介護、売春、エイズ、宗教問題…
現代社会が抱える問題を余すところなく描き、 悲劇性と喜劇性が見事に融合した
松尾スズキの伝説的な作品が15年ぶりに封印が解かれる─!
限りなく深い人間の”業“の闇…。演歌歌手として再起を目指す元アイドルを主人公に、不幸が不幸を呼び、負の連鎖が奇怪にうねっていく…。15年前に初演された衝撃の問題作が、2017年8月に蘇る!
2017年8月10日(木)より日本総合悲劇協会vol.6『業音』が上演される。“悲劇”をテーマとした作品を描く、松尾スズキが作・演出をするプロデュース公演、「日本総合悲劇協会」。『業音』は、2002年にその日本総合悲劇協会の三作目として初演された。荻野目慶子を主演女優として迎え、人間の業や執念、情念を描き、現代の日本人の生々しい感情をさらけ出した人物造形が大きな話題となった。
観るものに衝撃を与えた本作は、松尾作品の新たな方向性を作った問題作として再演を望む声の多かった作品です。その『業音』が15年の時を経て、2017年8月再演する。初演時、荻野目慶子の体当たりの演技が話題となった主人公役に、この再演では、初演時は【粥】役として出演した平岩紙が挑む。
─大人計画初の海外公演!
2013年、松尾スズキにとって初の海外公演となった「マシーン日記」(作・演出/松尾スズキ、東京芸術劇場プロデュー ス)パリ公演は、言語を超えた理解で高い評価を得ました。以来、パリの観客、劇場関係者から、「松尾作品を再びパリ で」と、上演を望む声が多く、今回は松尾の作品作りの基本である“大人計画”の劇団公演として、大人計画旗揚げ30周年を目前に初の海外公演に臨みます!2017年パリ日本文化会館20周年を記念し、パリの観客の4年越しの期待に応 えるべく、「大人計画」の代表作である『業音』を上演致します。そして今回、フランスにおいてはアヴィニョン演劇祭と双璧 をなす舞台芸術祭・フェスティバル・ドートンヌに参加が決定致しました!
─初演舞台写真が公開!
初演時は、ほとんどの登場人物が自らの名をそのまま役名にし、物語も現実の出来事を連想させる内容だったこともあり、大きな話題となりました。その15年前の伝説的な初演時の舞台写真が公開! 初演では、介護、宗教問題、エイズ…現代社会が抱える問題を余すところなく描き、悲劇性と喜劇性を見事に融合させた 松尾スズキ。松尾は、今回の再演についてこう語る。 『 “ わかっちゃいるけどやめられない ” という人間の持つ “ 業 ”を、悲劇性と喜劇性が一緒くたになったような混沌の世界の 中で描きます。 “ 神とは何か ” という壮大なテーマになっていきますが、笑いの中でそれをどう見せていくかということにチャレンジしてきます』また、再演では固有名詞をはずし、より普遍性を高めた物語へ改訂していくという。 人間の「業」は、音が鳴るとしたらどんな音なのかという着想から生まれた本作。松尾スズキの濃密な世界を、個性豊かで熟練された大人計画劇団員の確かな演技で魅せる、2017 年版『業音』は、どんな音が鳴り響くのか、乞うご期待ください!
主人公役を演じる平岩紙よりコメントが到着!!
ーー再演で主人公役を演じることについて
前から松尾さんから『業音』の再演をするというお話は聞いていました。初演の時、荻野目慶子さんが演じていた役を演じ ることを現実的に考えられる年齢に、自分がやっとなったかなと思います。役者として重ねてきた年月を経て、ようやく向 き合える役だと思います。
ーー『業音』は平岩さんにとってどんな作品ですか?
松尾さんの作品の中でも、とっても特殊で、特別な作品だと思います。1つだけ浮いている感じします。荻野目さんの存在 がとても大きい舞台で、荻野目さんの空気の中で演じていた感じがします。不思議なふわふわした作品というか、特別ですね。
ーー初演時の『業音』の思い出を教えてください。
初演時、私の演じた粥の台詞のなかで「いっぱいいっぱいで生きてるし」と言うシーンがありました。当時からこの台詞は 自分に響いて、不思議なことに、未だに忘れられません。また、この作品でギターを弾くシーンがありまして、ギターを弾くのは初めてだったので、もの凄く緊張しました。 宮藤さんが先生になってくれて、稽古以外の時間に宮藤さんがわざわざ来てくださって、教えていただいたんです。当時、宮藤さんもよく時間があったなと思います(笑) でも、ゲネプロぎりぎりまで弾けなかったんです…。初日の日に、えい!やんなきゃいけない、びくびくして失敗するよりも、思いっきり弾いて失敗するほうがいい!と覚悟を決めて弾きましたね。
ーー大人計画初の海外公演について
パリの方々からどういう反応が返ってくるのか楽しみですね。15年経っても、介護の問題をはじめとした今でも変わらない社会問題が描かれていて、それがどう伝わるのか。また、繊細な松尾さんの台詞が、どういう風に訳され、海外の方々に伝わるのかが楽しみです。
ーー意気込みとPRメッセージをお願します。
いつも私たちをテレビでしか見ていない新しいお客様にも、毎回大人計画の作品をご覧頂いる昔からのお客様にも、みんなに観て頂きたいです! 昔、松尾さんが書かれた作品と、今の松尾さんが書かれた作品はまた違いますし、『業音』は重いというイメージがありますが、松尾さんの中にある原点をのぞき見してもらいたいな、と。松尾さんにとっても、この作品は特別な作品だと思います。 また、久しぶりに劇団員の先輩方とやれるので、大人計画という劇団がどういったところで、どんな作品を上演するのか、ということを知っていただき、いろんな視野のお客様に観て頂きたいです。
【公演概要】
♪わかっちゃいるけどやめられない。
それが「業音」の調べ。
時を経て、また鳴り響く――
日本総合悲劇協会 vol.6「業音」
◆作・演出:松尾スズキ
◆出演:
松尾スズキ、平岩紙、池津祥子、伊勢志摩、宍戸美和公、宮崎吐夢、皆川猿時、村杉蝉之介、
康本雅子+エリザベス・マリー (ダブルキャスト)
東京公演:2017年8月10日(木)〜9月3日(日)東京芸術劇場 シアターイースト
名古屋公演:2017年9月13日(水)〜14日(木)青年文化センター アートピアホール
福岡公演:2017年9月16日(土)〜18日(月・祝)西鉄ホール
大阪公演:2017年9月21日(木)〜24日(日)松下 IMP ホール
松本公演:2017年9月29日(金)〜30日(土)まつもと市民芸術館 実験劇場
パリ公演:2017年10月5日(木)〜7(土)パリ日本文化会館
◆オフィシャル HP:http://otonakeikaku.jp/2017go_on/