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- 灰原薬の人気歴史漫画『応天の門』を原作に、青木 豪の演出により、佐藤流司、高橋克典、花總まりという豪華出演者で、2024年12月4日(水)~12月22日(日)に明治座にて舞台『応天の門』が上演される。
描かれるのは、平安時代を舞台に、学問の天才と称される菅原道真(佐藤流司)と、都で随一の色男である在原業平(高橋克典)がタッグを組み、京の都で起こる怪奇事件を次々と解決していく様を描く歴史クライムサスペンス。
この作品に、業平の親戚で、道真の級友でもある紀長谷雄(きのはせお)役として中村莟玉が出演する。中村莟玉の歌舞伎以外の舞台作品への初出演は、今年6月に明治座にて上演された朗読劇『細雪』。この舞台『応天の門』が、それにつづく歌舞伎以外の作品への出演となる。
【中村莟玉 (なかむら かんぎょく)】紀長谷雄 役
1996 年9月12日生まれ東京都出身。2004年3月人間国宝・中村梅玉に入門、2019年に中村莟玉と改名し、梅玉の養子となる。女方、そして立役も勤め、将来の歌舞伎界を担うと期待されている。古典歌舞伎はもちろん、新作歌舞伎『NARUTO -ナルト-』新作歌舞伎 『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』などにも意欲的に取り組む。
―莟玉さんというお名前、運命的なお名前だと拝見しました。
僕は一般家庭の出身です。養父が中村梅玉なので、お弟子さんたちは皆、梅の方をとるので、僕も最初の芸名は梅丸だったのですが、養子となるタイミングで「当然この梅は残るんだろうな」と思っていたら、梅ではなく玉が来ました。
―ご本名が琢磨さんで、琢も磨もみがくという意味ですから、ぴったりですね。
切磋琢磨の琢磨なんです。多分考えてくれていたのだと思います。ありがたいです。
―今年に入ってから、お仕事の幅をぐっと広げてご活躍されていますね。お気持ち的にも変化がございましたか?
歌舞伎界の先輩方、特に若い世代の先輩方にいろんな活動していらっしゃる方が多いですし、「歌舞伎ではない経験をすると、自然と鍛えられる部分があるよ」というお話をうかがっていました。
そして、やはり歌舞伎は役者を観に行く演劇だと思いますが「広い世界に出ていかないと、役者を知っていただくには難しい部分もあるよ」というようなお話を聞いたりしている中で、ご縁があって事務所に入らせていただきました。
歌舞伎俳優にもいろんなタイプがいますから、先輩方と同じでなくていいと思いますし、自分に合うスタイルをまだ探している最中ですけれど、歌舞伎以外の舞台も観に行くのがとても好きで元々興味があり、チャレンジしたいという思いがあったので、すごく嬉しく思っています。
―≪役者を観にいく演劇≫という点を教えていただけますか。
例えば、劇団四季さんなら「『ライオンキング』を観に行こうよ」とか「『アナと雪の女王』を観に行こうよ」と言うと思います。歌舞伎の場合は「この演目がかかるから行こう」というお客様は歌舞伎に詳しい方。歌舞伎をあまりご存知ない方にも観に来ていただけるようにならないと、今のように12ヶ月間、歌舞伎興行が行われている状況をキープできないと思いますし、役者を目がけて観に行くからこそ、同じ演目を違う役者が演じる楽しさを味わっていただけるのだと思います。
―歌舞伎以外の初舞台は、朗読劇 『細雪』(2024年6月22日・23日、明治座)ですね。
はい、歌舞伎の公演と公演の間のわずかな間に出演させていただいたのですが、よくスケジュールがはまったと思いました。真ん中に(藤原)紀香さんがいらして、いろいろなジャンルから集まった名だたる出演者の方々の中に入らせていただいて、みなさんが「こういう感じで」と演出をもらった時に、パッとできる瞬発力などに圧倒されて、稽古初日は「なんてすごいんだ」と呆然としていました。「先輩方がおっしゃっていたのは、これか!」と、圧倒されました。野に放たれた時にどれぐらい走れるか、脚力の強さを身につけないといけないと、たくさん勉強させていただきました。
―朗読劇は台本を持っているので台詞を覚えなくて楽なのかと思いますけれど、最近の朗読劇は動きもあり、特殊な演出も多くて、普通の演劇とあまり変わらないのに、稽古日数は少なくて大変だそうですね。
そうなんですよ。僕も朗読劇は座って読むというイメージでしたが、とんでもなかったですね。鍛えられました。
―そして、この舞台『応天の門』のお話が来て、いかがでしたか?
ほんとうに嬉しかったです。スケジュールを上手く調整していただいて、「いい経験になりますね」と応援してもらえているので、すごく嬉しいですね。
―若き日の菅原道真の級友、紀長谷雄という役はいかがですか?
紀長谷雄はおっちょこちょいで、おバカちゃんで、周りが見えないというかマイペースと言いますか、ゴーイングマイウェイな感じが自分に似ています。今までそんな部分は出さずにやってきたつもりだったのに「ぴったりじゃん」と言われました。どこでバレていたのかと。(笑)
―歌舞伎で紀長谷雄のような楽しいキャラクターの役を演じたことは?
今まで一度もありません。立役では、ないに等しい役ですし、女方では、長谷雄が追っかけるような可愛い女の人の役の方が多いので。
―新しい挑戦ですね。お芝居では笑いが一番難しいとも聞きますけれど、笑いを担当するような役でもあるかと思いますが、いかがですか?
紀長谷雄は自分なりに頑張って生きているのに面白いことになっちゃうキャラクターなので、素の僕にぴったりだと思っていただいたのが、キャスティングの理由の1つだろうと思っています。原作を読んでみると、僕自身がかなり原作の紀長谷雄に似ているんです。紀長谷雄は道真にすぐ頼って「そう言わないで、ちょっとやってみてよ」みたいな言葉を、よく発していますが、自分にもこういうところがあるなと。なので、お稽古では、あんまり作り込まずに普段の自分のまま1回やってみて、演出の青木先生に見ていただくという感じでチャレンジしたいと思っています。
―実際に身近に道真さん的な方がいらっしゃいますか?
「それ自分でやってよ」と言われても、僕がうまくできないので、自然と道真さんのような頼れる人にしちゃっていると思います。(笑) 例えば、荷物のパッキングがすごく下手なんです。化粧前(鏡台前)の道具なども、弟子のときは自分でやっていたのですが、あまりにぐちゃぐちゃだったので、兄弟弟子が「もう見てらんねぇ」とやってくれて、「やっていただけるのなら、お願いします!」と甘えてしまいました。おそらく紀長谷雄くんもそういうタイプかなと。(笑)
―可愛がられるタイプですね。キャスティングにもワクワクされたのではないでしょうか?
はい。いろんなジャンルの名だたる方たちが出演されて、歌舞伎からは自分が飛び込む。責任重大だと思っています。
―時代劇でもありますしね。
衣裳を着てのスチール撮影では、自分が思い描いている紀長谷雄くんのイメージと非常にマッチした感じのスタイリングをしていただけました。歌舞伎の衣裳とは厳密には違いますけれども、やはり着物なので、そこの強みは活かしたいです。
―では、素が出せそうですか?
はい!スチール撮影は思いっきりのびのびという感じでやってきました。ディレクションしてくださった方も同じご意見でしたので、ちょっと自信になりました。
―これからますます活躍の場が広がっていかれると思います。今後の抱負をお聞かせください。
なんでもやってみたいですね。洋服でのストレートプレイーもやってみたいですし、歌やダンスはちょっと自信ないですけど、やれと言われれば、はい、やってみたいと思っております。舞台に限らず、映像にも挑戦したいと思っております。
―最後に、舞台『応天の門』を楽しみにされている方に、メッセージをお願いします。
まず原作が面白いので、原作をご存知の方もご存じない方も楽しんでいただける舞台になるだろうと思います。ミステリーというか謎解き要素があるストーリーになっておりますので、そこも楽しんでいただきつつ、シリアスになりそうなところは私が勤める紀長谷雄くんがほっこりさせる方向へ持っていける部分もあると思います。肩の力を抜いて楽しんでいただけたらいいなと思います。
舞台『応天の門』
【原作】 灰原 薬 『応天の門』(新潮社「コミックバンチKai」連載)
【脚本】 桑原裕子
【演出】 青木 豪
【出 演】 佐藤流司 高橋克典/中村莟玉 高崎かなみ 本田礼生 白石隼也 坂本澪香/
青山良彦/八十田勇一 若狭勝也/篠井英介/西岡德馬/花總まり(特別出演)
※西岡德馬の「德」は旧字体が正式表記
【公演日程】 2024年12月4日(水)~12月22日(日)
【公式サイト】https://www.meijiza.co.jp/info/2024/2024_12/
【公式X】@ohten_stage
Ⓒ灰原薬/新潮社
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