ドキュメンタリー番組を基に生まれた“ドラァグクイーンに憧れる16歳の高校生ジェイミーを主人公にしたミュージカル『ジェイミー』が、8月8日(日)より東京・大阪・名古屋で上演される。ローレンス・オリヴィエ賞に5 部門ノミネートされるなど一大旋風を巻き起こした注目作品が、日本初上陸だ。
髙橋颯 森崎ウィン
主演のジェイミー役はWキャスト。
ひとりは、スティーヴン・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー1」に出演し、ドラマでも活躍目覚ましい森崎ウィン。昨年はブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』season2(以下『WSST』)の主役トニー役でミュージカル俳優としても人気を高めた。
もう一人は、ダンス&ボーカルグループ WATWING のメンバーで 2020 年『デスノート THE MUSICAL』のL役で鮮烈なミュージカルデビューを飾った髙橋颯。
今回、Astageでは、このふたりのミュージカル界の新星にインタビュー。
ミュージカル『ジェイミー』の見どころを伺うと共に、まだミュージカルファンに馴染みの薄いおふたりについてご紹介したい。
―演劇の取材では、出演された作品についての思いなどを聞く機会が少ないので、まず出演された作品についてお聞かせください。
森崎:前回、僕は『WSST』でトニー役をやらせていただきました。初めての大型の、そして初の海外作品のミュージカル。しかも主役のトニー役ということで「ハードルが高い!」と感じていました。歌や芝居でも苦戦した部分が多かったのですが、ステージに立つと生で作品を伝えていくことに魅了された自分がいました。本当に楽しかったです。それを経て「もっとミュージカルをやりたい」という気持ちが湧き上がっていた時に『ジェイミー』のお話を頂いたので、本当に嬉しかったです。
髙橋:僕は、2020年1月の『デスノートTHE MUSICAL』でミュージカルデビューしました。それまで演技の経験もほとんどなかったので、初めての立ち稽古では、全然できなくて・・・。みなさんと一緒の稽古に加えて、リューク役の横田栄司さんが“横田塾”を開いてくださって、そこで舞台の基礎をしっかりと教わりました。
今でこそ“横田塾”と軽く口にしていますが、横田先生オリジナルの稽古があったから、やっと舞台に立てたという感じで、演技も歌も、そこで学んだ事がとても大きかった。その経験を大切に、確実に次に活かしたいと思っています。
―髙橋さんに前回取材させて頂いた時は初舞台前でしたね。初ミュージカルも経験されて、懲りていませんか?
髙橋:懲りてないです!とっても楽しかったです!(笑)
―今回も素晴らしい先輩が、たくさん出演されますね。
髙橋:本当にたくさんいらっしゃる…。
森崎:それは、もちろん「すいません、いただきます!」と言って、良いところは全部盗ませて頂きます!(笑)
髙橋:そうか!なるほど!(笑)
森崎:これだけ経験を持った方々がいらっしゃるなんて、超ラッキーです!有難いです。
―本作の出演については?
髙橋:僕としては初めてそのタイトルロール&初主演なので、すごくプレッシャーを感じました。同時に、ウィンさんとのWキャストということで、お名前も活動も存じあげていたので、「すごく頼りになりそうだ」と楽しみにしていました。
森崎:ありがと~!僕は「イギリスにオーディション用に資料を送ってもいいですか?」というお話を頂いて「ぜひお願いします」とお返事しました。落ちることもあるそうですが決まって、嬉しかったです。
―ビジュアル撮影では・・・(ビジュアル写真撮影:HIRO KIMURA )
森崎:初対面でしたね。
髙橋:嬉しかったし、楽しかったです。
森崎:ハイヒールを履くのが初めてで、軽くメイクもしました。それだけでも、これまでにない経験で楽しかったし、興味深かったです。この先、どう化けるんでしょう?(笑)
―台本をご覧になって、いかがでしたか?
髙橋::心にまっすぐに刺さってくる物語だと思いました。場面毎に盛り上がりがあって、根底に愛…家族愛・友情が感じられて、そこにジェイミーの夢を追い求めるまっすぐな気持ちが乗っている。力強くて心温まる素晴らしい作品です。
森崎:あらすじだけを聞いた時には、ジェンダーについてしっかり描く作品なのかと思ったのですが、台本を読むとそこへの葛藤よりも「ひとりの人間としての勇気を後押ししてもらえる作品だ」と感じて純粋に勇気をもらいました。自分が演じるとなると、また違った角度からも見なければとは思っていますが…。
―ジェイミーは「最高の自分と最低の自分が共存するのが16歳」とのことですが、「最高の自分と最低の自分」でイメージするものは?
髙橋:なんとなくですが、ジェイミーに向けて準備するようになってから、自分も「すごく気分の良い時と悪い時がある」ということに気が付きました。最初は気づかなかったのですが、高校生を演じるからかなと思って不思議でした。
森崎:「最高の自分と最低の自分」は10代の頃だけじゃなく、今の自分でも感じることがありますが、特に10代の時には共存しているものをうまく使い分けられなくて、気付いたら他人を傷つけていた…というような、最低な自分が漏れ出ていたことに後になって気づくことが多かった気がしています。
今、この仕事でいろいろな役を演じるために役を理解しようとすると、結果として自分と向き合うことになって、「俺にはこういう一面があるのか」と発見することがあります。怒る演技で激しく怒って、あまりの激しさに自分で自分が怖くなったこともあります。そんな瞬間を振り返って考えてみると、「以前、演技でない時にも、こんな感じだったことがあった」と思い当たったりして…。
自分の中で、常に両方が共存しているのだと思います。ただ30才になって少しずつ「最低の自分を外に出さない」とか「他人を傷つけるこういう言葉は選ばない」ということができるようになってきました。
ジェイミーの16歳がそれと似ているとしたら、まだ不器用なのかなと。だとしたら、僕の場合は、ジェイミーを演じることで自分に蓋をしている部分をポンと開くことが必要になるのかなと思っています。
― ジェイミーはドラッグクイーンという夢に向かう少年ですが、おふたりも厳しい芸能界に夢を抱いてこられたと思います。ジェイミーと自分とが重なる部分はありますか?
森崎:16歳という年頃は夢見ることが多くて、現実をまだわかっていない頃なのかなとは思いますが、だからこそ日々パワフルに生きられるとも思います。僕にとって、確かに「嫌だな」と思う現実もときにはありますが、それ以上に自分が叶えたい夢があるので「屈しないでやろう」と思っています。ジェイミーもどんどん現実を知っていくと「嫌だ」「でも、やるんだ」と強い意志を示さなきゃならない瞬間があると思います。そういう意味では、僕も同じ。共感できます。
―「昔のこと」ではないのですね?
森崎:はい、僕の場合は現在進行形です。
髙橋:本当にその通りです!僕も正に今、ジェイミー同様に夢を追いかけているところです。ジェイミーに共感しています。逆に自分がくじけそうになる時に、この作品が、ジェイミーが支えになってくれると思います。
―最後に観劇に来て下さる方へ、観劇を迷っている方への言葉をお願いいたします。
森崎:思うことをまっすぐお話すると、今は「いつ最後の公演になるか、わからない」と思う気持ちはあります。『ウエスト・サイド・ストーリー』で公演が中止になるという経験しましたから。あの時は、本当にくやしかった。公演中にも「今日はここまで出来たから、明日はもっとこう挑戦してみよう」といろいろ楽しみながら考えていたのに、突然公演が無くなってしまった。それを経験して思ったのは、「こうして公演があるのは、当たり前じゃないのだ」「いつ終わるかわからない現実の中で、僕らはエンターテイメントをやっているんだ」ということ。
だけど「エンターテイメントは必要だ」と信じています。当たり前と言われるかもしれませんが、これまでとは違う角度からも「この公演が最後かもしれない」という思いと勢いを持って、パワフルな作品にしようと思っています。
感染対策も万全にしてお待ちしているので、来て下さるお客様には、『ジェイミー』の世界に飛び込んで染まって頂きたい。そして、帰る時には、それが明日への糧となっていたら…と願っています。是非とも劇場に来て一緒に『ジェイミー』を作り上げてもらいたいと思っています。
髙橋:人生は自分だけのもの。あなたらしく生きていい。By颯です。
森崎:それ、どっかで見たよ!チラシに載っている!(笑)
髙橋:そのメッセージをメッセンジャーとして伝えられるように成長しますので、是非、観に来てください!
ミュージカル『ジェイミー』 森崎ウィン&髙橋颯 チェキのプレゼントはこちらから!!
ミュージカル『ジェイミー』
東京公演 2021年8月8日~29日 東京建物Brillia HALL
大阪公演 2021年9月4日~12日 新歌舞伎座
名古屋公演 2021年9月25日~26日愛知芸術文化センター
【音楽】 ダン・ギレスピー・セルズ
【作】 トム・マックレー
【出演】
森崎ウィン 髙橋颯(WATWING) / 安蘭けい
田村芽実 山口乃々華 / 佐藤流司 矢部昌暉(DISH//)
伊藤かの子 太田将熙 川原一馬 小西詠斗 鈴木瑛美子 田野優花 フランク莉奈MAOTO(五十音順)
樋口麻美 実咲凛音 永野亮比己 / 泉見洋平 吉野圭吾
保坂知寿 今井清隆 石川 禅
公式HP :https://horipro-stage.jp/stage/jamiemusicaljp2021/
#ジェイミーミュージカル #GoJamie
作品公式 SNS アカウント インスタグラム/ツイッター @jamiemusicaljp
【取材協力 衣裳】
森崎ウィン
JOHN SMEDLEY
TIMONE
UNDECORATED
髙橋颯
JOHN SMEDLEY
O.T.A
STIR