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舞台『ゲズントハイト』〜お元気で〜 藤原祐規インタビュー ≪今回のテーマは、鼻血を出さない!?≫

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キムラ真率いる劇団ナイスコンプレックスが、2022年2月に舞台『ゲズントハイト』〜お元気で〜、を池袋・東京芸術劇場にて上演する。 本作は実際に日本で活躍されているクリニクラウン(小児科にくる子供たちを笑顔にするピエロ)の活動をモチーフに誕生したナイコンのオリジナル作品で、2011年初演の劇団代表作だ。今回は2012年に主演を務め、10年ぶりに再登板する藤原祐規に話を聞いた。

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≪笑ってくれる、その一番ダイレクトな反応がすごく嬉しい≫
――この時期だからこそやる意味がある作品という印象ですが、そもそもこのクラウンという仕事について、存在はご存知でしたか?

全く知らなかったですね。10年前に演じた時に作・演出のキムラからモデルになっている人がいるんだよっていう話を聞いて調べて、そういう職業があるんだなと。素敵な職業だと思いますけど、すごく大変そうで思いついてもなかなかできないと思いますよね。

――人を相手にするお仕事で、個人個人違いますしね。クラウンを演じる上で参考にした作品などはあったのでしょうか?

いえ、映画を参考にしたわけでもなく、何かをモデルにというよりは自分の中にある、目の前にいる人に笑ってもらいたいという気持ちを強くしたらどうなるか、を体現した感じで作っていったことを覚えています。俺のオリジナルです。

――人を笑顔にする仕事は役者と通じるものがありそうですが。

初演の時に苦労したのが、なぜこの人は無償で人を笑顔にするホスピタルクラウンをやりたいのか、その原動力はどこから来ているのか。それが自分の中に(腑に)落ちてないと、ただ役者が頑張っているだけになっちゃうような気がして、奥底から湧き出る何かでやらないと、成立していかないのではと。
その中で核になっているのが「笑顔になっている人を見たい」とか、「元気がない人に笑ってほしい」という想い。例えば僕らの仕事の一つにイベントがありますが、お客さまの前で自分が言ったことで笑ってくれる、その一番ダイレクトな反応がすごく嬉しかったりするんです。お客さまに笑ってもらうには、どういう話をしたらいいんだろう、これを言ったらきっと喜んでくれるだろうとか、そこはすごく通じるものがあると思います。

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≪今回のテーマは、鼻血を出さない!?≫

――キムラさんから言われたことで、今でも覚えていることは?

当時はものすごくテンポのことを言ってましたね。しゃべるスピードから間を削って行く作業とかを物凄くこだわっていました。本読みをきっちりやったなという印象が強いですね。
そこからキムラとは何度かお仕事をさせてもらって、やり方を言われたことはあまり無いんですけど、「今回は初心に帰ってみよう」と言っていたので、小気味良いテンポで進んでいく物語を作りたいなと思っています。

――初出演の際、そのテンポに毎回悪戦苦闘し、鼻血を出すほどだったとお聞きしました。

あああ!鼻血を毎回出していました(笑)。トリプルキャストでまず稽古が短かったんです。稽古3日目で通しやろうみたいな、ちょっと無理だよねって(笑)。でも前もって台本を渡されていたわけで…(苦笑)。
舞台って最初の5分か10分で「面白そう」って思わないと、これ観にきて失敗だったと思われるのも5分10分なんです。そこさえ乗り切れば楽しく観てもらえるんです。多分それを僕は感覚的に思ってやっていたのか、僕が演じるおーちゃんが物語を立ち上げていくので、もうがむしゃらにすごく力が入って一生懸命にやりすぎてそれで毎回鼻血を出していました(笑)。

――それを経て今回あらたに挑むにあたり、テーマや挑戦と思うことは?

まず鼻血は出さない(笑)。前回はただ一生懸命物語を演じました。でもそれは10年前だからこそできたと思うんです。全く同じことをやろうと思っても出来ないと思うし、台本の読み方ももしかするとちょっと変わってきているかもしれない。幸いなことに前回が10年前で、新鮮な気持ちで台本が読めているんです。今感じる僕のおーちゃんはこうだと無理をせずに、その役の行動理念とか、行動した時に影響を与えてくれた人がいて、結果話がそう進んでいく予定調和にならない物語を構築できたらいいかなって思います。

――おーちゃんは、正しすぎる故にちょっとクセがあるキャラクターですよね。

そうなんです!僕はそこがとても難しい部分だと思っていて、2017年版でサバンナの八木さんが演じたおーちゃんが嫌味がなく、とても良いなって思ったんです。ただ同じ色は出ないと思うので、僕なりのおーちゃんを演じたいです。
彼は真っ直ぐすぎるが故に人に理解されないところがあると思うんです。以前演じた時は嫌な感じに見えたくないという想いがあって。でも今回は過去のシーンについては嫌な感じに見えてもいいかなと変化しまして、物語が終わった時に「嫌じゃなかったね」になれば。
おーちゃんが色んな出来事の中で成長していくサクセスストーリーでもあると思うんです。だからわざわざやる必要はないですけど、役に対して信じるものがあってそれをほとばしらせた結果、嫌に見えるんだったら俺はそれでもいいかなと。もちろんキムラがそう見えたくないと言ったら直すんですけどね(笑) 。

――人物の背景ですよね。それでお笑いグループは解散したのかもしれない。

それを経て彼が成長したこともあると思うし。すごくいい話だからこそ全部いいようにはやらない方がいいと僕は思っていて、だから別に嫌な奴が出てきたっていいし、結果それで物語が動けば。

――そして見どころの一つにギターがあります。あれはギター指定なのですか?

初演でギターを弾いていたので、今回も弾くのかと聞いたら「そうだね」と(笑)。

――普段弾いているイメージが無いです。

弾かないですね。また新たな挑戦が…出番が多いんだぞ!と思いながら、あははは!
ギターは前回が終わってから触っていなくてそれ以来なので、どうなっているのか本番をお楽しみにしていてください。

――そして相棒役の三上俊さんについて“掛け算の人”とおっしゃっていました。その信頼感も今回の見どころかと。お2人が譲り合いながら撮影をされていたり、とてもほっこりしました。

とても信頼しています。もうね、お互い40になり、いろんな現場を経験して、メインの現場もあればそうでない現場も経験しているから、出るところは出て引くところは引く、それができる年齢になったのかな。大人になりましたね。また今だから出来る役もあると思っています。
ニュースを見ていると心の痛むような事件が多くて、大変な時代を生きていると思うんですけど、そんな時代だからこそ、こういう人に元気を与える舞台は必要ないんじゃないかな、と僕は思っています。皆さんの貴重な時間と貴重なお金をいただいて観にきていただきますが、観て良かったと思ってもらえる舞台をお届けします。今の時代はDVDや配信とかもありますけど、やはり劇場で見ていただくのが一番だと思いますので、なかなか難しい時期ですが劇場でお待ちしております。

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『ゲズントハイト』〜お元気で〜
公演日程:2022年2月17日(木)~2月20日(日)
劇場:東京芸術劇場シアターウエスト
【キャスト】
藤原祐規
三上俊、南翔太、柏木佑介、東拓海、米原幸佑、朝倉ふゆな、倉田瑠夏、澤田美紀、竹内心、田中温子、
(以下ナイスコンプレックス)
早野実紗、赤眞秀輝、北野くるみ、キムラ真

原作・演出:キムラ真
主催・企画制作:ナイスコンプレックス
【チケット】
全席日時・座席指定(税込)
Nシート (お土産付き/最前列) 10,000 円
S席(お土産付き) 8,800 円、S席(お土産なし) 7,300 円
A席 6,000 円 B席 3,500 円
※チケット取り扱いなど詳細は公式サイトまで。

公式サイト:http://naikon.jp