10月8日(月・祝)から21日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて、その後、松本、大阪、豊橋、宮崎、北九州にて上演となる舞台「ゲゲゲの先生へ」が、10月8日(月)に初日を迎えるにあたり、ゲネプロが行われた。
(脚本・演出:前川知大、出演:佐々木蔵之介、松雪泰子、白石加代子)
松雪泰子 佐々木蔵之介 白石加代子 (撮影:田中亜紀)
本作は、「イキウメ」を拠点に劇作家、演出家として活躍している前川知大が脚本、演出を手掛ける新作。水木しげるの「世界観」を原作にしたオリジナルストーリーに、幾つかの原作短編を織り込んだ。水木の作品の舞台化でも、評伝でもなく、水木しげるの人生観、世界や“不思議”との関わり方を、膨大な作品群とその登場人物、エッセイやインタビューで語られた言葉、エピソードから読み解き、新しい物語を編み上げた。SFやオカルトなど日常世界の裏側から人間の心理を描き、空間・時間をシームレスに編集する演出を得意とする前川知大というフィルターを通して、水木しげる作品最大のオマージュと呼べる作品が誕生した。
≪STORY≫
平成六十年。子供が生まれなくなって人口の激減した日本。人は都市に身を寄せ合い、田舎は打ち捨てられ植物に飲み込まれている。都市は権力による抑圧的な社会で、貴重な妊婦と赤子は政府の管理化に置かれている。
ある廃村に、根津という男が一人で暮らしている。根津は半分人間、半分妖怪の半妖怪。かつて村人がいた頃は、彼の周りに妖怪の姿があった。しかし村人が減り、国中で子供が消えていくのと平行して、妖怪たちも姿を消した。
根津は、なぜ自分は消えないのかと考えつつ、何かを待つかのように十年以上、独りまどろみの中にいる。
ある日、根津の前に都市からきた若い男女が現れる。都市は突如現れた謎の怪物によって混乱しているという。女は妊娠しており、混乱に乗じて逃げてきたのだ。根津と二人の会話を通じて、根津がなぜ半妖怪になったのか、なぜ妖怪たちが消えてしまったのか、そして都市に現れた怪物はなんなのか、次第に明らかになっていく。
そしてその怪物は、三人のいる廃村に向かいつつあった。
≪代表者コメント≫
【脚本・演出 前川知大】
今回集まっていただけたキャストの方々は、人間、妖怪、半妖怪と担う役割はそれぞれですが、「妖怪は自然に、人間はグロテスクに」という水木作品のテイストに基づいた演技や表現の住み分けを、両者の狭間にいる半妖怪の根津=佐々木蔵之介さんを始めとする11人全員が、本当に見事に果たしてくれています。水木しげる作品には、幼い頃から当たり前のように接していて大きな影響を受けています。この作品が恩返しになってくれたら幸いです。
【佐々木蔵之介】
4年ぶり、5回目になる前川作品ですが、日々の稽古を踏まえて戯曲ごと更新していくような作品作りを楽しみました。
水木先生の作品・世界観を丸ごと演劇に取り込む、という試みは、とても面白いです。前川さんの水木さんへの惚れ込みようと、嬉々として語ってくれるその熱が日々、俳優たちにも伝染ってきて、僕自身も水木さんの漫画だけでなくその破天荒なエピソードひとつひとつに心惹かれて、どんどん好きになっています。
今回演じる根津は、水木さんもとても愛着を持っていたキャラクター・ねずみ男と、水木さんご自身を重ねて作られた登場人物。怠け者でずる賢く、頭の中は金の事ばかり…と、妖怪なのにとっても人間臭い役。楽しくて、懐かしくて、ちょっと寂しい、水木さんらしい作品になったと思います。どんな「目に見えないモノたち」が現れるのか、その気配をぜひ劇場で感じてください。
【松雪泰子】
水木作品へのオマージュと、コラージュという今回の作品は、沢山のピースを組み合わせて、構築するパズルの様な稽古でした。何層にも、アイデアを重ねては壊し、再構築し、ベストな形に創り上げて行く稽古場は、役者全員が高い集中力で、毎日稽古に臨み体現し探して行く。そして、それを前川さんの感じている水木作品の世界観に落とし込んで行く。とても有意義な稽古場でした。前川さんが感じている水木作品、そして水木さんの感性、人間性を作品を、役者が身体を使い体現して行くのは、なかなか高度。水木作品がもつユーモアや社会風刺、そして精霊とされる妖怪。そしてその全てを包むなんとも言えない寂しさ。水木先生の描く背景には、いつもそれが漂っている。その感覚をつかむべく、稽古の合間も水木作品に触れ続けながら、この空気感を体現するにはどうしたら。。と、全員で模索する日々でした。
前川さんの稽古は、パティシエが材料を何層にも何層にも重ね、まるでミルフィーユを作っているみたいだなあと感じていました。
毎日毎日、違う味わいの層が重なって行く。重なって行く度に、驚かされる事が多く。楽しんでいました。私の中の前川さんは、水木作品のパティシエ。
出来上がった作品が、極上の味わいになる様にこれから私達がしっかりと、水木作品の質感を体現していきたいと思います。
【白石加代子】
軽い日常的な会話で紡がれながら、内実は奥深い戯曲。自分が今まで取り組んだことのないタイプに感じます。ブラック・コメディ、怪談、SF。色々な要素が、幾つもの層になっているようで、場面によって見え方が違う。
それを演出家としても丁寧に一場ずつ立ち上げ、俳優たちから出て来るものも尊重してくださるので、共演の方たちとも少しずつ近づき、理解し合える良い稽古場でした。平易な日常と地続きのその裏側、特に淡い境い目のところを楽しくお客様に提示するところが、前川作品の魅力だと思っています。
≪公演概要≫
タイトル ゲゲゲの先生へ
原案 水木しげる
脚本・演出 前川知大
出演 佐々木蔵之介 松雪泰子 / 水田航生 水上京香 手塚とおる 池谷のぶえ/
浜田信也 盛隆二 森下創 大窪人衛 / 白石加代子
【東京公演】
公演会場 :東京芸術劇場 プレイハウス
日程 :10月8日(月・祝)~10月21日(日)
料金 S席8,000円 A席6,500円(全席指定・税込)
25歳以下A席5,000円 65歳以上S席7,000円 高校生以下1,000円
公式サイト www.gegege-sensei.jp/
主催 東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
共催 エッチビイ、ぴあ
お問い合せ先 東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296(休館日除く10:00-19:00)
【松本公演】
公演会場 :まつもと市民芸術館 主ホール
日程 :10月27日(土)16:00開演、 10月28日(日)13:00開演
【大阪公演】
公演会場 :森ノ宮ピロティホール
日程 :11月2日(金)~11月5日(月)
【豊橋公演】
公演会場 :穂の国とよはし芸術劇場 PLAT主ホール
日程 :11月9日(金)~11月11日(日)
【宮崎公演】
公演会場 :メディキット県民文化センター 演劇ホール
日程 :11月14日(水)18:30開演
【北九州公演】
公演会場 :北九州芸術劇場大ホール
日程 :11月17日(土)~11月18日(日)
【新潟公演】
公演会場 :りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
日程 :11月22日(木)~11月23日(金・祝)