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舞台『怪獣の教え』 太田莉菜インタビュー! 「私も観客になってこの舞台を観てみたい!」

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演劇と音楽と映画を融合した舞台『怪獣の教え』が、来る9月21日より東京・Zeppブルーシアター六本木にて再演される。
2015年11月に初演された本作は、“ライブシネマ”という新しいエンタテイメントで観客を魅了。小笠原諸島を舞台に、「怪獣」を甦らせようとする天作と、従兄弟の大観。そして、「怪獣の教え」の秘密を知る女性・クッキーが物語を展開していく。再びクッキーとして舞台に立つ、太田莉菜に本作にかける思いを聞いた。

― 本作が再演されると聞いた時の、率直なお気持ちをお聞かせください。
“作品が再演される”ということを聞いて凄く嬉しいと思いましたが、それと同時に自分のことを考えると、不安になったり緊張します。(初演の時は)これまでにないタイプの緊張感や体験が私にとってとても大きなものでしたが、舞台で演じることを楽しむには、“自分はまだまだ足りない”と思うこともありました。充実感だけで終わった・・・というものではなかったので、今度はどんなふうに演れるかな、という期待と楽しみもあります。一度演じたことをもう一度演じるということはなかなかないことです。自分の気持ちのなかには、「また新たに!」という気持ちもありますが、二回目の出演ですから、もう「初めてなので、ちょっとわからない」なんて言えないな・・・と。短い稽古の時間を、自分がどれだけ濃い時間にすることができるか、と考えています。
稽古が開始してしまえばまた違う感覚になると思うのですが、始まりを待っている時間が一番ドキドキしますね。

― 前回とは違う緊張感があるのですね。
そうですね。再演決定を聞いたとき、「あの舞台をまた、たくさんの方に観てもらえるということと、作品を受け入れてくれる人がいたという嬉しさもあります。今度の公演は(前回より)会場も広くなりますので、より多くの方に観ていただけて嬉しいし、楽しみです。

― 今回、初めてご覧になるという方もいらっしゃると思いますが。
たぶん、初めてご覧になる方のほうが多いかもしれませんね。それも楽しみです。

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― 太田さんが演じられる“クッキー”という女性は、物語の中でとても重要な役どころだと思いますが、再演ということも含め、どのように役作りをしようか考えましたか?
窪塚さんと渋川さん、私の3人がトライアングルになっているので、この3人が集合して初めて色々なところを詰めていきます。今考えると、前回は体と言葉がちぐはぐになっているなと思うこともあったので、クッキーの言葉をより自分自身に染み込ませていこうと考えています。クッキーの存在感は彼女の空気も含めて、言葉の持つ力がとても大きく、彼女が舞台に立つ時は、(窪塚さんと渋川さん)2人が作る絶対的な空間を、ある意味破壊します。そこからまた物語は続いていくので、そのつなぎ目となったときに、初演では自分が「やらなきゃいけない!」という気持ちのほうが凄く強くて余裕がありませんでした。今回は、もう少しフラットな気持ちでリラックスしてできたらいいな、と思っています。

― 窪塚さんと渋川さんとは久しぶりの再会になりますか?
そうですね。お二人はとても優しい方なので、お会いするのがとても楽しみです。そして他の作品で会うのとは違う感覚があるかもしれません。1人の人間を通して、本人とキャラクターという2人の人間に会っている感じがするんです。この2人が今回どんなふうに変化しているんだろうかと、楽しみにしています。

― 『怪獣の教え』という舞台は、演劇+音楽+映像という独特な舞台ですが、本作の魅力は何でしょうか?
ライブ感覚が強い作品だと思います。私は、いつもこの作品を観たいなと思うんです。

― 観客になりたい、ということですか?
はい。でも出ている側なので、無理なんですけどね(笑)。リハーサルの時に観客席から見ることがあるんですが、音響や照明、映像を見ていると、舞台を観ているというより、ライブに来ているような感覚になってくるんです。そして、芝居が始まるとまた違った空気になっていく。なんだろう・・・凄くいいんです。生バンドが舞台上に入ることは他にもあると思いますが、あれほど音楽を前面に打ち出して、さらに強烈な芝居が乗っかってくるという舞台はなかなかないのでは? クッキーが登場する場面では、ロマンチックなシーンもありますし、柔らかくサイケデリックな感じでもあります。テーマによって音楽も変わりますが、丸ごと空間に身をあずけられる感じ。観るというより、まさに“体感する”と言ったほういいかもしれませんね。
私も観客になって観てみたいです!(笑)

一般的には舞台が始まる時って、ブザーがなって開始されると思いますが、この公演では始まる前から会場にGOMAさんの演奏が流れているんです。入った瞬間から催眠術にかけられているかのように、スーっと(舞台と客席が)一体化していくような感覚。私は、いつも観客のみなさんが羨ましいなと思っていました。でも、もし私が客席にいたら、逆に舞台に立っている人を羨ましいと思うかもしれないので、その舞台に立てるということはとても幸せなことだなと思います。

― 独特な演出が楽しみですが、豊田監督はどんな方?
特に変わったことを言うことはありませんが、ピンポイントで「そこは違うな」と言ってくださいます。監督が、「映画と舞台では演出が違う」とおっしゃっていました。豊田監督は明確な答えを言うのではなく、役者本人が持っている感覚を見て何かを引き出してくださっている気がします。決まった形とか決まりきった表現は求めていいない。クッキーという女性像は、自分の心の中にはいるかもしれないけれど、今まで出会ったことがないタイプ。前回、それを実像として表現していく作業が、とても難しかったです。

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― 太田さんが考える“クッキー”という女性像とは?
クッキーという女性は、多くの女性が持ち合わせているであろう理想と現実を魅力的に描いたキャラクターだと思います。女性の心には、美しいものを求めるとてもふわふわしたところがあれば、現実主義なところもある。でも表面では現実的なドロドロしたものは見せない。女性って少なからず、そういうところがあるんじゃないでしょうか。それを隠すことなく見せているクッキーは、とても生々しいかも。あっけらかんとして、自分の気持ちの赴くまま、誰にも縛られないけれど、自分の中ではいろんな葛藤があってそれに必死に向き合っているんだと考えます。

― “クッキー”という女性を太田さん自身を通して見るからリアルに映るんですね。
そうだとうれしいですね。最初にクッキーという存在を理解しようとしたとき、これって男性がこれまで出会ったり、想像する理想像なんじゃないかな?と受け取りました。でも、監督はそうじゃないっておっしゃるんです。演じていくうちに、確かに自分の中で固定概念を作ってしまってはいけないんだなと考えるようになりました。クッキーに対して素直になることでリアルな感じが出て、今回は(クッキーに対して)前回よりもっといい付き合いができるような気がしています。

― そうすると、前回とは違うクッキーも見られるかもしれませんね。
同じことを二度やることはないと思うので、楽しみにしていただきたいです。たぶん、稽古が始まるとだんだん舞台の感覚が蘇ってきて、窪塚さん演じる天作と、渋川さん演じる大観と私の3人+監督が揃ったときに、何かが起こると思っているんですが・・・、実際に会っても何も変わってなかったりして(笑)。

― いつも体当たりで演技される太田さんですが、舞台の魅力ってなんでしょうか?
やっぱりライブ感ですね。生の演技ですから、一回きりということ。私は音楽のライブに行くのが大好きなんですが、その会場に向かうときのワクワク感がたまらないんです。舞台も同じ気持ちですね。その場に立ち会った人しか味わうことができない空気、役者と観客の一期一会がいいんです。自分はまだまだ頑張らないといけなくて、挑戦の部分も大きいです。

― そんな太田さんの原動力は何でしょうか?
私は「自分自身がどう生きていくか」ということをメインにして過ごしています。原動力は人との出逢い。仕事をしていると、自分と近いところに魂があるなと感じる出逢いがあるんです。今回は本当にそういう場を持つことができました。仕事のキャリアとして大きな経験をしたというより、人との出逢いで自分の流れを変えたかなと思うことの方が大きいです。人は一人では生きていけないから、そういう意味でも人との出逢いって大きいですね。そこでの刺激が、「もっと勉強したい」、「挑戦したい」というような色々な自分の欲求をより深めていくことにつながっていくと思っています。

― 自分と近いところに魂があると感じるときはどんなとき?
それは自分に似ているとかいうのではなく、言葉が通じる感覚と言ったらいいかな。自分の持つ感覚を形にして表現できないとき、それを分かってもらえる感じ。そして刺激を受ける人。自分はまだまだ足りない、出来ないと思うなかで、窪塚さんと渋川さんの芝居はとても刺激を受けました。自分が影響を受けてそう思うのかもしれませんが、それだけ自分が刺激を受けることってなかなかないんですよね。

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― スタイルも抜群でいつも美しい太田さんですが、日々の生活で気をつけていることは?
う~ん、気をつけていることですか・・・。自分のダメな部分をいつも目の当たりにしていて、こういう仕事をしていて大丈夫かしらって思っちゃうんですけど(笑)。
自分の気持ちの持ち方で生活面も健康面も左右するタイプなので、いつもフラットな気持ちでいることが大事だと思っています。自分が大事だと思う人や物事に対して、素直に向き合えることさえできればいいかな。そのためにも健康的な生活は欠かせないと思います。家族がいるので、一応きちんとした生活を送っていますが、一人になると本当に自堕落な生活になってしまうんです(笑)。いつも「早寝早起き!」「ごはんはちゃんと食べよう!」って自分に言い聞かせています(笑)。
生活のリズムが乱れると精神も乱れていくんです。緊張が続く仕事なので、それをどこで開放させていくかも大切ですね。

― あまり肩に力が入ってない感じがいいですね。
大概こんな話をすると、「ウソついてる~」って言われちゃうんです(笑)。本当は何か色々しているんじゃないの?って。運動しているときは、していますと言いますが、今は本当に何もしていないので(笑)。

― 頑張るときと、リラックスするバランスが取れている?
以前より上手になったかもしれません。長い期間集中することが苦手で、やらなくてはいけない!となったときに凄く集中するんです。なので、私生活は適度に・・・(笑)。

― 本作のサブタイトルに「夢をみることに、あきたことなんてない」とありますが、太田さんの今後の夢や目標があったら教えてください。
「夢」は、自分の周りの人たちがみんな健康で幸せに生きてくれたらいいな、自分もそうだといいなということ。年を重ねるごとにそういう思いが強くなっていきますね。
「夢」と「目標」には、人との出逢いがとても影響があると思っています。突然思いもよらない仕事のお話をいただいたり、それに向き合うことが今とても楽しい。他人に迷惑をかけないというモラルは持ちつつ、自分のやりたいことに対しては大胆に行動し、積極的に動いていけたらいいですね。そしてそれを一つ一つ悔いのないようにやっていきたいと思います。

― 最後に今回の舞台を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。
ぜひ、お水持参で来てください(笑)。休憩なしなので。会場に入って椅子に座る瞬間から出来上がった空気があって、観る方も終演まで力が入ると思います。私自身が凄くこの舞台を観たいと思っていますので、観客のみなさんが羨ましいです。なので、みなさんを裏切らないように頑張ります。どのように観て、受け取るのかはお客様にお任せしますが、約1時間半の間、そこに思いっきり身を投じてくださったら嬉しいです。

【太田莉菜 おおたりな】プロフィール
1988年、千葉県出身。2004年に映画『69 sixty nine』で女優デビュー。近年の主な出演映画は『脳男』(瀧本智行監督/2013)『カサブランカの探偵』(2013) 『ホットロード』(三木孝浩監督/2014)『海月姫』(2014)『THE NEXT GENERATION ‐PATOLABOR‐』(2014、2015)『テラフォーマーズ』(2016)など公開作が相次ぐ。

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【公演詳細】
舞台『怪獣の教え』
演出・脚本・映像:豊田利晃
出演:窪塚洋介、渋川清彦、太田莉菜
音楽:TWIN TAIL
[ 中村達也(Dr) ヤマジカズヒデ(Gt) 青木ケイタ(SAX&FL)]

日程:2016年9月21日(水)~25日(日)
会場:Zeppブルーシアター六本木
料金:7,800円(全席指定・税込み)
主催:Zepp ブルーシアター六本木運営委員会
企画・製作:株式会社ヌーヴェルヴァーグ・株式会社ギークピクチュアズ・株式会社パルコ
公式サイト:http://kaijuno-oshie.com/

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