菅田将暉が栗山民也と初のタッグを組み、アルベール・カミュ作『カリギュラ』を2019年11月・12月、 東京・新国立劇場 中劇場のほか福岡・兵庫・宮城で上演する。
今、もっとも注目を集める俳優の一人として大活躍する菅田将暉が、舞台『カリギュラ』への意気込みと、デビュー10周年を迎え、俳優としての今を語ってくれた。
―デビュー10周年で舞台『カリギュラ』に挑む、今の思いをお聞かせ下さい。
僕の中でのひとつの区切りです。デビュー10年ということもあり、この20代半ばの菅田将暉としての区切りでもあります。『カリギュラ』の生きざま・存在感を考えると…、最近気が付くと、正解でも不正解でもない大きなものと闘う役が多くて、それらの締めくくりになるような、そんな心持ちです。
―カリギュラは暴君、悪の象徴とも言われますが、この役を選んだのは?
善悪よりも、じっとしていられない人だと思い、僕も今じっとしていられない、30才になる前だからこそやりたい役のひとつです。
不条理がテーマのひとつだと思いますが、カリギュラも何かの象徴だと思います。発見や学ぶことがたくさんありそうで、とても楽しみです。10周年の締めくくりでもありますが、その翌年からも俳優として続くわけですから、これを経て、またその先が見えてくる気がします。下手したら、芝居が嫌になるかもしれない(笑)。 それくらいの気合で臨めればと思います。
―普段は映像が菅田さんのホームという印象ですが、10年の締めくくりに舞台を選ばれたのは?
それは単純にタイミングです。バランスとして2~3年に1度は舞台を…とずっとやってきているので、僕としてはたまたま…そういうタイミングだと思っています。
―映像と舞台は違うと思いますが、菅田さんが感じる舞台の魅力は?
いっぱいありますよね。やはり違うのは生のエネルギーです。映像なら1回の演技でOKをもらったら終わり、その役を一生やらないわけですが、舞台は1日に2回公演の日もある。お客様が目の前いることも、映像作品とは違う。エネルギーの方向性が違うように思います。舞台の上に立ってお客様がいて、ちょっと客観視が入ります。
―舞台も楽しくやってこられた?
楽しかったですね、前回の『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』も楽しかったです。普通は同じことを何度もしたいとは思わない方ですが、舞台は不思議と飽きがこない。『ロミオとジュリエット』でロミオを演じた時には、一週間で恋して死ぬ蝉のようで「できるんだろうか?」と思っていましたが、すぐに生き返って毎日できた(笑)。 だからきっと今回も大丈夫でしょうね。
―舞台をやってきて、何を得てこられましたか?
何でしょうね…。毎回思うのは、自分のコントロールですね。一見変わらないようにはできるけれど、グッとくるものがある時、ない時がある。その差にぶつかって悩む。自分の持っていき方、コントロールです。
―公演を終えた後、その日の公演について考えますか?
考えますね。やりながら感じますから。日によって、楽しいポイントが違います。やはりその人を生きる以前に、物語を伝えることも大事だと思うので、表現の部分でしょうね。
「カリギュラ」と呼ばれて「はい!」と答えられるようにならないと。いろいろとクリアしていかないといけないな…と思います。
―役にのめり込むと、その役にプライベートも影響されますか?
単純にその役に時間を使っているので、結果的にそうなりますね。リズムをシフトすると体調も変わります。しばらく真面目な先生役をやって体をしぼっていたのに、終わった日に食べたくなって油ギトギトなラーメンを食べたら、すぐにお腹を壊してしまった。(笑)美味しかったのですが…。3ヶ月で体調が変わると言いますが、本当にそうだと思います。ドラマをやると如実にわかります。
―どれが本当の自分か、分からなくなることがありますか?
あります!でも、そう思った瞬間、「どれが本当の俺って…」と自分で恥ずかしくなります(笑)。
―暴君ということで負の要素が多いカリギュラ役は、菅田さんにとってチャレンジなのでしょうか?
やってみたらチャレンジだったと思うかもしれません。カリギュラには愛する人を失ったという生い立ちもある。カリギュラからすれば負かどうかは決められない。そもそも2~3時間の舞台で人の人生を表すことは不可能なことだと思うので、どの面を見せていくのか、抽出し選択していかなければならない。でも世界中で上演されている『カリギュラ』という舞台は、その選択が面白いのでしょうね。そこが楽しみです。自分が演じさせてもらえるのが有難いです。
―チラシのビジュアルも印象的ですね。
スチール撮影現場に真っ赤なデザインラフがあって、女性が載っていてびっくりしたんです。そのデザインを目指しました。
―髪を染めたのは?
カリギュラ仕様です。直前までずっと先生役をやっていたので、カリギュラ仕様で気分転換もしたかったこともあって。でも元々は髪をおろすつもりでいたのですが…。
―また動画も素晴らしくて。
まだイメージも定まってなかったのですが、音楽や風や照明や衣裳やスモークでちゃんと雰囲気を作って下さって、スチール撮影の段階からひとつのお芝居のような空間でした。「この舞台は楽しみだな」とワクワクさせてもらいました。
―役作りは?
公演は11月なので、まだ今は何も始まっていません。『カリギュラ』は公演の前に集中したいと思っています。今もストーリーは台本を見てわかっていますが、やはり最初に台本を開いた時の感覚、「自分がやる」と想定して読む瞬間は、とても大切です。今はまだ別の作品の準備期間なので、そのモードで読むのはちょっと違う。今の世界情勢も、上演する時とも違うかもしれない。やはりナマモノだけに、観客がいるその時の空気感というものがあるので、そこはタイミングを図りたいと思います。
今とらえている感覚では、王なのでパワーとカリスマ性がある役。善悪としては悪であっても、やはり半端でないエネルギーの持ち主だと思います。しかも時代の背景などもある。「人をひっぱる力がないと説得力に欠ける。でもそれは何なのか?」と考えている、まだそんな段階です。王様役なので、大変だと思いますが、それができるのがエンターティメントの面白さだと思います。
―小栗旬さんの演じた『カリギュラ』は、ご覧になりますか?
何度か映像を見たことがありますが、本当にチラッとです。稽古途中で「どうしようか?」と何か迷った時に見るかな?これは悩ましいですね。
―最後に改めて意気込みをお願いします。
正直に言いますと、僕としては最初は『カリギュラ』への出演にあまり前向きではなかったんです。でも僕が信頼しているある方に「今の菅田くんで観たい!」と言われて、「この人が言うなら、やりたい」と思ったのが発端です。大先輩方とご一緒できる、栗山民也さんという演出家とタッグを組めるというのも有難く「いろんな可能性に満ち溢れているな」と、今思っています。僕も表現者として、型にはまらず自分なりの道を探していくというのは、ひとつの理想形。この作品がそういうものになれば…と思っています。
舞台『カリギュラ』
出演:菅田将暉 高杉真宙 谷田 歩 橋本 淳 秋山菜津子 他
〈スタッフ〉
作 アルベール・カミュ
翻訳 岩切正一郎
演出 栗山民也
美術 二村周作
照明 勝柴次朗
音楽 金子飛鳥
音響 山本浩一
衣裳 前田文子
ヘアメイク 鎌田直樹
アクション 渥美 博
振付 八子真寿美
演出助手 坪井彰宏
舞台監督 加藤 高
著作権代理 :(株)フランス著作権事務所
主催・企画制作:ホリプロ
https://caligula.jp/
東京公演: 新国立劇場 中劇場
2019年11月9日(土)~11月24日(日)
チケット料金(全席指定・税込):10,800円
Yシート 2,000円※
※20歳以下対象・当日引換券・要証明書
※ホリプロステージにて、販売期間限定、日程・枚数限定での取扱い
詳しくは https://horipro-stage.jp/pickup/yseat/
お問合せ:ホリプロチケットセンター 03-3490-4949(平日10:00~18:00/土10:00~13:00/日祝休み)
https://horipro-stage.jp/
福岡公演:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
2019年11月29日(金)~12月1日(日)
チケット料金(全席指定・税込):S席 12,000円 A席 9,800円
お問合せ:インプレサリオ 092-985-8955(平日10:00~18:00)
www.impresario-ent.co.jp
兵庫公演:神戸国際会館こくさいホール
2019年12月5日(木)~12月8日(日)
チケット料金(全席指定・税込):S席 12,000円A席 8,000円
※S席は1・2階、A席は3階となります。
U-20シート 2,000円
※U-20シートは、20歳以下対象。購入者は当日、年齢確認をする場合あり。身分証要持参。
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
http://www.kyodo-osaka.co.jp/
宮城公演:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
2019年12月13日(金)~12月15日(日)
チケット料金(全席指定・税込):11,000円
U-25チケット 5,000円※
※U-25チケットは枚数限定。仙台放送オンラインでのみ取り扱い。購入者は当日、年齢確認をする場合あり。身分証持参。
お問合せ:仙台放送 022-268-2174(平日9:30~17:30)
http://ox-tv.jp/sys_event/p/
撮影:福岡諒祠
ヘアメイク:AZUMA(M-rep by MONDO-artist)
スタイリスト:二宮ちえ