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「こんな芝居は初めてです!」 加藤和樹インタビュー 『ペール・ギュント』出演 

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デビュー10年となった今年、大きな注目を集めている俳優・アーティストがいる。
加藤和樹だ。

デビュー翌年から始めた歌手活動に加え、俳優・声優として映像でも活躍してきた彼は、近年、ミュージカルで大舞台に立ち、ミュージカル『タイタニック』では主演を務め、2016年には東宝ミュージカル「1789~バスティーユの恋人たち」で東宝作品での初の主演を演じる。
5月に全国14か所のソロツアーを終えた彼が、今、挑んでいるのは舞台『ペール・ギュント』。

構成・演出は白井晃、出演 内博貴、藤井美菜、加藤和樹、前田美波里という豪華キャスト。
7月11日からKAAT神奈川芸術劇場 ホールで幕を開ける『ペール・ギュント』の稽古場で、加藤和樹に話を聞いた。

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―舞台『ペール・ギュント』では、加藤さんがどんな役を演じられるのか、パンフレットにもプレスリリースにも記載がなく、謎です! 可能な範囲で、教えて頂けますか?
僕が頂いている役は3つあります。鍛冶屋のアスラック、フォン・エーベルコップ、ベグリッフェンフェルトです。演出の白井晃さんからは「ペールと相対するような存在をやってもらう」と言われていました。ただ「それは自分の中でペールに対して思っていてくれたらいい。芝居の上で、それを全部出して欲しいということではないよ」とも言われています。お客さまも「そういう存在なのだ」と分かって見て頂けると「そう言われれば、そうかな」と感じて頂けるところがあると思います。

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―3つの役に、何か共通点があるのですね。
それは僕だけではなくて、他の役者さんが演じる役もそうなっています。役は違えども「言われてみれば、この役者さんの役は、ペールに対してこういう存在だね」という、きちんとした役割があります。
そして…、物語の本線は原作に忠実ですが、白井さんが描きたい「もう1つ世界」が、同時に存在しています。

―え~!もうひとつの世界が、同時に存在する?!
白井さんの舞台は二重構造や、お客さまに考えて頂こうとする舞台が多いんです。僕が以前、一緒にやらせて頂いた『オセロ』という作品もそうでしたが、お客さんも巻き込んで、1つの空間世界・劇場の世界を作り出すという手法を、わりと多く取り入れています。

―しかも俳優1人に、幾つもの役がある…
そうですね。基本的に内博貴さん演じるペールは、舞台にほぼ出ずっぱりです。そして僕たち、他の役者も物語の本線のシーンの中にはいない時も、もう1つの世界…外枠の世界にはずっといて、舞台のどこかでフリーズせず、ただうごめいていたりします。存在感が強くなりすぎると本線を邪魔することになるので、表現しすぎないように存在しています。外枠の世界を、どこまで見せるのか…「空間を埋めたい」と白井さんはおっしゃっていて、そこを狙って僕たちも動いていきます。ある程度のきまりの動きは決めていくと思いますが、それに準じて誰がどう動くのかは、1人ひとりがアンテナを張って、それぞれの感覚でやるしかない。「偶発的に起こってくるもの」がお客さまもきっと面白いと思います。

―俳優の負荷は大きいですね。
僕らも今はまだ、さぐりながら稽古しています。白井さんが作り出す世界観に、どこまでついて行けるだろうなぁ、と。役者もそうですし(笑)、お客さまにも1度観ただけで分かってもらえるかなぁ…。幕が開くまで、もう1ヶ月を切りましたから、ここからが勝負ですね。

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―観るべきものが盛りだくさんですね。
はい(笑)。とても難しいのですが、本線にいる時には、その役で生きています。とても目まぐるしく世界…時代も変わって動いて行く作品です。
前半は、ペールと前田美波里さん演じる母親とのやりとり、そして母親が亡くなって、ペールがどう独り立ちして生きていくのか、というところが見どころになりますが、その中で出会う人々が個性的で、今回のキャストも個性豊かな方々ばかりなので、お芝居として見ごたえがあると思います。

―そこにスガダイローさんの生演奏の音楽と、小野寺修二さんの振り付けが付くという…。
はい、昨日スガダイローさんが稽古を見にいらしたので、そこから自由にフリーに作っていかれると思います。音楽もある程度はきまるでしょうけれども、本番も生演奏ですから、基本はフリーのジャズです。

―生演奏だから舞台に合わせて…
毎日違うかもしれない!

―贅沢ですね。
ただ本線の芝居の部分は、もう固める作業に入っています。固めながらも、音楽・振付が入ると、また変わって来ると思いますが(笑)、少しずつ芝居をつなげて、本線から無機質なものへ変わる感覚もだんだん分かってきています。
こんな芝居は初めてです。いろんな役を演じることも、本線じゃないところで舞台に居続けることも…。

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―出演を決められた時は、そこまで分かっていなかった?
分かっていなかったですね。本線の3つの役だけしか分かっていなかったです。
本線の芝居を見せたい時も、後ろの方に外枠の世界がチラホラ見える。だから稽古中も、皆がずっと出ずっぱり(笑)。でもずっと舞台の上にいられることで、そのシーンが自分の中に入ってくる。そして次の場面へとつながっていくので、それがとても面白いです。舞台の袖にいるのとは、全く違った感覚です。

―本当に壮大な舞台ですね。
お客さまには、もちろん本線のペール・ギュントの物語を見て頂きたいのですが、平行して存在している外枠のパラレルワールドみたいな世界も見て頂くと、2つの世界がリンクする瞬間があります。それも楽しんで頂きたいですね。

―本作のテーマは「自分探しの旅」ですが、俳優というのは常に自分と向き合って自分探しをしているようなものかとも思うのですが、如何でしょうか?
結局は自分の中にある感情だと思います。演じるとは言っても自分の中にある「自分」を表現することです。例えば、今回演じるベグリッフェンフェルトという役は、ちょっと頭のおかしな人です。ただそうしたおかしな人を型で演じようとすると簡単だけど、そういうことではなくて、自分の中で、そのおかしなものを本物にしてから演じる。それが、僕の今回のテーマでもあります。

―俳優として舞台に立つ時、歌手・アーティストとして舞台に立つ時、ご自分の中で違うものはあるのでしょうか?
基本的には違わないと思っています。自分として立つか、役として立つかの違いはありますが、ライブもお客さまにお見せするものですから「自分を着飾る」部分、芝居とは違って「自分を作る」部分があります。ライブではありのままをお見せするわけですが、すべてを見せるわけではありません。音楽は、自分の言いたいこと、伝えたいことをストレートに伝えられます。
一方お芝居では、例えば演出や意図、作品やテーマをお客様に伝える、感じてもらう…それだけの違いだと思っています。どちらもメッセージを伝えるのは、自分自身であり、役というフィルターを通した自分です。

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―ご自分でプロデュースされる時に、大切にされている部分は?
何でもそうだと思いますが「自分が楽しまなくては」という点ですね。今の自分の状況を楽しまなくては、嫌々やっていても見ている方には伝えるべきものが上手く伝わらないですから。
「加藤和樹」という人間、アーティストでどれだけ遊んで、客さまに楽しんで頂けるか…。自分がやりたいこと、歌いたいこともありますが、周りのスタッフやメンバーに「もっと、どうしたら加藤和樹が面白くなるか」を相談します。もっと自分を使って欲しい。加藤和樹で遊んでほしいのです。「加藤和樹に何をやらせたら面白いか」と、ディスカッションを重ねて作り上げていきます。その作業は、舞台を作っていくのとまったく同じです。そしてその上に自分をのせてみると「自分ってこんなこともできるんだ」「こういうことをやると面白い」「こういう見せ方もできるのか」と発見もし、「自分にも、まだいろんな可能性がある」と気付かされています。

―刺激をもらいつつ変わってこられた?
自分自身は昔から変わっていないと思いますが、思いや感情は、時に変わりますよね。表現したいものや伝えたいこと、今言いたいことも日々変化していく。年齢によって感じ方も違う。そういうものを伝えていければいいなぁと思います。そういうものを歌にして、歌詞にして伝えられるのは、音楽の魅力だと思います。
ただ役者も同じで、今、この年齢になった。これだけの経験をした。そして「昔だったらこの役はできないけれど、今ならできる」「この役は、今やったらいいのではないか」となる。その時々に会うものが変化しているし、そして今後も変わっていくでしょうね。それがとても楽しみです。

―歌手デビューでは来年は10周年ということで、計画などは?
そうですね、考えてはいますが…。まずはこの目の前の『ペール・ギュント』をなんとかしなくては。本当にみんなで作り上げる作品です。

―誰か1人欠けても
できないですね。代わりは無理です!白井さんのもと、頑張って作り上げたいと思います。

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加藤和樹
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katokazuki

 

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応募の際には、
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Twitter https://twitter.com/astage_ent
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※インタビューおよび作品の感想もお待ちしております!

■応募締切
7月15日(水)まで
・当選者の発表は、発送(2015年7月下旬予定)をもって代えさせていただきます。
なお、当落に関するお問い合わせはお受けできません。
・当選者の方にはDM(ダイレクトメッセージ)にて当選のご連絡をさせていただきます。
※DM(ダイレクトメッセージ)は@astage_entをフォローいただいてませんと、お送りすることができません。

たくさんのご応募お待ちしております!

加藤和樹 (かとうかずき) 
2005年ミュージカル「テニスの王子様」で脚光を浴び、2006年4月Mini Album「Rough Diamond」でCDデビュー。 日本や韓国・台湾・中国でのCDリリースし、活発な音楽活動をする一方、俳優としてもドラマ「仮面ライダーカブト」「ホタルノヒカリ」「インディゴの夜」等に出演。また「家庭教師ヒットマンREBORN」 桔梗役や時代劇アニメ「義風堂々」石田三成役、ゲーム「戦場の円舞曲」などで声優としても活躍。
近年はミュージカル「ロミオ&ジュリエット」ティボルト役や世界初演ミュージカル「レディ・ベス」ベスの相手役・ロビン役など大型ミュージカルにも出演。ミュージカル「タイタニック」では主役を務め、2016年には東宝ミュージカル「1789~バスティーユの恋人たち」で東宝作品での初の主演を演じる。多岐に亘る活動によりファン層も幅広く、歌手・俳優・声優として注目を浴びている。

『ペール・ギュント』あらすじ
夢見がちな男ペール・ギュントは、純情な女ソールヴェイと恋に落ちるが、穢れのないソールヴェイにふさわしい自分自身を見つける事が出来るまで、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。砂漠から嵐の海まで世界各国を遍歴した後、老いて帰郷し、そこで死神の使者であるボタン職人と名乗る男と出会い、自分の人生の無意味さに気づかされてしまう。そして疲れ果てたペールはずっと待っていたソールヴェイのもとに辿り着く・・・・。

【公演情報】 『ペール・ギュント』
作/ヘンリック・イプセン
構成・演出/白井晃
翻訳・上演台本/谷賢一
音楽・演奏/スガダイロー
振付/小野寺修二

【出演】
内博貴
藤井美菜 加藤和樹 堀部圭亮 橋本淳 三上市朗
河内大和 小山萌子 桑原裕子 辰巳智秋 瑛蓮
宮菜穂子 皆本麻帆 荒木健太朗 青山郁代
益山寛司 高木健 チョウヨンホ 間瀬奈都美 大胡愛恵 薬丸翔 石森愛望
前田美波里

【演奏】
スガダイロー(Composer, Piano) 東保光(Bass) 服部マサツグ(Drums)
Tyme. /Tatsuya Yamada(dub mix, music effect)

【東京公演】
公演日程   2015年07月11日(土)~7月20日(月)
会場     神奈川芸術劇場 ホール
チケット料金 S席 9,500円  A席 7,500円 B席 4,500円(全席指定・税込)
U24チケット(24歳以下)4,750円/高校生以下割引(高校生以下)1,000円
シルバー割引(満65歳以上)9,000円
お問合せ   チケットかながわ 0570-015-415
※特設サイト  http://www.pg2015.jp

【兵庫公演】
公演日程  2015年7月25日(土)13:00/18:00、26日(日)13:00
会場    兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール  http://www.gcenter-hyogo.jp