田中麗奈、大倉孝二、大東駿介、横山由依、銀粉蝶、秋山菜津子、平田満と豪華キャストが集結し、一見どこにでもいるような人々の生活を生々しく描いた赤堀流ネオヒューマンドラマ『美しく青く』が、7月11日(木)に初日を迎えるに先立ち、10日(水)に初日前会見と公開ゲネプロを行った。
赤堀雅秋 向井理 田中麗奈
―意気込みをお願い致します。
赤堀:シアターコクーンでの公演は4回目ですが、近年稀に見る穏やかな心境です。(笑)優秀なスタッフとキャストの皆さんのおかげで、明日に向けて万全とは言い難いですが、「あとはやるしかないな」と心づもりは出来ているつもりです。
向井:数は多くないのですが、舞台をやらせて頂いて、ゲネの前は胃が持ち上がってくるくらい独特の緊張感があります。稽古期間はそれほど長かったわけではありませんが、濃密な稽古を経験できました。明日がいよいよ本番ですが、変な気合が入り過ぎないように、自分をコントロールできないくらいにならないように、明日を迎えられればと思います。
田中:明日がいよいよ初日ですが、なんだか信じられないですが、早くやりたいという気持ちもあります。まだまだ自分の中で課題もありますが、皆さんに楽しんで頂く、伝えていくことが大切だと思うので楽しんでやれたらいいなと思っております。
―この題名になった経緯を教えて下さい。
赤堀:今まで劇作家として市井の人々・営みを描こうとしてきたつもりです。今回は人間描写よりは根源的な人間の営みや幸福の在り方だったりを、もう少し掘り下げて見つめてみたいという衝動から、人知の及ばない、抗えないものと対比すると些末な人間の営みですが、そうした対比の中で何かもうちょっと根源的なあり方が浮き彫りになってこないかな…という思いです。「美しく青く」は希望でもあり、畏怖の念というか。そのような意味でつけたタイトルではあります。
―向井さんが演じる保は?
向井:普通の人です。彼は夫であり、自警団のリーダーであり…普通の人はいろんな面があるので、どういう人かは難しいのですが、「一生懸命生きている人」です。ただ、上手く向き合えなかったり、逃げたりするのも人間の側面でもあると思うので、そういう誰にでもある衝動を抱えながらちゃんと生きていく普通の人。僕はその人ではないので、その人のことをずっと考えて、この人だったらどう考えると、どう生きてきたのか…と考えますが、結局思ったことを感じたまま演じるしかないので、難しいですが。誰しもがもっている感情をちゃんと持っている人です。
―田中さんは保の妻で、認知症の母を抱える直子役です。印象や苦労された点などは?
田中:過去に悲しい出来事があって、その悲しみが彼女の深い心の底にあります。夫とは逆に、そこにしっかり向き合ったからこそ、現実にも向き合って感情が持てるのかな…と自分では解釈しています。女性として生理的なものの言動、感情が揺れる女性の不安定さ、抑えきれないものを理性で抑えようとしたりする。彼女は頭の中が忙しい人だなと。リアリティを持って、生々しく、直子なのか自分なのか、わからないくらいにやれたらいいなと思って彼女に携わっています。
ー見どころは?
向井:猿!猿が出てきます。(笑) 赤堀さんを横にして言うのも何なのですが、不毛な台詞ばっかりなんです。でもそれを繰り返して、積み重ねていくことで感情が透けて見えればいいなと思います。一つ一つの場面を強調して何かではなくて、登場人物が会話している内容がない会話の中でも感情が動いている。そういう細かいところを舞台ならではの視点で観て頂ければ…と思います。
田中:日常の積み重ねなので、観る方によって感情移入する登場人物が違うと思かもしれません。群像劇というところがあるので、自分に重ねるところで、それぞれの面白みが違うと思うので、逆に「ここが好きだった」というところがあれば、聞いてみたいです。皆さんの感想を楽しみにしています。
【ゲネプロ】
物語は、山を背負い、海を抱く町。
山から猿が人里まで下りてきて、農作物を荒す。
人への被害も心配で、自警団を結成した保は、リーダーとなって見回りを率先していた。
保(向井理・左)と同級生の古谷(大東駿介・右)は積極的に活動する
そして妻・直子(田中麗奈)と直子の母(銀粉蝶)が待つ保の家で酒を飲み、愚痴をこぼす。
アパートを経営する片岡(平田満)には、猿害対策への協力を拒まれる
一人暮らしをする片岡を気遣うのは、居酒屋を営む順子(秋山菜津子)
一人ひとりの人物の個性・内面が届いてくる。
なかなか成果を得られない活動の疲れを癒すのは、順子の居酒屋で…
やがて、それぞれが抱える悩みや問題が明らかになってくる。
横山由依 森優作 大倉孝二
日々、母の世話に追われる直子の手に握られていたのは・・・
どこにでもいそうな人々。その心の中をのぞかせて物語は進んでいく。
不安や不満、弱さや狡さを抱えながら、生きていく。
その姿に、観客も自らの心を覗き見るように思うのだろう…。
作・演出を手掛ける赤堀雅秋も出演し、順子の夫を演じている。その味のある姿・演技も、見どころだろう。お見逃しなく。
Bunkamura30周年記念
シアターコクーン・オンレパートリー2019
『美しく青く』
作・演出:赤堀雅秋
出演:
向井理、田中麗奈、大倉孝二、大東駿介、横山由依、駒木根隆介、森 優作、福田転球、赤堀雅秋、銀粉蝶
秋山菜津子、平田満
【東京公演】
日程:2019年7月11日(木)~28日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
チケット料金 (全席指定・税込):S席 10,000円、 A席 8,000円 コクーンシート 5,000円
U25(25歳以下当日引換券) 3,500円 (税込)
※ U25(25歳以下当日引換券)チケットはBunkamuraのみのお取扱いとなります。
公式サイト:www.bunkamura.co.jp/
【大阪公演】
日程:2019年8月1日(木)~8月3日(土)
会場:森ノ宮ピロティホール
主催:サンライズプロモーション大阪
公式サイト:http://www.kyodo-osaka.co.jp