韓国発の衝撃作、ミュージカル『ワイルド・グレイ』が、2025年1月8日(水)から新国立劇場 小劇場での公演を皮切りに、名古屋・大阪・高崎で日本初上演される。
2021年に韓国で初演され、コロナ禍にも関わらず大評判となり、2023年には再演されたヒット作を、根本宗子が演出・上演台本を担当し、日本版として新たに創り上げる。
描かれるのは、美と若さのために魂を売り渡す青年の物語、小説「ドリアン・グレイの肖像」の作者として知られるオスカー・ワイルドと、彼をめぐるロバート・ロス、アルフレッド・ダグラスの3人が、愛と芸術を求める物語。
小劇場でピアノ、チェロ、バイオリンの旋律にのせ、出演者3人だけで紡ぐミュージカルだ。
出演者はチーム固定のダブルキャストで、福士誠治、立石俊樹、後藤 大と、平間壮一、廣瀬友祐、福山康平が出演する。
今回、オスカー・ワイルドを支え続けるロバート・ロス役を演じる福士誠治さんにインタビューを行った。
福士さんがAstageのインタビューにご登場いただくのは、2018年のミュージカル『スリル・ミー』以来。俳優として映像作品、舞台に多数出演すると共に、音楽活動も積極的に行い、近年は舞台演出も手掛ける。最新公開映画「ぴっぱらん!!」は、11月1日より全国順次公開中。
―2018年に『スリル・ミー』に初めてのご出演される前のインタビューで「近年は不安になる作品に足を踏み入れることを意図的にしていきたい。自分の安全圏だけだと広がらない」とおしゃっておられました。その後、『氷艶 hyoen2019-月光りの如く-』(2019年)では氷の上でも演技されて、そのお話しを思い出しました。
氷の上にもいましたね。(笑)有難いことに、いろいろなことをやらせていただいています。『氷艶』も本当に良い経験でした。だからといって、それが何かに直接つながるわけではないのですが、全部が表現者としての血肉となっている感じがしています。
僕がやる、やらないにかかわらず、エンターテイメントや芸術というものは、何かチャレンジが含まれていなければ、という気がしています。だから僕は毎回新人で、思い通りにはいかないことばかりではありますけれど。(笑)
この3人芝居の『ワイルド・グレイ』に飛び込んだのも、僕のひとつのチャレンジです。チャレンジしていくと、止まらずに生きていけそうです。
―チャンレンジとおっしゃる本作。出演の決め手は?
最近、韓国作品がたくさん上演されるようになり、これまでとはちょっと違った風が吹いているような気がして、そのタイミングでお話をいただいて、興味を惹かれました。3人芝居はやったことがなく「濃密な作品作りができるのでは」と思ったのも、理由のひとつです。
―小劇場での3人芝居は魅力的ですね。
2018~2019年、2021年に出演したミュージカル『スリル・ミー』は2人芝居で、小さい劇場だからこそできる表現があると、小劇場の贅沢さを感じました。その分、演じる僕たちは指先1本にまで気を使う、とても細かいお芝居をしていたので、今回もそういう表現ができればと思います。
―本作で演じられるロバート・ロス役は、どんな印象でしょうか?
心の中に秘めているものと、表に出るものが違う、抑える役で、難しい役どころだと思います。ダグラスは心と言動が一致する瞬間もたくさんあると思うし、オスカー・ワイルドは自由奔放。ロバートは願望と行動に違いがあるようですが、何かがあふれて、少しずつこぼれていくといいなと。3人芝居なので、一人ひとりの人格・性格を深掘りして、濃密な関係を描いていけば、お客様に届くことがあると思うので、集中していきたいと思います。
―楽曲は聴かれましたか?
韓国の音源を聞かせてもらいました。歌うのはとても難しそうでしたが、生演奏で作るピアノ、チェロ、バイオリンの旋律が素敵で、オペラやコンサートを聴いている気持ちになりました。歌で3人の関係性が分かるような瞬間もたくさんあると思うので、台詞と音楽で紡がれる関係性を楽しみにしてもらいたいですし、小さい劇場だからこそ、客席と一体感を生んで、お客様に音楽にまみれてほしいと思います。
―『スリル・ミー』の歌もすごく難しそうでした。
ミュージカルソングはいつも、どれも難しいです。ミュージカルをやらせていただく前は、いまだにドキドキしますし、台詞より気合を入れて覚えることが多いと思います。
―今回の楽曲数は?
約2時間の公演で18曲。『スリル・ミー』より少しだけ長いくらいでしょうか。『スリル・ミー』の公演(時間)は、あっという間でした。今回も稽古して、そうなるといいですねぇ。(笑)
―『スリル・ミー』も複数チームでの上演でしたが、お稽古のときに、他のチームの様子はご覧になるのですか?
『スリル・ミー』では、他チームの稽古は1回だけ観ました。最初から最後までを通す稽古のときでした。本番の公演は地方公演で時間ができたときに観たことがありますよ。
―完全にチームごとに作られた舞台だったのですね。今回も2チーム制。楽しみにしています。
根本さんがどう考えられているか、どういう稽古になるか、わかりませんが、2チームの出演者の雰囲気が違うので、公演も違うものになるだろうと思っています。どちらのチームで観るか、両方観るのか。そして、濃密な人間模様と贅沢な音楽、芸術をめぐる話。いろいろな要素が詰まっていると思うので、楽しみにしていただきたいです。
ミュージカル『ワイルド・グレイ』
東京公演:2025年1月8日(水)~1月26日(日)新国立劇場 小劇場
名古屋:2025年2月8日(土)ウインクあいち 大ホール
大阪:2025年2月14日(金)~16日(日)森ノ宮ピロティホール
高崎:2025年2月22日(土)高崎芸術劇場 スタジオシアター
<スタッフ>
脚本:イ・ジヒョン
音楽:イ・ボムジェ
翻訳:石川樹里
演出・上演台本:根本宗子
訳詞:保科由里子
<キャスト>
福士誠治(ロバート・ロス)×立石俊樹(オスカー・ワイルド)×後藤 大(アルフレッド・ダグラス)
平間壮一(ロバート・ロス)×廣瀬友祐(オスカー・ワイルド)×福山康平(アルフレッド・ダグラス)
HP= https://horipro-stage.jp/stage/wildgrey2025/