山田風太郎の小説を原作に映画、アニメ、漫画などリメイクされ、幾度も舞台にもなった『魔界転生』が、多くのヒットドラマ・映画を手掛けてきた堤幸彦演出のもと、スペクタクル時代劇として絶賛上演中だ。
(博多座10月28日(日)まで、東京・明治座11月3日(土・祝)~27日(火)、大阪・梅田芸術劇場12月9日(日)~14日(金))
今回、Astageに登場頂くのは、この大作で柳生四天王のひとり、小栗丈馬を演じる栗山航。
堤幸彦演出となる舞台『真田十勇士』にも出演した栗山航が、『魔界転生』への意気込みと俳優として思いを語ってくれた。
―栗山さんは舞台『真田十勇士』が堤さんの作品に初参加ですか?
そうです。あれから2年経ちました。『真田十勇士』の時は、憧れの堤監督の作品に参加するということで、最初はすごく緊張してドキドキが止まらなかった思い出があります。
―舞台『真田十勇士』は大変だったと聞きますが、栗山さんはいかがでしたか?
殺陣も多く、舞台装置が大がかりで、間違えると怪我につながるので、全体として大変な作品だったと思います。でも僕が演じた海野六郎という役は、最初に死んでしまうので、他のキャストからすればとても楽な役なんだそうです。(笑) 僕にしてみると今までで一番大変な作品でしたが。
ただ公演後、見て下さったお客様や、僕の親戚・友人たち皆から、口を揃えて「『真田十勇士』みたいな舞台は、またやらないのか?」と言われました。僕もこれまで出演してきた舞台では、役作りの悩みが深かいことが多く、大変さが楽しい気持ちを上回ることが多かったのですが、『真田十勇士』は苦労も一番でしたが、楽しさはそれを上回っていたと思います。
―栗山さんにとってとても貴重な作品になったのですね。
先輩方の後ろ姿は厳しくも優しくもあり、僕にとっては大きかったです。言葉で伝えるよりも姿で見せる、その後ろ姿を見て人は成長するんだなぁと感じました。
稽古から公演と長い期間を共にしたということもありますが、人としてキャストもスタッフも、皆さんを大好きになったカンパニーでした。2年も経つのに今でもLINEグループがつながっていて、僕の誕生日の時にも「おめでとう」をいっぱいもらいました。
なかでも中村勘九郎さんに出会えたことは、僕の俳優人生においてとても大きなことでした。「尊敬する俳優は?」と尋ねられると「中村勘九郎さんです」と答えるくらい「勘九郎さんと出会えてよかった」と思っています。
僕は『男劇団 青山表参道X』のリーダーとして活動していますが、あのカンパニーでの温かさを思い出して「何かを還元したい」「あんなカンパニーになれたらいいな」と思っています。
―そして今回は、『魔界転生』ですね。
はい。『真田十勇士』での大変さを分かち合ってきた出演者が多くて、すんなりと仲間に入れて、すごく嬉しかったです。
―オフォーをもらった時には?
嬉しくて飛び跳ねました。堤さんが『魔界転生』を作るというニュースと聞いた時には「出たい!」「僕は出られないの?」と思っていたので、その後に出演が決まった時には「またマキノさんと堤さんのタッグの作品で役を頂ける」という幸せが一気に押し寄せて来ました。「真田十勇士のようなすごいエンターテインメントをまた一緒に作れる」「その歯車のひとつになれる」というのは大きな喜びです。
―今回は上川さん演じる柳生十兵衛配下の柳生四天王の一人、小栗丈馬役ですね。
『真田十勇士』では算盤しか持たない海野六郎役で殺陣を見せることができませんでしたが、今回はしっかりと殺陣をお見せしますよ。
―小栗丈馬は「強面・吊り目」と言われる役のようですが、栗山さんは本作の製作発表ではお茶目な姿を見せて皆さんを和ませていましたね。
『男劇団 青山表参道X』のリーダーとして活動しているので、もうちょっとクールにとも思うのですが、本質的に僕にはユーモラスなところがかなりあると思います。役柄の衣装を着て登場する会見ですと、キャラクターとしての意識がありますが、そうでない栗山航としての会見の場合は、楽しい姿もお見せできるといいなぁと思っています。
―では小栗丈馬役は?
僕は「強面」じゃないですし、堤さんの演出ですから、小栗丈馬にもきっと面白いキャラクター付けをしてくださると思います。これまでと違う自分がみせられるのではないかとワクワクしています。
今回は北条主税役の松田凌さん、戸田五太夫役の丸山敦史さん、磯谷千八役の野村祐希さんと柳生四天王の一人ですが、四人それぞれの個性をきちんとお見せしたいと思っています。
僕も男ばかり30人もいる『男劇団 青山表参道X』で活動し始めてから「埋もれてはいけない」「自分を通す」ということを意識するようになりました。共演者は仲間ですがライバルでもあるので、僕も良い殺陣を、良いところをお見せしたいです。
―見たことがない栗山さんといえば、舞台『戯伝写楽2018』の栗山さんを思い出します。コミカルな演技も関西弁も新鮮でした。
あ~、あの作品は、僕にとって初ミュージカルで初めての関西弁での演技でしたからとっても悩みました。でも思いがけずたくさんの方に「よかったよ」と言って頂いたので、これからもいろいろ挑戦していきたいと思っています。
―では最後に、今、目標としている俳優像は?
難しいですね…。あまり具体的に「こんな役がやりたい」「こんな作品に出たい」という考えはありません。多くの方に愛して頂ける俳優に、愛される人になりたいです。がんばります!
栗山航(くりやま わたる)
1991年6月15日生まれ。東京都出身。
2013年ドラマ「牙狼<GARO>~闇を照らす者~」で俳優デビュー。 映画『牙狼<GARO> -GOLD STORM-翔』『牙狼-GARO- 神ノ牙-KAMINOKIBA-』で主役・道外流牙役を務める。ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」「静おばあちゃんにおまかせ」「鳴門秘帖」「警視庁ゼロ係」 舞台『真田十勇士』『グランギニョル』『戯伝 写楽2018』等に出演。2017年結成の「男劇団 青山表参道X」のリーダーをつとめる。
<公演概要>
日本テレビ開局65年記念舞台
『魔界転生』
【スタッフ】
原作:山田風太郎(角川文庫刊)
演出:堤 幸彦 脚本:マキノノゾミ
企画・製作:日本テレビ
【出演】
上川隆也 溝端淳平 高岡早紀 村井良大 松田 凌 玉城裕規 木村達成 猪塚健太 栗山航 丸山敦史 山口馬木也 藤本隆宏 浅野ゆう子 松平 健 他
【福岡公演】2018年 10月6日(土)~28日(日) 博多座
【東京公演】2018年 11月3日(土・祝)~27日(火) 明治座
【大阪公演】2018年 12月9日(日)~14日(金) 梅田芸術劇場メインホール