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大東駿介、ぬるい自分ではいたくない! 劇団鹿殺し活動15周年公演『キルミーアゲイン』出演単独インタビュー!

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劇団鹿殺しの活動15周年記念公演『キルミーアゲイン』が、2016年の年明け1月9日(土)より上演される。劇団鹿殺しは、2000年に作家・丸尾丸一郎と演出家・菜月チョビが旗揚げし、そのインパクトの強い演劇と音楽的パフォーマンスで、多くのファンを持つ。『キルミーアゲイン』は、劇場を舞台とした、喜劇と悲劇が交互に描かれる丸尾丸一郎の最新作。そんな記念すべき公演に、舞台のみならず大河ドラマ「花燃ゆ」や映画・バラエティーなど幅広く活躍する大東駿介が出演し、さらに公演を盛り上げる。初めて劇団鹿殺しに挑む彼が、「ワクワクしている!」と目を輝かせて意気込みを語ってくれた。

― 今回、初出演となる「劇団鹿殺し」(以下「鹿殺し」)の印象は? オファーを受けた時の率直な気持ちをお聞かせください。
実は出演依頼が来た時、即答ができなかったんです。「やります!」とすぐに言えなくて・・・。正直お断りしようかと思っていました。色々な理由を付けて“やらない”ことにしようと思っていたんですね。単純に少し(「鹿殺し」が)怖かったんです。なぜかというと、「鹿殺し」は確固たるものがあって、他のカンパニーとは違う、自分たちの形態は一切変えずブレない絶対的なものがある。僕も30年生きてきて、自分らしさとか自分のやり方が形作られてきていたので、そこに挑むということの恐怖があったんです。

自分と向き合うことを含め、「鹿殺し」という新しいものと向き合うことで、ぶつかることがたくさんあると思うので、この劇団は無傷で帰れないという印象があったんです。その恐怖で出演を拒んでいるのかと自分自身が考えた時、「いや、自分にはこのオファーを断るという選択肢は無い」と気づいたんです。これを断ったら自分の成長を止めてしまうと。挑戦しなかったら、このまま微温いところで自分が留まってしまうんじゃないかと思って。これに出演できたら、きっとこれまでの見たことのない自分に出会えると思ったんです。それで「ぜひ、やらせてください!」とお願いしたんです。

― 大東さんにとって新たなチャレンジですね?
はい。チャレンジでもあるし、今年30歳になり芸能の活動を始めて10年という節目の年でもあるので、一度鈍りきった自分の心地いいリズムを崩してもう一度考える時なんじゃないかなという気がしていたんです。すごくいいタイミングで「鹿殺し」に出会えたと思っています。

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― 大東さんというと“硬派”というイメージがありますが、今回の公演に向けて準備していることはありますか?
いえ、いつもフラフラしてますから、自分が硬派だとは思っていませんが・・・(笑)。「鹿殺し」には、余計な飾りは必要ない、返ってそれがジャマになる。例えば、ウソの笑顔とかウソの理解とか。社会に出て、人として大人として・・・といったキレイ事はいらない。自分が見ても恥ずかしいような自分を見せてくれる劇団だと思うので、自分の皮を脱ぐ準備はしていますね。

― 劇団員の方たちも個性派揃いですね。演出指導も厳しいとお聞きしますが。
個性が強いというより、人間臭いと言ったほうがいいかもしれませんね。厳しさというのも、芝居の定義とか形に上手にはめようとするのではなく、感覚的、衝動的、直感的なものを求めてくるので分かりやすいんです。それによって傷ついたり、口論になることもあるかもしれないけれど、それを全部分かっている演出家であり座長なので、とても安心しています。揉めることを避けて穏便に済ますということは、良いものを作るためには必要ないですよね。意見されて自分が変わることを拒む方が怖いです。

― 大東駿介という人物を丸裸にされてしまう感覚ですか?
そうですね。それでなければ成立しないと思います。確かに「鹿殺し」は独特ではありますが、役を演じながら自分を燃やしている感じがするんです。どこかからか持ってきた人生を演じるのではなく、間違いなくそこにある人生を演じる感覚ですね。生き様というか、命燃やしている姿が見えると思います。
「鹿殺し」の代表で作家の丸尾さんが、僕を見た印象を「笑っているけど泣いている、怒っている。いろんな感情が見える人だ。だからお願いした」と、言ってくださったんです。「鹿殺し」も音楽もやりながら芝居もやって、楽しいことを吐き出すことに特化していると思うんです。激しい中に静けさがあったり、楽しい中に悲しさがあったりと色んな感情が渦巻いていて、演者の心の奥の奥を見ているような気がするんです。

― 今作は劇場の裏側が舞台になっているので、演じるというより素の大東さんが見られるかもしれませんね。
そこ、重なるかもしれませんね。それも気持ち悪くていいな!と思います(笑)。

― ドラマ、映画、バラエティーなど、幅広く活躍されている大東さんですが、大東さんにとって舞台の魅力とは何ですか?
残そうとしないところです! その一瞬燃えるところを見せられるところかもしれませんね。舞台のDVDができても、それはまた別なものだと思うんです。残らない儚さを含めて、肌に感じるもの、今この役者が生きて演じているものを感じ取るライブ感が舞台の魅力ですね。

― “生”の感覚ですか? 音楽ライブも好きですよね。
音楽のライブもそうですね。あの時のあのライブがメッチャ良かった!とか覚えているものですよね。舞台に立っている人間はお客様の影響を受けるし、天候や体調によっても違うし、その瞬間にしかないものを一緒に共感できることがいいですよね。ライブ感が好きですね。
チョビ(菜月)さんが、「私は演劇が好きなわけじゃない」って言うんです。確かに歌も歌うけどミュージカルではない。感情を吐き出す術が舞台では音楽に変わって行くという自然体な流れであって、歌ったり演じたり楽器を演奏したりしているのです。それが凄く生々しくて面白いんですよ。

― 役者としての真摯な姿勢を感じますが、理想としている役者像はありますか?
特に決まっている像はないです。日々不安定な僕ですが、今はそれでいいかなと思っています。今は「鹿殺し」に向けて気持ちを準備していますが、また違う作品になれば変わる自分がいる。役によって精神状態がまったく違ってきますしね。「鹿殺し」に挑んで泥まみれになる、迷いながらも生きることを止めない自分が、今の確固たるものかもしれない。
それっぽいことを言うのは40、50歳になってからでいいかな。今は色々なことを吸収している時期でもあるし落ち着くにはまだ早いと思っているので、好きなことをしていきたいですね。

― 喜劇と悲劇の背中合わせのような本作ですが、大東さんがこれまでに経験した中で、めちゃくちゃ悲劇だったこと、逆に凄いHAPPYだったことはありますか?
え~~?(しばらく考えて)
う~ん、例えば「僕らは死ぬことを分かっていて生きている」とことも悲劇と喜劇だと思うし。僕、よく自分のなかで“平坦が怖い”って言うんです。嫌なことも楽しいことも起こらないことが一番怖い。“普通”って何をもって言ったらいいのかわかりませんが、心拍数が全然上がらない状況が一番つまらないと思っていました。でも、あえてそれを質問されると何が楽しかったか、何が悲しかったか全く覚えていないものですね。その場の感覚で生きていますからね(笑)。感情を後に残さないですね。

― 前しか見てない?
そんなことないです、アホなだけです(笑)。そんなキレイなもんじゃねぇ~みたいな(笑)。意外と後ろ振り返って後悔したり、過去のことをグズグズ言ったりするし(笑)。でも今「何が悲しかったか?」と聞かれると全然覚えてないんですね(笑)。
楽しかったことは・・・、大笑いしたことより、「あの時ハラハラしたよね」の方が覚えているかもしれませんね。舞台でセリフが飛んでしまった時の絶望感を思い出すと今めっちゃオモロかったし。

― 心拍数が上がることが一番なんですね。
そうかも! 今作の『キルミーアゲイン』の光と影、喜劇と悲劇に通じることですが、楽しいことを思い浮かべると過去の悲劇も思い出す。「あの時すごく楽しかったな」と思い出すと、「でも僕は、なんであんなしょうもないことで笑っていたんだろう」と思い返すこともあるんです。俺ってくだらないヤツだなぁ・・・と悲劇に変わることもある。それが、人を傷つけたような笑いだったりすると、「自分はなんて心の狭いヤツなんだ」とガッカリするんです。楽しい事と悲しいことは表裏一体ですね。

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― 今回の公演を観に来てくださるファンの方も多いと思いますが、大東さんにとってファンの存在は?
舞台に足を運んでくれたり、ファンイベントに来てくれたりすると嬉しいし楽しいです。先日もファンクラブイベントを行ったんですが、特別な事をするわけじゃなくて、ただ7時間話をするというものでしたしね(笑)。

― 7時間ですか?なかなか出来ないですよね。
夜の10時から朝5時まで、ずっと話をしていました。ファンのみなさんも過酷だったと思いますよ(笑)。途中で出てもいいし、途中から来てもいい。眠くなったら寝るというルールのもとで行ったのですが、ほぼ全員最後までいましたね。
僕って、笑顔で手を振る・・・みたいなことが出来ないタイプなんです。「ありがとうございます」という気持ちを「一緒に話しませんか、一緒に飲みましょうよ」という形でしか示せなくて。俳優をしていると、なかなか直接会って話をする機会がないので、普通に話をしてみたかった。色々な話をしました。全てを分かり合えないのが“人”というもの。それぞれ自分にはない、いろんな考え方があって面白かったですね。

― 色々な考え方を聞くことは、自分が役者をやっていく上でいい経験になりましたか?
本当によかったです。人はよく、頑張るとか、一生懸命とか言いますが、その方向性は人それぞれ。能力や正義感、価値観も違うので面白いですよね。ファンの子とちょっとケンカみたいになった場面もありました。ファンの子に凄く否定されて「君って本当に僕のファン?」て(笑)。でも、僕のことをこんなに普通に人として見てくれて、話をしてくれて嬉しかったですね。こんな状況を作った僕はよくやったなと(笑)。ただニコニコして、キャーキャーする会にならなくてよかったと思っています。

― それは人となりの鏡ではないのですか?
それはいつも心がけています。ファンの人にどう見られたいとかあまり考えていませんが、大東駿介を応援してよかったと思われる人間でいたいとは思います。

― 役者以外にチャレンジしたいことはありますか?
音楽とか、めちゃくちゃ好きですね。僕にとって自分を吐き出す術は演じることなんですが、音楽アーティストの方は、自分の中で渦巻いているものを音に変換することができて、すっごく羨ましいですね。音楽もやりたいし、目に見えない自分をどんな風に出そうかといつも考えています。発散したいですね。

― いつも忙しい大東さんですから、ON・OFFの切り替えも出来ていますか?
そうですね、あまりできてないかな。しなくちゃね。でも、そんなに忙しくないですよ。もっと忙しくなりたいです! 刺激が欲しいですね。自分は出来上がったと勘違いするのが怖いですから、どんどんいろんな事をやっていきたいです。変わっていく自分が楽しみです!

― 最後に、舞台『キルミーアゲイン』を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。
チョビさんと丸尾さんが、「劇団鹿殺しは15周年になりますが、自分たちは演劇をやろうとしてここまで来たわけではなくて、たまたま自分の出したい表現が形になって15年続いただけ」とおっしゃっていました。演劇が始めてとか舞台を観るのが始めてという人には、ぜひ来てほしいです。『キルミーアゲイン』でしかない、その時の劇場でしかない、命が花火みたいに燃えている瞬間を体感して持って帰ってもらえればいいなと思います。遊びに来てもらえたら嬉しいです!

【大東駿介 プロフィール】
1986年3月13日生まれ、大阪府出身。05年、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』でデビュー。以後、ドラマ『ウェルかめ』『花燃ゆ』、映画『クローズZERO』シリーズ、『リアル鬼ごっこ』『TOKYO TRIBE』など、数多くの映像作品でキャリアを積む。舞台では『金閣寺』(11/12年)、劇団☆新感線プロデュース『港町純情オセロ』(11年)、『もっと泣いてよフラッパー』(14年)、『カッコーの巣の上で』(14年)などに出演。今作の他、16年3月より公演の劇団☆新感線いのうえ歌舞伎《黒》BLACK『乱鶯』へも出演。

大東駿介 《衣装協力店》
ザ ホワイト ブリーフス/スウィディッシュライフスタイル
ロット ホロン/wjk base
ニル アドミラリ/ハーモニー プロダクツ

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【劇団鹿殺し活動15周年公演『キルミーアゲイン』】
◆日程&劇場
〔東京公演〕本多劇場 2016年1月9日(土)~ 1月20日(水)
〔大阪公演〕大阪ABCホール2016年1月28日(木)~ 1月31日(日)
◆作:丸尾丸一郎
◆演出:菜月チョビ
◆音楽:入交星士×オレノグラフィティ
◆出演:菜月チョビ 丸尾丸一郎 オレノグラフィティ 橘輝 鷺沼恵美子 浅野康之 峰ゆとり 近藤茶 木村アヤナ メガマスミ 椙山聡美 大東駿介 細貝圭 河野まさと(劇団☆新感線) ほか
◆チケット:一般発売は特設サイト、各プレイガイドにて発売中
◆特設サイト:http://shika564.com/15th/

◎劇団鹿殺し
公式サイト:http://shika564.com
Twitter:http://twitter.com/shika564
Facebook:http://p.tl/pzCK

 

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20151107 大東俊介s

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