芸歴20周年を迎えた柚希礼音を主演に、読売演劇大賞・優秀女優賞を受賞したソニンを共演に迎え、ブロードウェイの新進気鋭のソングライティング・コンビと日本のクリエイティブ・チームが、この秋、新作ロックミュージカルA New Musical 『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』(以下『FACTORY GIRLS』)を生み出す。
19世紀半ばのアメリカ・ローウェルの劣悪な環境の工場を舞台に、尊厳と労働環境の向上を求め、ペンと団結力を武器に闘う女性達の物語だ。
この新作ロックミュージカルに、『娼年』では舞台にも映画にも出演、舞台『魔界転生』、ドラマ「今日から俺は!!」「ポルノグラファー」など幅広いフィールドで活躍し、注目を集める俳優の猪塚健太が出演する。
猪塚健太は、この作品でどんな役をどう演じようと考えているのか?舞台への熱い思いと共に語ってくれた。
―出演が決まった時のお気持ちをお聞かせ頂けますか。
ミュージカルに出演するのは久しぶりです。しかもこれだけ素晴らしいキャストの皆様が揃った大きな規模のミュージカルに出演するのは初めて。うれしかったのですが「これからやることは山積みだな」とプレッシャーも感じました。でもきっとすごく面白いものになると思うので「頑張ろう」という思いです。
―キャストの方々への印象は?
主演の柚希礼音さん、共演のソニンさんとは共演したことはありませんが、出演されている作品は何度も拝見しているので「この方々とミュージカルをやるんだ」という楽しみが大きいです。ミュージカル界で大活躍されている方ばかりなので、僕は学ぶことばかりだと思います。とにかく「しっかり盗んで学びたい」と思っています。
―演じるベンジャミンをどうとらえていますか?
ベンジャミンは政治家を目指しています。裕福な家庭で育ち、自分の理想とするアメリカのために政治家になる夢を持った青年です。その一方、恋するハリエットのために何かをしたい、ハリエットと共に良い未来をつくっていきたいと純粋に思っています。そのためにできることを懸命にやるのですが、空回りしてしまい、かえって問題を起こしてしまいます。客観的にみれば「何しているんだ?!」ということになるのですが、彼としては良かれと思ってやっているので、問題を起こしてしまうけれども憎めない…そんな人間に見えたらいいなぁと思っています。
―そんな人物を演じるために大切にするのは、どんなところでしょうか?
起こっている出来事よりも「自分がこれをしたい」という思いをどれだけ強く持てるか…という点かなと思います。そこを一生懸命やれば、自然と「何をしたい人間なのか」ということが伝わるのかなと思っています。19世紀半ばのアメリカのこの階級の人間が、どのような暮らしをしてどんなことを思っているのか…ということを学んでいかなくてはと思っています。
―そんな風に深く、丁寧に役作りをされるのですね?
いや、そんなことをしなくても出来る人はできてしまいますし、お客様にとっては、そんなことをしていようがいまいが、観たものがすべてですから、やればよいというものではないですよね。でも僕はしっかり下調べをやらないと役作りができないので、やります。
―それが猪塚さんの役作りの基本ですか?
そうです。あるときから必ずやるようになりました。それ以前はあまり深く考えていなくて、舞台もあまり好きじゃなかった。そうなんですよ…、実は初めから舞台が好きだったわけではないんです。そうした役作りをするようになってから舞台が好きになりました。「こんなに深く考えたら、こんなにも楽しいんだ」と知ったから、舞台をやり続けています。自己満足のレベルかもしれないですが、稽古場から本番、本番を終えた後からも気が付くことがたくさんあって、尽きません。公演を終えて半年たってから、「あ~、そうだったんだ」と気が付くこともあり、奥が深い。しょっちゅう後悔もしますけれど、だからまた「次はもっと、もっと」と思います。
―最近は映画やドラマでさまざまな役で活躍されていて、舞台とは疎遠になってしまうのかな…と心配もしていましたが。
僕はやはり舞台が基盤です。稽古期間も含め、自分が一番俳優をやっていると思えますし、それが活力になるので、できるだけたくさんやりたいと思います。
映像作品にも出演し、僕のことを知ってもらって、舞台を観にきて頂いて舞台の良さを知ってもらいたいという気持ちもあるので、いろいろなところで俳優としてやれたら一番嬉しいです。舞台は楽しいです。あの緊張感!毎回、幕が開く前に吐きそうになります。
―えっ?! こんなに舞台出演の経験の多い猪塚さんなのに?
毎回なります。「もう嫌だ!」と思うのですが、それがクセになるんでしょうね。(笑)
―また『FACTORY GIRLS』に話題を戻します。「ミュージカルは久しぶり」「やることはいっぱい」とのことですが、具体的にどんなことをやろうと思っていますか?
ひとつは技術的な部分…歌やダンス…そういう技術的な部分は磨かなければいけないので、やるべきことだと思いますが、やっぱり僕の中ではミュージカルの中で行われるお芝居をいかに届けるか…歌も含めてですが…に目標を置きたいと思っています。
物語に生きる人物として、どういうアプローチでどういう演技が一番伝えることができるのか。時代背景や女性たちとの人物像の違い、働き方という点では現在とつながっているところもあると思うので、そういう物語を今のみなさんにどう伝えたいのか。そこが一番のポイントかなと思います。脚本が来るまでは物語の背景を、脚本が来たら人物を深く深く掘り下げて魅力的なキャラクター・お話にしたいと思っています。
―ソニンさん演じるハリエットとの関係が見どころかと思いますが、恋する役はどうつくりますか?
ソニンさんについても役についてもたくさん知らなくては…と思います。一番コンタクトをとらなければいけないですね。
―恋する役で心がけてきたことは?
「この人が好きだ」「かわいいな」と思えば思うほど身が入ります。そこに嘘があると演技もやりづらい。ハリエットもソニンさんも好きにならなきゃと思います。特にベンジャミンは純粋にハリエットが好きだと思うので、真剣に恋したいと思います。
―毎日恋をする。しかも1日2回公演で恋をするは、ちょっと大変ですよね?
いえ、それは好きで好きでという気持ちでいれば、何の問題もないです。それに今回は、幕が開いた時点で、もう好きになっているので、ずっと好きでいればいい。叶う恋なのか、それはどうかわかりませんが…。
―ベンジャミンとご自身との共通点がありそうですか?
僕もベンジャミンのように女性の気持ちに敏感な方ではないので、そういう点は似ているかもしれません。物語の中ではベンジャミンがハリエットを想うだけでなく、ベンジャミンを想う存在も出てきますから、僕自身も知らないところでモテていることがあるんじゃないかなあ。(一同笑)
―女性が多い稽古場になりそうですね。
これほど女性が多い座組みの経験はないです。ただ、僕は姉と妹がいるので、女性への対応は大丈夫、無難に渡り歩ける自信があります! でも女性が多い中では「いい顔ばっかりして」と思われてしまうかも?(笑)
―男性キャストの方々とは?
全員と初共演ですが、少ない男性キャストで是非とも仲良くしていきたいですね。
―ビジュアル撮影ではスーツをビシッと決めておられますね。
丸みを帯びた帽子や他ではあまり見ない柄のスーツ、この時代の上流階級を体現するかっこよい役です。(プロデューサーから「キラキラ男子です」との声がかかると)そこは役作りなくても大丈夫です!(自ら爆笑して)冗談です!そこはしっかり役作りして、普段お見せしない姿もお見せしたいです。
―では、最後に観に行こうか、迷っている方へ、メッセージをお願いします。
世界初演でどんなお話かな…と思っておられると思いますが、ロックミュージカルなので魂に訴えかける盛り上がる楽曲で、働く女性や頑張っている女性に元気になってもらえるような、勇気が出る作品になると思います。僕のキラキラぶりも、是非、観に来て下さい!
A New Musical 『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』
【CREATIVE STAFF】
音楽 / 詞:クレイトン・アイロンズ&ショーン・マホニー
日本版脚本・演出:板垣恭一
【CAST】
柚希礼音 ソニン
実咲凜音 清水くるみ 石田ニコル
原田優一 平野 良 猪塚健太
青野紗穂 谷口ゆうな 能條愛未
戸井勝海 剣 幸
島 ゆいか 安福 毅 当銀大輔 丸山泰右 大音智海 上條 駿 矢内康洋
酒井翔子 田口恵那 Sarry 杉山真梨佳 コリ伽路 井上花菜
★東京公演
2019年9月25日(水)~10月9日(水) TBS赤坂ACTシアター
【東京公演・チケット料金】
S席12,500円 / A席10,000円 / B席8,500円 (税込・全席指定)
☆大阪公演
2019年10月25日(金)~10月27日(日) 梅田芸術劇場メインホール
【大阪公演・チケット料金】
S席12,500円 / A席10,000円 / B席8,500円 (税込・全席指)