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岡宮来夢インタビュー “がむしゃらさ“を入れていく『1789』&この世界で生きたい『四月は君の嘘』

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俳優として目覚ましい活躍をみせている 岡宮来夢が、4月8日(火)から上演されるミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』と、8月23日(土)から始まるミュージカル『四月は君の嘘』に出演。Wキャストで主演をつとめる。
ミュージカル『1789』の初日目前の岡宮来夢が、インタビューに応じてくれた。ロングインタビューをお届けする。

理性的に考える稽古を踏まえ、“がむしゃらさ“を入れていく
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』

『太陽王』『ロックオペラモーツァルト』など話題作を次々と世に送り出してきたプロデューサー、ドーヴ・アチアとアルベール・コーエンの手による2012年初演のメガヒットミュージカル。
フランス革命期の自由と平等を求める若者たちの姿をフレンチロックにのせて描く。日本では2016年、2018年に続き、今回が3度目の上演。
岡宮来夢が演じるのは、フランス革命の最中に革命派へ身を投じる農村出身の青年ロナン。

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―この作品との出合いは?
この作品を知ったきっかけは、母から「来夢にぴったりな役を見つけたので、映像を見て」と連絡をもらったことです。母からピッタリだと言われたので「ロナン役は僕に合うのだろうな」と思いましたし、「演じている姿を母に見せたい」という親孝行をしたい気持ちと「俳優として、この作品に出演したい」という自分の想いから「いつか演じられるように頑張ろう」と思っていました。

―それはいつ頃のことですか?
再演された2018年ですね。ご縁があってロナン役として出演が決まった時は、「ついに!」と思いました。映像を見たときになんとなく自分の持っているバイタリティと通じるものを感じて、「来たか!」という感じがしましたね。

―バイタリティですか!具体的に教えていただけますか。
体当たりで突き進んでいく感じが、ロナンと僕はかなり似ているかなと思います。僕も稽古場で必死にもがいて、舞台上でも懸命に演じる。その姿にお客さまが感動してくださったり、熱をもらったと感じてくださったりしているように思うので、それが僕のスタイルになっていると思いますし、僕もそういう俳優さんを見るのが好きです。

―では本作は念願の作品ですね。思い描いて引き寄せたのかもしれませんね。
この作品については、自分で演じるイメージもしていましたし、なぜか根拠のない自信もあったので、引き寄せたのかもしれませんね。

―お稽古が始まってみて、手ごたえは?
歴史的なことは時代背景だけでなく、「どんな拷問があったのか」「当時のフランスの飢饉は実際にはどんな状況だったのか」など、自分なりにいろいろなことを随分と調べました。台本への解釈も深めて、これまではどちらかというと理性的に考える稽古をしてきました。が、それらはもう全部自分の中に入ったと思うので、今日の一幕の通し稽古からはいったん全部忘れて、ちょっと野性的にやってみたい。今の僕たちの感覚とは違う、平均寿命が30代に満たない当時の、一瞬一瞬を必死に生きていた人たちの生き方を少しでも出せるように頑張りたいと思っています。
今回は1788年7月から1789年7月までの約1年間のことを、しっかりと理解した上で演じる方がリアリティを出せるだろうと思っていたので、そういう役作りをしてみましたが、ここからは“がむしゃらさ“みたいなものを入れていく時期かなと思っています。

―今回は手島章斗さんとのダブルキャストですが、岡宮さんのロナンはどんなロナンになりそうですか?
イセダイくんと呼んでいるダントン役の伊勢大貴さんは「すごく突破力がある、切り開いていく力を感じるロナンだ」と言ってくださっています。(笑顔に)
ロナンはいろいろな人を惹きつける力があるんです。自由、平等、博愛を掲げている革命派とはいっても、すぐにその言葉どおりに実行に移すことは簡単ではないと思うのですが、農民の出身でありながら、デムーランやロベスピエール、ダントンと肩を並べてリーダー格になっていきます。ロナンが持つ這い上がっていこうとする雑草魂みたいな精神力を自分も持っているんじゃないかと思うので、そういう部分もロナンとして表現できたらと思っています。

―学生時代には生徒会長や部長をなさっていたという岡宮さんのプロフィールを拝見して、ロナンと共通点も感じました。
生徒会長や部長、委員長やキャプテンなど、“長”を任されることが多かったですね。ただロナンは落ち着きのある“長”ではなくて、自然と人が集まるような魅力があると思うのですが、僕は逆にみんなをまとめようとする“長”をやってきたので、自分なりに研究していかなきゃと思っています。

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―初演・再演とロナン役を演じていた加藤和樹さんとお話しされる機会があったようですが、この作品について、何かお話はされましたか?
「観に行くのをとっても楽しみにしているよ」「絶対自分が楽しんでやった方がいいと思うよ」とおっしゃってくださって、楽曲の良さについても、たくさんお話させてもらいました。和樹さんが当時着ていたカンパニーウェアをくださったので、時々それを着て稽古しています。

―加藤さんも本作の楽曲をコンサート等でもよく歌われていらっしゃいますね。素敵な楽曲だからだと思いますが、楽曲については、どのように感じておられますか?
楽曲がエネルギッシュなので、そのエネルギーに自分が押されないように、自分がフレンチロックを体現できるようにと挑んでいますが、スタミナ切れにならないようにするその塩梅が難しいところです。
でも、必死に生き抜こうとする人々の生き様をロックで描くことは、音楽性と作品が持ってる力、時代背景ともとてもマッチしているので、自分が歌っていても楽しいですし、他の楽曲を聴くのも楽しいです。マリー・アントワネットとフェルゼンの曲を聴くと、ちょっとゾクッとするような危ない香りもするんですよ。ドーヴ・アチアさんの楽曲はどの曲もすごく魅力的です。

―今の表情から、すごく楽しくお稽古されてのだと感じました。
ほんとに楽しいですね。充実しています!

―でも楽曲も多いですよね?
ロナンが歌うナンバーだけで17曲あります。ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』もロミオのナンバーが17曲ありましたが、かなりのボリュームなので、きちんとケアしながら頑張りたいと思います。

―本作の作品としての魅力を、どこだと感じておられますか?
僕は日本史専攻だったこともあり、フランス革命がどんなものだったか、あまり知らなかったので「なぜフランス革命を描いた演劇作品が多いのだろう?」と思っていたのですが、今回、その理由がちょっとわかった気がしています。
それは歴史を調べていくと、フランス革命は平民たちが自分たちの人権を勝ち取るために蜂起して、絶対王政を打ち負かした革命で、もしフランス革命がなかったら、僕らが当たり前だと思っている人権も無かったのかもしれない。今もまだ階級制度があって、僕らも大変な暮らしをしていた可能性だってありますよね。今、僕らの基本的人権が保障されているのは、先人たちが血を流して勝ち取ってきたものだということを忘れちゃいけないと思います。
この作品がそれを知るきっかけにもなると思うので伝えていく意義を感じています。今回が日本で3回目の上演になりますが、5回、10回と続いて未来に渡していけるように、僕も演じていかなきゃという気持ちでいます。

―ミュージカルとしての見どころも教えていただけますか?
音楽はもちろん素晴らしいのですが、ロナンという人物の激動の人生がすごく面白いんです。希望を持ってパリに来て仲間や好きな人もできる。革命に燃える時期があったり、恋に燃える時期があったりするのですが、仲間と喧嘩したり、絶望もするし、壁にもぶち当たる。振れ幅が大きくて、人間としても面白いので、お芝居や楽曲を通して、皆さんがロナンに感情移入してもらえるように頑張りたいと思います。

―いろんな岡宮さんのロナンの姿を拝見できそうで楽しみにしています。

ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』
東京:2025年4月8日(火)~29日(火祝)明治座
大阪:2025年5月8日(木)~16日(金) 新歌舞伎座
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
<キャスト>
ロナン (Wキャスト):岡宮来夢/手島章斗
オランプ(Wキャスト): 星風まどか/奥田いろは(乃木坂46)

デムーラン:内海啓貴
ロベスピエール:伊藤あさひ
ダントン:伊勢大貴
マズリエ:藤森蓮華

ラマール:俵 和也
アルトワ:高橋健介
フェルゼン:小南光司
ペイロール:渡辺大輔

マリー・アントワネット:凪七瑠海 ほか
公式サイト:https://www.tohostage.com/1789/

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「人生で1番泣いた」「この世界で生きたい」と思った作品
ミュージカル『四月は君の嘘』
:TVアニメ化、実写映画化も大ヒットした人気コミックを原作にした、日本発のオリジナルミュージカル。『ジキル&ハイド』『ボニー&クライド』を手掛けるミュージカル界の巨匠、フランク・ワイルドホーンが作曲を手掛け、2022年に世界初演。2024年にはロンドン、ソウルで現地プロダクションでも上演され、好評価を得た。今回が再演となる。
岡宮来夢が演じるのは、母の死をきっかけに、演奏中ピアノの音が聴こえなくなってしまった元天才少年ピアニスト・有馬公生役。

―ミュージカル『四月は君の嘘』の初演をご覧になったときに「感動と衝撃があった」とコメントされていましたが、その感動と衝撃を詳しく教えていただけますか?
人生で1番泣いたのがこの作品です。僕は青春ものが大好きなんですが、『四月は君の嘘』については原作コミックもアニメも見たことなく、ストーリーも知らずに観に行ったので、「これからどうなっていくんだろう?」と思いながら楽しく観始めました。ワイルドホーンさんが書かれた楽曲はもちろんのこと、キャストの皆さんの歌もお芝居も素晴らしくて。舞台からキラキラしたエネルギーを感じて、なんだか自分もその世界にいるみたいな気持ちになって観ていました。
普通はお芝居を1時間や1時間半ぐらい観ていると、1回休憩して「よし、2幕にいくぞ!」と思うのですが、この作品では「すぐに続きを観たい!」と思ったほど。そして、2幕からは自分もどんどん苦しい気持ちになっていって、最後はマスクの下で、泣いている声が漏れないように、歯を食いしばりながら観てましたね。

―引き込まれたのですね。
楽曲の持つ素晴らしさはもちろん、(上田)一豪さんが手がける訳詞と演出から、とても儚い美しさを感じて、「この世界で生きたい」「一豪さんの世界で生きたい」と、すごく思いました。そうしたらミュージカル『ファンタスティックス』で一豪さんとご一緒できて、本当に嬉しかったです。今回はそれ以来なのでとても楽しみにしています。

―聞くところによると、一豪さんは皆さんとお話し合いをしながら演出される方だそうですが、『ファンタスティックス』ではいかがでしたか?
ファンタスティックスの時は、かなり話し合いをしましたし、楽しかったです。『ファンタスティックス』という作品の持っている可愛らしさというか、ちょっとほんわかした、平和そのものといったような空気感がずっと流れてる稽古場でした。

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―今回の再演ではキャストが一新されます。有馬公生役について、今、感じておられていることは?
まだ漠然としているのですが、僕も野球を挫折して辞めた経験もあるので、親の期待に応えたいという公生とは深刻さの度合いが違いますけど、挫折の辛さや、好きだったものが好きじゃなくなってしまう気持ちはわかります。僕も野球を辞めた後、ちょっと野球を好きじゃなくなったりしましたから。
そして、僕は4月生まれなので、そもそも桜の散る演出や、春らしいピンクなどが、すごく好きみたいです。韓国公演を観に行ったのですが、韓国公演では綺麗な桜の映像が出て来て、すごくワクワクして、「早く稽古がしたい!」と思いました。

―あの世界に入るのが、楽しみですね。
はい!僕は初演のあのシンプルなセットが大好きなんです。余白があって、想像する余地を与えてくれているのも良かったですし、そこにどんどん照明や映像で色が加わって、どんどんカラフルに色づいていくのが好きでした。今度の演出がどうなるか、まだわかりませんが楽しみです。

―俳優さんに視線が集まる演出だった覚えがあります。
それが役者としての腕の見せどころのような気もしますし、そういう意味では、初演のキャストのみなさんは、本当にみんなが素敵だったなと。だからこそ、あんなに感動したんだなと、今、話しながら思いました。

―岡宮さんの“腕の見せどころ”を楽しみにしております。もうひとつの注目ポイントは、ワイルドホーンさんの音楽だと思いますが、いかがでしょうか?
ワイルドホーンさんの楽曲の素晴らしさは、唯一無二だと思うので、出演できる光栄を感じながら演じたいです。ミュージカル『ジキル&ハイド』も観劇しましたが、歌が素晴らし過ぎて「『♪時が来た』を歌いたい!」「演じてみたい!」と思いました。ワイルドホーンさんの作品は、観るとやりたくなるんでしょうかね。(笑)

―ワイルドホーンさんの楽曲は歌うのが難しいとも聞きますが。
ハードルはかなり高いですね。ワイルドホーンさんは、作品によってガラリと仕上がりが違う楽曲を作られるので、『四月は君の嘘』ならではの青春のキラキラ感、疾走感、爽やかさを大切に、フレッシュに演じられるように歌いあげたいと思います。

―そういう高いハードルに向かわれるのは、いかがですか?
楽しいですね。過去にはハードルの高さに、重圧に負けそうになる時もあったんですけど、今はそれを乗り越えて、ほんとに楽しくやれています。きっと『四月は君の嘘』もすごく良いものになるだろうと、自分を信じながら頑張りたいと思います。

―さらに進化される岡宮さんを楽しみにしています。では、最後にこの2作品を楽しみにしている方へ、メッセージをお願い致します。
『1789』も『四月は君の嘘』も再演ですけれども、これまでのキャストのみなさまが積み上げてくださったからこそ、僕にバトンが回ってきました。そのタスキを繋げられるように、これからもこの作品が続いていくように頑張りたいです。両作品とも楽しんでいただける作品に仕上げていきますので、ぜひ、劇場へお越しください。

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ミュージカル『四月は君の嘘』
原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」)
脚本:坂口理子
作詞・作曲:フランク・ワイルドホーン
作詞:トレイシー・ミラー/カーリー・ロビン・グリーン
編曲:ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出:上田一豪
<キャスト>
有馬公生:岡宮来夢/東島 京(Wキャスト)
宮園かをり:加藤梨里香/宮本佳林(Wキャスト)
澤部 椿:希水しお/山本咲希(Wキャスト)
渡 亮太:吉原雅斗/島 太星(Wキャスト) 改行
かをりの父:原 慎一郎 かをりの母:鈴木結加里
審査員:武内 耕・三木麻衣子
相座武士:内海大輔 井川絵見:飯塚萌木
池田航汰 大森未来衣 相樂和希 桜井咲希 佐藤志有 新條月渚 須田拓未
千歳ふみ 千葉海音 鳥居留圭 中野太一 張家ヰエナ 東倫太朗 深澤悠斗
町田睦季 松村桜李 吉岡花絵 渡辺七海

東京:2025年8月23日(土)~9月5日(金)昭和女子大学人見記念講堂
2025年5月31日(土) 一般前売開始
<全国ツアー>
愛知 2025年9月12日(金)~9月14日(日) Niterra日本特殊陶業市民会館フォレストホール
大阪 9月19日(金)~9月20日(土) 梅田芸術劇場メインホール
富山 10月4日(土)~10月5日(日) オーバード・ホール 大ホール
神奈川 10月12日(日)~10月13日(月・祝) 厚木市文化会館 大ホール
公式サイト:https://www.tohostage.com/kimiuso/

ヘアメイク AKi
スタイリング 深澤勇太

ジャケット23,100円、シャツ10,780円、ストール2,750円/キュイー(キュイー)、パンツ6,600円/リメール(リメールストア)

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