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舞台『球体の球体』新原泰佑 インタビュー「自分だけど自分じゃないものを、今から緻密に作っていきたい」「劇場で生の人間が身体で表現する美しさと、画面に収まらない生のお芝居の魅力を体験してほしい」

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劇作家・池田亮が第68回岸田國士戯曲賞を受賞、さらに第32回読売演劇大賞演出家賞上半期ベスト5に選出されてから、初の書き下ろしとなる新作舞台『球体の球体』を、9月14日(土)~29日(日)にシアタートラムにて上演する。
本作が舞台初主演となる新原泰佑に取材が叶った。

本作は、造形作家として自身の作品が「ガチャガチャ(カプセルトイ)」として発売された経験もある池田が、「ガチャガチャ」をモチーフに脚本・演出・美術を担当。遺伝と自然淘汰をコンセプトとしたアート作品をつくるアーティスト(本島幸司)の数奇な半生を描く。
出演は、「25時、赤坂で」(TX)でW主演をつとめ大きな注目を集めている新原泰佑が、舞台初主演で主人公のアーティスト・本島司役を演じ、小栗基裕(s**t kingz)、前原瑞樹、相島一之という個性あふれるキャストが出演する。

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「男子校生ミスターコン2018」でグランプリを受賞した新原泰佑は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」「なれの果ての僕ら」など、映像作品だけでなく、音楽劇『クラウディア』Produced by 地球ゴージャス(2022)龍の子役、『ラビット・ホール』(2022)『ロミオとジュリエット』(2023)マキューシオ役など、多くの舞台にも出演。『インヘリタンス-継承-』(2023)アダム/レオ 役では第32回読売演劇大賞男優賞上半期ベスト5に選出されるなど、高い評価を得てきた。
アミューズ所属俳優による恒例のファン感謝祭「Amuse Presents SUPER HANDSOME LIVE 2024 “WE AHHHHH!”」(以下「ハンサムライブ」)では、歌って踊って演技する姿も披露している。

-本作のシノプシス(あらすじ)をご覧になられたとのこと。その印象はいかがですか?
池田さんの作品に初めて出演させていただくのですが、初めてお会いした時に「すごく少年心のある方だな」という印象を受けました。そんな池田さんの無邪気な夢みたいなものがいっぱい詰まった作品で、「池田さんワールド全開」という印象。今からとっても楽しみです!
ガチャガチャがテーマで、誰もが一度は考えたことがあるような親ガチャ、子ガチャに紐付けて作品として起こすことも、その起こし方もすごく面白いと思っています。シノプシスにはあらすじだけでなく、世界観の作り方、美術プランなど、いろいろ書いてあり、それもすごく刺さりました。「池田さんは、お客さんがシタタ-トラムに入った瞬間から、この球体の世界に閉じ込めたいんだ。そのまま逃がそうとしてない」と感じました。
まだシノプシスだけしか拝見していないので、僕も未知数な部分がすごく多くて、さきほども池田さんにお会いして、急かしたつもりはないんですけど「脚本はまだですか?早く読みたいんですけど」とお話ししたら、池田さんも「ほんとに昨日ぐらいに完本して、そこから今ちょっと直してる最中で」とおしゃっていて、ワクワクしながらお話しさせていただきました。早く脚本を読みたくてウズウズしています。

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-どんな作品だと思っておられますか?
現実とファンタジーがずっと並行して進んでいくような作品で、現実にあるかもしれない世界をずっと描いていきます。リアリティーと寓話的なものが乖離していながら、その境界が紙一重ですごく跨ぎやすいところが、この作品の目玉であり、面白いところだと思います。
多分劇場に入った瞬間から、この『球体の球体』という世界になるだろうと思います。観ているお客様も普通だったら結びつかない点と点が、あの空間の中だったら結びつくのだろうと思います。そんな奇跡的な瞬間を池田さんとともに作り上げたいと思います。

-池田さんからのお話の中で、新原さんをキャスティングした決め手や、期待していることなど、お聞きになられたでしょうか?
なぜ僕をキャスティグしたのかは、具体的にはお聞きしてないんですけれど、僕はずっとダンスをやっていて、自分で何かを作ったり、演出したりするのがすごく好きなんです。先ほど、池田さんから「ものづくりという視点において、現代アーティストという本島役が新原さんでほんとに良かったと思っています。まだ稽古も始まってないんですけどね」と笑いながらおっしゃってくださって、ほんとに嬉しく思いました。
池田さんと2人でお話ししていると、共感することが多くて、個人的には「何か似てる部分があるな」と思っています。僕は自分がすごくしゃべる方だと思っていたんですけれど、池田さんもよくしゃべる方だと思います。(スタッフが頷くのを見て)だから話が尽きなくて、いろんな話に脱線して「何の話してましたっけ?」というのが、さっきも3回ぐらいありました。(笑)
一緒にいてすごく楽しい方で、同じ熱量・ベクトルで語れる方なので、この世界をどうセッションして作り上げていくのか、期待しかないです。

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-共演の小栗さん、前原さん、相島さんについては?
皆さんがそれぞれの役のキャラクターに、はまりすぎるくらいにぴったりでした。池田さんのすごいところは、今回も当て書きで新作を書いておられるからでしょうね。あらすじから我々が喋っている・動いている絵がホログラムみたいに浮き上って見えてくるようでびっくりしました。
池田さんのお話を聞く限り、セッションしながら、試行錯誤を繰り返しながら作っていくらしいので、おそらく話し合いながら作っていく感じになると思っています。面白いなと思ったのが「稽古場で生まれたハプニングをそのままお芝居にしてもらいたくなる時がある」とおっしゃっていたこと。例えば、稽古中にセリフを噛んで、その噛んだ時のちょっとテンポが崩れる感じが良いと思ったら、噛んだままのお芝居にしてもらうことがあるそうです。
セリフは噛んじゃいけないというのがあるし、俳優がセリフを噛むと、観客は「おっ⁈」となりますよね。その「おっ⁈」で観客により集中して前のめりで観てもらえるようにするのかなと。僕自身もこの作品で、自分の内面にも変化があるかもしれないと楽しみです。

-本島役に関してはいかがですか?
本島はものづくりやゲームが好きなキャラクターなのですが、それは池田さんに僕の人となりを知ってもらった上で、当て書きしていただいているからでもありますが、本島が自分とぴったりだと思いきれないところはあります。池田さんは「自分自身の続きで、本島を演じてほしい」というようなお話もされていたんですけれど、新原泰佑と本島幸司の明確な違いはちゃんと存在していているので、僕がこれから本島になっていかなきゃいけない。「中身からどんどん本島のエッセンスを作り上げていかないといけない」という感じです。

-普段から役に対して、そのようにアプローチされるのですか?
そうですね。自分にあるものと紐付けながら、自分ではないもの演じたい。“どこかで僕であるようで僕でない”。役者だからこそ、それが実現可能なので、その魅力を最大限に活かしながらやっています。

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-当て書きしてもらえるのは幸せですね?
この上ない幸せです!一番自分に近いものを書いてくださっているわけなので、紐付けやすいです。だからこそ本島が舞台上でお客さんに見てもらった時に、絶対に新原泰佑であってはいけない、本島幸司でなきゃいけない。それは僕のポリシーでもあります。自分だけど自分じゃないものを、今から緻密に作っていきたいと思っています。

-当て書きのために、池田さんから取材を受けられたのですか?
僕が何を好きかなどについては、ひととおりお話ししました。池田さんがハンサムライブで僕を見て下さった後に「踊っているときのイキイキした姿が素敵でした」「ダンスを入れてもいいですか?」とおっしゃってくださったので「ぜひ、ぜひ!」とお答えしました。
ダンスは20年ぐらいやってきたので一番自分が理解している時間であり、いい意味で無になれる瞬間、何も考えずにただ空間と共存している瞬間で、もしかしたらそれを見抜いてくださったのかなと思いました。ダンスがこの作品のアクセントになればいいなと思っています。

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-ダンスといえば、小栗基裕(s**t kingz)さんもいらっしゃいますね。
音楽劇『クラウディア』Produced by 地球ゴージャス以来の共演です。小栗さんは動きのひとつひとつが繊細で、ダンスもお芝居としてちゃんと表現される方なので、踊っていてもお芝居をしていても美しいし、かっこいい。s**t kingzは4名それぞれが違う個性の持ち主なのに、あれだけダンスが揃うのは個々の技術の高さがあるから。すごいです。
『クラウディア』でも小栗さんから身体の使い方をたくさん学びました。今回も少しでも盗んで学びたいと思っていますし、小栗さんとふたりで踊れたら!なんて淡い期待も抱いています。

-本作も上演されるシアタートラム(基本形状225席)で上演されていた『メディスン』をご覧になったとインスタで拝見しました。シアタートラムはどんな空間でしたか?
わかりやすく言えば客席が近い。それはたぶん、舞台上からお客さん全員に向けてメッセージを、パワーや熱量を送りやすい空間だと思っています。『メディスン』ではマイクを使わず地声でしたが、他の音があっても両方ちゃんと聞こえる。なんだか包まれていくような感じの空間で、気づいたら前のめりになって観ていました。でも引き込まれつつも、そこから離れる瞬間があって。飽きて離れるのではなくて、演出的にもちょっと俯瞰に戻ってほしいという瞬間に戻ってるんじゃないかなと思います。演出や脚本の意図や思惑通りに自分の体が操られてるような気がして、そういう空間は面白いと思いました。
大きい劇場には大きい劇場の強み、魅力があると思いますけれど、シアタートラムにはシアタートラムの良さがある。そして今回は池田さんがトラム全体で“球体の球体”を描こうとしているので、「お客さんは鷲掴みになるだろうな」と思ってます。

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-最後に公演を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
今回『球体の球体』で初の主演をさせていただけること、とても光栄に思っています。今回はガチャガチャがテーマになっていて、ガチャガチャを見かけたら作品を思い出してもらえるくらい衝撃的な作品になるのではないかと思っています。今は、街中でガチャガチャを見たら、この作品が上演されることを思い出してもらいたいですし、公演を観た後は、内容も含めて思い出してもらえたら嬉しいです。

-ドラマから新原さんのファンになった方へもメッセージをいただけますか?
ドラマや映像から応援してくださっている方は、日頃、舞台に足を運ぶことがあまり無い方もいらっしゃると思います。是非一度、劇場で濃密な時間が流れるこの公演を観ていただきたいです。映像作品とはまた違う、生の人間が身体で表現する美しさと、画面に収まらない生のお芝居の魅力を体験していただけたらと思います。そこから劇場への敷居が低くなって、映画を見にいくように舞台にも足を運んでいただけるようになったら嬉しいです。僕をきっかけにでも、気軽な気持ちで観に来てもらえたらと思います。

-シアタートラムでは新原さんが待っていますものね。
生の新原を見にぜひいらしてください!(笑)

ヘアメイク:国府田圭
スタイリング:土田寛也

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『球体の球体』

■脚本・演出・美術=池田亮
■出演=新原泰佑 小栗基裕(s**t kingz) 前原瑞樹/相島一之
■日程=2024年9月14日(土)~9月29日(日)
■料金=8,800円(税込み、全席指定)

■一般発売日2024年7月27日(土)10:00~
■会場=シアタートラム
■企画・制作・主催=梅田芸術劇場
■公式ホームページ= https://www.umegei.com/kyutai-no-kyutai/  
■公式X(旧Twitter)=@kyutainokyutai
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