昨年5月に亡くなった演出家・蜷川幸雄の代表作『ムサシ』が2018年、蜷川の三回忌追悼記念公演として再演されることが決定した。
この作品は劇作家・井上ひさしによる書き下ろしで、2009年に初演。
翌年にはロンドン・ニューヨークから招待され海を渡り、辛口で知られる英米の劇評家や満員の客席から大喝采を浴びた。
イギリスの「インディペンデント」などの有力紙が、字幕で上演する外国作品に対して5つ星の高評価を与えるのは大変珍しいこと。重厚なテーマの中に笑いを盛り込んだオリジナリティ溢れるエンターテインメントとしての評
判は世界を駆け巡り、その後も海外からの招聘が相次いだ。
現時点で、のべ5カ国9都市、計171ステージで約17万人を動員する名作舞台となっている。
2013年のシンガポール、そして2014年のソウル公演でも批評家たちから、その年に上演されたすべての舞台作品の中でナンバー1の称号を得ている。(シンガポールでは「演劇界の3巨匠」として、ピーター・ブルック、サイモン・マクバーニーの作品と並んで『ムサシ』が招聘された。)
2018年の再演でも、宮本武蔵を演じるのは藤原竜也。デビュー20周年を締めくくる舞台作品となる。
対する小次郎は溝端淳平が演じる。
他にも鈴木杏、六平直政、吉田鋼太郎、白石加代子ら、蜷川幸雄から最後に直接演出を受けた最高のキャストが誰一人として欠けることなく再集結する。
2014年の上演時、藤原が劇中の武蔵と同じ35歳になったら、もう1度『ムサシ』をやろうと蜷川と約束したメンバーが勢揃いして、巨匠の三回忌を豪華に盛り上げる。
藤原竜也(宮本武蔵役)コメント
大変貴重なことに、井上ひさし先生が自分にあて書きしてくださった『ムサシ』には、”レクイエム”の要素が詰まっています。昨年、蜷川さんがお亡くなりになり、来年三回忌を迎えます。そして今年、自分は35歳と
いう劇中の宮本武蔵と同じ年齢になりました。今、この時に上演することにとても意味のある作品だと思います。しっかりと丁寧に演じたいです。
溝端淳平(佐々木小次郎役)コメント
『ムサシ』は命の尊さ、平和を願った戯曲です。前回から参加させて頂いた僕も日本だけじゃなく海外で、この戯曲の力に圧倒されました。韓国公演でカーテンコールの際、若い韓国人の方が「日本と韓国もこうある
べきですね」と泣きながら拍手してくれたことが今でも目に焼き付いています。蜷川さんが作り上げ残して下さったものを大切に大切にしながら、邁進したいと思います。
『ムサシ』
<作> 井上ひさし(吉川英治「宮本武蔵」より)
<演出> 蜷川幸雄
<音楽> 宮川彬良
<出演> 藤原竜也、溝端淳平、鈴木杏、六平直政、吉田鋼太郎、白石加代子/
大石継太、塚本幸男、飯田邦博、堀文明、井面猛志
2018年 公演日程
2018年2月~3月 Bunkamura シアターコクーン、彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
他、大阪、中国でも上演予定。
2017年秋、前売り発売予定。