ともに劇作家・演出家として活躍する二つの才能が出会う!
長塚圭史(演出)×前川知大(作)の初タッグが実現!
『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』(作・演出)、『マクベス』(演出)と、シアターコクーンの空間に挑戦的で壮大な世界を生み出して来た長塚圭史。蜷川幸雄演出『太陽2068』で近未来SFを確かな筆致で描き出し、近年は映画(入江悠監督『太陽』脚本、今秋公開の黒沢清監督『散歩する侵略者』原作)でも活躍するなど、今、最も注目される劇作家・前川知大。演劇界の次代を担うこの二つの才能が、初タッグ!
本作の制作にあたり、1年以上にわたる打ち合わせを重ねてきた二人。長塚が今、演出家として興味を持っていることと、前川が好んで書き、今回の戯曲に盛り込もうと思っていた表現方法が奇しくも合致、幾重にも重なる入れ子構造の本作が誕生した。それぞれ、独自の世界を築いてきた同世代の二人が出会い、どのような舞台が生まれるのか。この夏最大の話題作に、どうぞご期待ください。
シアターコクーン、夏のラインアップは、ゾクゾクするような新作で幕開け
<演じること>がサスペンスフルな手法で浮かび上がります!
2006年、前川知大が全作品の作・演出を手掛ける劇団「イキウメ」で初演された『PLAYER』。謎の死を遂げた女性が生者を通じ、死後の世界から語りかける――。死者の声が、選ばれし者(Player)の身体を利用し再生(Play)されるというサイコホラーは、小劇場ファンの間で話題を呼び、約100人キャパの劇場は連日満員。チケット入手困難の公演となりました。
ふたりが組む本作にと前川が提案した戯曲『PLAYER』に触発された演出家、長塚圭史は、<生きる者が死者の再生装置となっていく劇『PLAYER』>と、<俳優たちが劇作家の言葉を再生する『Play』>を重ね、より大きな物語として構成できないかと考えました。それを受けた前川は、今回、自作『PLAYER』を劇中劇として取り込んだ、新しい戯曲「プレイヤー」を書き上げました。
『PLAYER』の戯曲が持つ不穏な世界が、演じる俳優たちを浸食していくことに……。
現実なのか、物語なのか、境界線は徐々に曖昧になっていきます。同時に、観客の目の前にいる俳優たちが「俳優役を演じる」というレイヤーも加えれば、入れ子のように幾重にも<演じること>が重なっていき……。浸食し合うリアルとフィクション、スリリングな世界が立ち上がることでしょう。シアターコクーン版として出現するオリジナル作品にご期待ください。
”Player”として参戦する、実力派揃いの魅力的なキャスト!
「Player」として、狂気を帯びてゆく俳優たちには、この上ない魅力的なキャストが集まりました。主演は、蜷川幸雄に見出されて以降、舞台、映画、TVドラマ、CMなど幅広く活躍し、押しも押されもせぬ存在となった藤原竜也。共演は、前川とは5度目のタッグとなる仲村トオル。前川をして『演じる役の論理や感情を照れなく伝えられる』と言わしめるまっすぐさが本作にどういかされるのか。そして、わずか12歳で初主演したドラマ「瑠璃の島」では高い演技力で注目を浴び、以降映像作品を中心に活躍、今作が3作目の舞台出演となる成海璃子、変幻自在の演技力と際立つ存在感の木場勝己。さらに、作品のキーパーソンとなる女性演出家役に元宝塚トップスターの真飛聖。透明感がありどこかミステリアスな雰囲気が本作にどう影響をもたらすのか、どうぞご期待ください。
あらすじ
舞台はある地方都市の公共劇場、そのリハーサル室。国民的なスターから地元の大学生まで、様々なキャリアを持つ俳優たちが集まり、演劇のリハーサルが行われている。 演目は新作『PLAYER』。幽霊の物語だ。死者の言葉が、生きている人間を通して「再生」されるという、死が生を侵食してくる物語。
<行方不明の女性、天野真(あまのまこと)が遺体で見つかった。死後も意識として存在し続けることに成功した彼女は、友人達の記憶をアクセスポイントとして、友人達の口を借りて発言するようになっていく。事件を追っていた刑事、桜井を前に、天野真を死に導いた環境保護団体代表であり瞑想ワークショップの指導者、時枝は、これは世界を変える第一歩だと臆面もなく語る。死者との共存が、この物質文明を打開するだろうと。カルトとしか思えない時枝の主張に、桜井は次第に飲み込まれてゆく。>
物語は劇中劇と稽古場という二つの人間関係を行き来しながら進んでいく。
死者の言葉を「再生」することと、戯曲に書かれた言葉を「再生」することが重なる。単なる過去の再生ではなく、今を生き始める死者と、戯曲の言葉に引き寄せられ、アドリブで新たな言葉を紡ぎ出す俳優が重なる
演じることで死者と繋がった俳優達は、戯曲の中の倒錯した死生観に、どこか感覚を狂わされていく。生と死、虚構と現実の境界が曖昧になっていく。時枝の狂った主張は、桜井の選んだ行動は、リハーサル室でどう響くのか。
長塚圭史 PROFILE
1996 年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。11 年、「葛河思潮社」を始動。近年の舞台作品に、『夢の劇-ドリーム・プレイ-』(脚本、出演)、『ツインズ』(作、演出)、『十一ぴきのネコ』(演出)、『かがみのかなたはたなかのなかに』(作、演出、出演)、『蛙昇天』(演出)、『浮標』(演出、出演)、『はたらくおとこ』(作、演出、出演)など。また俳優として、NHK『あさが来た』、NTV『Dr.倫太郎』、WOWOW『グーグーだって猫である』シリーズ、映画『バケモノの子』、TOKYO FM『yes!~明日への便り~』などに出演。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。2017年GWに、新ユニット「新ロイヤル大衆舎」による北條秀司の代表作『王将』の演出を手掛ける。
「演出家脳/作家脳を持つ二人が、お互いの領域を邪魔しないようにしつつもさまざまな意見を交換し合い、複眼的に作品に向かう豊かな打ち合わせを経ました。すでに刺激的な創作プロセスが始まっており、大きな手応えを感じています」
前川知大 PROFILE
2003年結成の「イキウメ」を拠点に、脚本と演出を手掛ける。「散歩する侵略者」、「太陽」、「関数ドミノ」、「片鱗」、「獣の柱」、短篇集「図書館的人生」他、市民生活の裏側にある異界を、超常的な世界観で描く。13年より劇団の実験室「カタルシツ」を開始。ドストエフスキー原作の小説「地下室の手記」を爆笑のひとり芝居に翻案、演出。以降、語り口(物語の伝え方)を研究発表する場として劇団活動の両輪としている。最新作「生きてる時間」(17)では、柳家三三を迎えた落語とSF演劇とのコラボレーションで好評を博す。ほか、四代目市川猿之助によるスーパー歌舞伎Ⅱ「空ヲ刻ム者」(14)、「奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話」(09)、「現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪 其ノ弍」(11)、「遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」(16)の脚本・演出など。読売演劇大賞(大賞・最優秀演出家賞、作品賞)、芸術選奨新人賞、紀伊國屋演劇賞 個人賞、読売文学賞 戯曲・シナリオ賞、鶴屋南北戯曲賞などを受賞。16年「太陽」が入江悠監督により映画化されたのに続き、今秋「散歩する侵略者」が黒沢清監督で映画化公開予定。
「約10年前に上演し、いつかもう一度やりたいと思っていた戯曲「PLAYER」。ここに描いたある種の気持ち悪さや不気味さを長塚さんが面白がってくださり、新たな構造を加えてまたお客様に観ていただけることになりました。前とはまた別の角度で立ち上がる舞台を、僕自身、楽しみにしています」
シアターコクーン・オンレパートリー2017 「プレイヤー」
作:前川知大
演出:長塚圭史
出演:藤原竜也 仲村トオル 成海璃子 シルビア・グラブ 峯村リエ 高橋努 安井順平 長井短 本折最強さとし 木場勝己 真飛聖 ほか
スタッフ 美術:乘峯雅寛
照明:齋藤茂男
音響:加藤温
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:須藤黄英 舞台監督:足立充章
企画・製作:Bunkamura
【東京公演】
公演日程 2017年8月4日(金)~27日(日)
会場 Bunkamuraシアターコクーン
チケット一般発売 6月3日(土) 10:00AM~
チケット料金 S席:10,500円 A席:8,500円 コクーンシート:5,500円 (全席指定・税込)
主催・お問合せ Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00)
【大阪公演】
2017年8月31日(木)〜9月5日(火)予定 森ノ宮ピロティホール
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
http://www.kyodo-osaka.co.jp/
【静岡公演】
2017年9月9日(土)〜9月10日(日)予定 静岡市民文化会館・中ホール
お問合せ:静岡朝日テレビ 事業部 054-251-3302(平日10:00~18:00)
藤原竜也
出演が決まった際は、1人の観客としてずっと観劇をさせていただいてきた長塚さんの演目に自分が俳優として参加できることを、素直に嬉しく思いました。長塚さんや前川さんという、初めて組ませていただく才能のある方々から刺激を受けられることが、今から非常に楽しみです。新たな自分を発見するため、そして次なるステップに進んでいくためにも、お二人の力をお借りして、この作品を良いモノにしていけたらと思います。木場さん、仲村さん、成海さんを始め、共演者の方々にもしっかりとした俳優さんが揃っているので、信頼を寄せております。良いお芝居になるように一生懸命頑張って参りますので、今年の夏、是非期待して観に来ていただけたらと思います。
仲村トオル
出演のお話を頂いて、凄くいい匂いがしたので跳びついたのですが、凄いことが起きそうな予感がします。演出の長塚さんは舞台の演出家の方としては、2012年の「エッグ」の野田秀樹さん以来の「はじめまして」ですが、僕の中の「はじめて押されるスイッチ」を見つけてくれる方のような気がしています。前川さんの戯曲はSFやあの世のようなお話でありながら、この世で地に足をつけて生きている人に染み入るものがあるところに魅力をですね。未踏の世界に行って、自分的世界新記録を出したいです!