さん。2017年『RENT』ミミ役でのパワフルな歌声をご記憶の方も多いはず。歌・ダンスの実力は折り紙つきながら、実はまだ21才。輝くような笑顔が魅力的です。

青野さんをミュージカル『オン・ユア・フィート!』の稽古場に訪ね、本作の見どころや楽しみ方、そして稽古場の様子を教えてもらいました。青野さんの意外なエピソードもご紹介します。

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―青野さんといえば『RENT』でのミミ役がとても印象的でした。少し振り返っていただけますか?
ミミは純粋な部分と大人の面の両方を持っていて、他の人に対してのコミュニケーションの取り方が独特な女性。演出家のアンディ・セニョールJr.からは「何かをつかむためには、自分の素の部分で人とぶつかってみなきゃいけない」と言われてディスカッションを重ねました。本当に悩み苦労しました。

―青野さんの中で、その経験は今も残っていますか?
今、『オン・ユア・フィート!』でもアンディが言ってくれたことを大切にしています。家族の絆や地域に伝わる伝統、一家がキューバに居た時にお母さんたちが見ていた情勢、そしていろいろな人の台詞や動き、エネルギーなどを自分の素の心で感じとることで舞台上で成長していけるのではないかと思いながらやっています。

―その『オン・ユア・フィート!』について教えてもらえますか?青野さんが演じられるレベッカは、どんな女性ですか?
朝夏まなとさんが演じるグロリアの妹で、純粋で子供っぽさがあるけれど、大人になろうとがんばっている女の子です。お母さんがグロリアに怒っているそばで「そんなこと、いいじゃん」と言ってしまうような自由奔放さがあります。でも内面は繊細で、人一倍寂しがり屋。姉の背中を見て「私も姉のような女性になりたい」と思って成長していきます。

―素の青野さんと重なる部分も?
中学生・高校生の背伸びしたい時期の、まわりからは大人に見られたいけれど、自分の知識や力では及ばなくて空回りしてしまう部分などは、「私にもそういうところがあったな」と共感できるところです。
そして私にも姉がいますが、小さい頃に両親が舞台に立つ私に付き添って、姉をおいて私にだけ付き添って一緒に出掛けてしまうことがありました。今、レベッカを通して振り返ってみると「あの時は姉もさみしかったのだろうな」と感じましたし、「あの時に姉にこんな風に声をかけたらよかったのに」と思いました。そんな気持ちが、どう役の中で表現できているのか、是非観て頂きたいです。

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―作品についても教えて頂きたいのですが、グロリアといえばラテン音楽ですね。
私もラテン音楽は大好きで、元々グロリア・エステファンが大好きです。英語でラテン音楽を歌うということがなかった時代に、それをぶち破ったのがグロリアです。しかもグロリアは英語でラテンミュージックを表現することにとても長けていました。グロリアのおかげでアメリカ人にとってもラテン音楽が聞きやすいミュージックになり、ラテンの人たちにとっても英語であっても「これは自分たちのラテンミュージックだ」と思える音楽に出来上がっていました。しかもラテンの基礎的な部分は崩さずに、その時代の最先端の音楽、新しい音楽を生み出したので、とても魅力的です。
ラテン音楽は日本では馴染みがないですし、まずあの独特のリズムが難しいと思うかもしれませんが、自分の中にある情熱やエネルギーの高さが曲に現れていると捉えれば、日本人が聞いてもハッピーになれますし、「この曲、好き!」とすぐに思える曲があるのではと思います。

―グロリアはただ歌が上手いとか、ヒット曲を生んだ歌姫じゃなく、ラテン音楽に革新的な変化をもたらした歌手なのですね。稽古場ではそんな音楽のシャワーを浴びている?
おかげで頭の中はクリエイティブな方向へと進んでいます。私も時には落ち込んだり悔しいと思ったりすることもあります。でも今はこのミュージカルと音楽から愛や情熱をもらっているので、落ち込んでも暗い方にいかず「次はどうしたらいいか?」とポジティブに考えられるようになっています。とても良い影響を与えてもらっているなと思っています。
お客様にもすごくハッピーになって帰って頂けると思います。フィナーレには観ているみなさんと一緒にできる振付もありますし、劇中で「かっこいい」と思ったら、声を出したり拍手したりして楽しんで頂きたいです。

―公演グッズにペンライトがあるのを見つけました。
はい。色が8色に変わるペンライトです。それをステージから見る私たちキャストのテンションも上がりそうです。お客様と一緒に盛り上がれると楽しみにしています。最初から最後まで、笑って泣いて、お客様も忙しいと思いますよ!(笑)

―歌もダンスも素晴らしい青野さんですが、今作では披露されますか?
踊る…?ソロ曲…? 私の歌やダンスは・・・どうでしょう。楽しみにして来て下さい!(笑)
この作品の歌やダンスはもちろん素晴らしいのですが、物語もとっても素敵なんですよ。このミュージカルはグロリア・エステファンのサクセスストーリーという部分もありますが、その周りで支えていた人たちやその人たちとの関係、歌手・グロリアがどう作り上げられていったのかがよく分かるお話になっています。

―物語の中での青野さんが注目してもらいたいと考えるポイントは?
物語としては家族でどうコンタクトしているかを見て頂きたいです。登場人物同士がコンタクトを取りながら、何かをたくらんでいたり、次にどうするかを考えていたりするので、そのあたりに注目しながら見て頂くと面白いと思います。
例えば序盤にあるシーンで、グロリア&レベッカ姉妹の祖母・久野綾希子さん演じるコンスエロと渡辺大輔さん演じるエミリオがやりとりするシーンが、私は大好きです。その後の物語のキーとなる場面でもあるので、しっかり見て頂けたらと思います。

―今のお稽古場には朝夏まなとさん、久野綾希子さん、一路真輝さんと素敵な先輩がいらっしゃるので良い刺激を受けておられるかと思いますが、いかがですか?
最初は畏れ多くて緊張して「私がここに居ていいのかしら?」と思う気持ちもあったのですが、本当によく声をかけて下さって。ちょっと疲れた顔をしていると、すぐに優しく声をかけてくださる。今ではそれこそ家族みたいな関係で「一緒に居てくださるから、私もここに安心していられる」という気持ちになっています。

―具体的に「ここはマネしちゃおう、盗んじゃおう」という点はありましたか?
今回は演じるキャラクターがそれぞれ違うので「そのまま取り入れよう」ということはあまりありませんが、朝夏さんの舞台上での立ち方は素晴らしくて、立ち方や気持ちの伝え方を教えて頂きました。朝夏さんと一路さんからはたくさん、いろいろなお話を聞かせて頂いて勉強させて頂いています。栗原さんと久野さんは、ずっと見守っていて下さる感じで、役と同じお父さんとおばあちゃんのように毎回元気づけてくださいます。

―役と同じくファミリーの中にいる感じになってきましたか?
はい。先日、スタッフから「雰囲気や顔も家族でだんだん似てきたね」と言われて、畏れ多いと思いながらも、とても有難くて嬉しかったです。そういう雰囲気が出ているのなら、お客様にも楽しんで頂ける部分が増えたかなと思っています。

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―さて青野さんご自身についてお尋ねしたいのですが、青野さんは14歳でN.Y.アポロ・シアターのアマチュアナイトのキッズ部門「Stars of Tomorrow」に出場し優勝。歌もダンスも抜群だという印象がありますが、歌のレッスンを始める前は「歌うとは思いもしなかった」そうですね。
ダンスは幼い頃に始めたのですが、歌は家族でカラオケに行っても私にはマイクがまわってこないくらい音痴だったんです。

―今となっては、信じられないです…。
元々はすごく音痴だったんですよ。だからスタッフに「歌をやってみないか?」と言われたときには「私が歌? ホントに音痴だけど大丈夫なの?」と思いました。そしてやってみたら、やはり最初は歌っても歌えない。音程もとれない。何が間違っているのかもわからない。「この音」と言われても「この音」がわからない…って感じでした。でも負けず嫌いでしたし、母から「やるなら、とことんやりなさい」とずっと言われてきたので、自分で発声法を調べたり、好きな歌手の歌い方を真似したり、いろいろとやって、今、なんとか人に聞いて頂けるようになりました。(笑)

―天性の歌声かと思っていました。
生まれつきの才能があればよかったのですが…。

―励まされる方がたくさんいると思います。
子供の頃の私は他人と話をする度に号泣するほどシャイだったんです。ちょうどダンスがブームになりそうな頃だったので、心配した母が「ダンスで人前に立てば、話しもできるようになるんじゃないか」と考えてダンスを習い始めたことがここまで続いてきました。

―そんな恥ずかしがり屋さんが、今はアーティストとして女優として活動をされているとは…。今、とても充実されていますよね?
充実しています!スケジュールがいっぱいで、すごく嬉しい、楽しいです!(ニッコリ) 携わってくださるスタッフさんも、そして出会う方が素敵な方ばかりなので、とても有難く思っています。ただ自分自身については「まだまだ」と思っているので、高みを目指してがんばっていきたいと思っています。

―では、最後にミュージカル『オン・ユア・フィート!』についてひとこと、お願いします。
観に来て下さったお客様も一緒に楽しめる参加型のミュージカルになっています。ドラマもあって、伝統や家族をとても大切にされてきたラテンの方たちの情熱や愛を感じて頂けるので、またそれをご家族やお友達にシェアして頂けたらと。私も情熱や愛を伝えていきたいと思っています。
そして、アンサンブルの方たちが全編にわたって圧巻のダンスを披露されるので、そこも是非とも観て頂きたいです。見どころが多くて、目が足りないと感じるかも。観終わった後はもしかしたら…

―また来たくなるでしょうか?
はい、また来たくなると思いますよ。(笑)

ミュージカル『オン・ユア・フィート!』
脚本 アレクサンダー・ディネラリス
音楽・歌詞・編曲 グロリア・エステファン / エミリオ・エステファン
(エミリオ&グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーン制作のオリジナル楽曲より)
翻訳・訳詞・演出 上田一豪
振付 TAKAHIRO/藤林美沙/金光進陪

出演
朝夏まなと 渡辺大輔 青野紗穂 栗原英雄 久野綾希子 一路真輝 ほか

<東京公演>2018年12月8日(土)~12月30日(日)@シアタークリエ
<福岡公演>2019年1月4日(金)~1月6日(日)@博多座
<愛知公演>2019年1月9日(水)・1月10日(木)@刈谷市総合文化センターアイリス 大ホール
<大阪公演>2019年1月17日(木)~1月20日(日)@梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
公式HP : https://www.tohostage.com/onyourfeet/index.html