ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演の大ヒット映画『ボディガード』がミュージカルとして、この3月19日(木)~3月29日(日)梅田芸術劇場メインホール、 4月3日(金)~4月19日(日)東急シアターオーブで上演される。
昨年は来日版が上演され、会場が熱気と興奮に包まれ、大いに盛り上がった大型ミュージカルの『ボディガード』。
日本キャスト版では、ホイットニー・ヒューストンが演じたスター、レイチェル・マロン役を柚希礼音と新妻聖子がダブルキャストで担い、レイチェルを守るボディガード、フランク・ファーマー役で大谷亮平が舞台への初挑戦を果たす。その豪華なキャスティングも大きな注目を集めている。
今回は、そのレイチェル役を演じる柚希礼音に、誰もが知る、あの役をどう演じるのか? 意気込みを聞いた。
―来日版公演はとても盛り上がりましたね。ご覧になっていかがでしたか?
来日版の前にスコットランドで公演を観ました。映画とは違ってコンサート場面から幕が開き、ミュージカルならではの盛り上がりがあり、映画とは違う良さがあると感じました。歌も次々と歌われるので、レイチェル役としての説得力・リアルさがとても大切だと思いました。
―スコットランドでご覧になったのはいつですか?
本作のオーディションを受ける前です。
――オーディションを受けてレイチェル役を?
はい、仮の日本語を交えてた歌詞で3曲歌いました。
―柚希礼音さんもオーディションで役を勝ち取りにいくのですね。オーディションについて教えていただけますか?
宝塚時代はオーディションを受けることがなかったのですが、『ビリー・エリオット』で初めてオーディションを受けました。オーディションはとても緊張するのですが『ボディガード』はとてもやってみたい作品で、しかも課題にホイットニーの歌が3曲もある。歌が上手な方が多く受けるオーディションだと思ったので、自分でもすごく稽古してオーディションに臨みました。なので、この作品に出演できると決まった時には嬉しかったです!
―本当にやりたい作品だったのですね。前向きに取り組まれる姿を想像すると、ファンとしては感動しますし嬉しくなります。そのあたりの柚希さんのお考えをお聞かせ下さい。
そうですね、やりたいものは挑戦してみます。でも、まだまだ足りないことだらけなので、それを必死に稽古しているところです。
―今考えておられる今作でのご自身のテーマや課題は?
今回は「舞台人生のすべてを賭けても、できるかできないか」という、今までで一番高いハードルのような気がしています。それは、何よりもホイットニーの歌です。皆さんがご存じの歌を歌うのは大変なことですが、なんとか初日までに生まれ変わったようにできれば…と思っています。
―ずっとボイストレーニングを続けておられるのですか?
はい。今までは与えられた曲を初日までに覚えてしっかり歌うんだとやってきましたが、やっと年末に時間ができて声帯について勉強し、身体の使い方など細かなことについても勉強しました。
歌詞についても、森雪之丞さんの訳詩で日本語と英語が混ざっているので、英語のレッスンをしたり、英語の歌詞での歌のレッスンをしたりしています。がんばります!
―『ボディガード』の楽曲の難しさはどこなのでしょうか?
ブラックミュージックのグルーヴ感を難しいと感じています。そこはたくさんの先生方にアドバイスを頂きながら自分のものにしていきたいと思っています。
―歌でもこれまでにない柚希さんが拝見できるんですね!
そうです!
―演出のジョシュア・ベルガッセさんから、すでにお話しされていることはありますか?
私はダンスが好きなので、私の出演回の時には新妻さんとはちょっと違う演出になるかもしれないと聞いています。
―それはキャストの得意なところを活かすということですね。
はい。
―お話を聞いて、ライブシーンがどんなになるのかなと…。
コンサートをやってきた経験を活かして、バリッと…ドーンとできたらいいなと思っています。
―ワクワクしてきました!スターとしてのレイチェル役には、原作にしばられ過ぎない柚希さんの魅力が活きるんですね?
そうですね。いろいろなバージョンのミュージカル『ボディガード』を観たのですが、キャスト本人の人間としての魅力がレイチェルを作っていて、キャストそれぞれの良さが活きていると感じました。やはり私は私らしいレイチェルを求めていこうと思います。
―それでは、Wキャストの両方を観なくては!ですね?
そうです。両方観た方がずっと楽しいと思います。
―Wキャストといえば、来日版初日前のレッドカーペットで、新妻聖子さん、大谷亮平さんと3人で登場されました。本当にお美しい3ショットで、来場されていたお客様からも大歓声があがりました。何かお話されましたか?
「助け合っていこうね」と。(ニッコリ)大谷さんは飾り気のない真面目な感じが、私がイメージするボディガードにぴったりでボディガードそのものという感じがします。ダブルキャストの新妻さんはとても歌が上手な歌姫ですから、いろんなことを勉強しながら稽古していけると思っています。
―柚希さんがダブルキャストというのは、あまり記憶にないのですが、如何ですか?
これまでダブルキャストを経験したのは『ビリー・エリオット』だけだったと思います。意識しないようにしても、もう一人の方がすごくお上手だと「わ~、すごい」と思ってしまうのですが、とはいえ、勉強できることがたくさんあります。今回も新妻さんとはキャラクターもまったく違いますし、得意なところもちょっと違うと感じているので、いろんなことを勉強しながら高めていけたらと思っています。
―そのレイチェルという役ですが…
とてもプロ意識があって、責任感があって、すべてを仕事に活かしてやっている女性だろうと思います。そして子供がいるのに父親がいないことからも、大恋愛があったか、とても辛い別れを経験したのだろうと思います。1人の女性として踏ん張って生きている、弱いけど強いというあたりが、いろいろなバージョンを見れば見るほど共感できました。
それでいながらボディガードを好きになってしまう。別れが辛いから、他人になるべく頼らずに生きた方がよいと思っているのに、やっぱり好きになってしまう…。強そうだけど弱い、スターだけれども人間味あふれる揺れや繊細なところを表現していきたいと思います。
―柚希さんが、スターとして共感される部分はありますか?
孤独そうだな…と思います。何でも持っているように思われますが、自由もないし、愛も彼と愛し合うまで無かったのだろうと思うので…。そして、命を狙われているとしても、観に来てくれている人がいるのだから、絶対に舞台に立つという、その覚悟・責任感には、すごく共感します。
―メインキャストからアンサンブルまで、実力のあるキャストが揃った今作ですが、柚希さん演じるレイチェルの姉を演じるのがAKANE LIVさん。柚希さんとは宝塚歌劇団の同期で、とても歌の上手い方ですね。
はい、同期の中で歌はずっと一番だったと思います。レイチェルの姉の役もオーディションで決まったのだと思いますが、英国スタッフの方は私たちふたりが同期だとは知らずに選んでいるので、こんなことがあるんだと驚きました。私たち同期ならではの喜びや親しさと同時に、レイチェル姉妹の複雑な関係性や嫉妬心が上手く表現できればと思っています。
―来日版もとても盛り上がりましたが、日本キャスト版ならでは…として楽しみにしてもらいたいところは?
日本語バージョンには、字幕とは違う繊細なものがあるので、楽しんで頂けると思います。ひとつは、2人がいつ恋に落ちたのか…というあたりの物語について、段々と人を好きになるとは限らないし、突然恋に落ちることもあると思いますが、やはり日本の観客の皆様に共感して頂けるような展開を、演出・振付のジョシュア・ベルガッセさんと相談していきたいと思っていいます。
そして、日本キャスト版では来日版のように字幕を見なくてもよいですよね。いろいろ話し合いを重ねて日本人の心にしっくりくる日本語の歌詞と台詞でお届けします。
もちろん、盛り上がるシーンはすごく盛り上がると思います!
―あの、突然ですが…ボディガードが欲しいと思われますか?
映画が流行した時から「あんなボディガートみたいなかっこいい人に守られたい」というのは、誰もが思っていると思いますが、そんなこと、わが身には無いですね…。
―大谷さんのような素敵なボディガードが守ってくれたら…
それは恋に落ちるでしょうね!(笑)
―では、最後にメッセージを。
強い覚悟をもってこの作品に挑もうと思っているので、是非、多くの方に観て頂きたいと思います!
―公演を楽しみにしております!ありがとうございました。
ヘアメイク:CHIHARU
スタイリスト:間山雄紀(M0)
ミュージカル『ボディガード』日本キャスト版
原作:ローレンス・カスダン作 ワーナー・ブラザーズ映画「ボディガード」
脚本:アレクサンダー・ディネラリス
演出・振付: ジョシュア・ベルガッセ
出演:柚希礼音/新妻聖子(Wキャスト)、大谷亮平
AKANE LIV 佐賀龍彦〈LE VELVETS〉/入野自由(Wキャスト)、
水田航生 、大山真志、内場勝則 他
公演日程:全公演中止(4月8日追記)
〔大阪〕2020年3月19日(木)~3月29日(日)梅田芸術劇場メインホール
〔東京〕2020年4月3日(金)~4月19日(日)東急シアターオーブ
お問合せ:梅田芸術劇場(10:00~18:00)
〔大阪〕06-6377-3800〔東京〕0570-077-039
公式HP:http://bodyguardmusical.jp/