劇作家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の名作戯曲を、才気溢れる演出家たちの手により上演する「KERA CROSS」。その第一弾、鈴木裕美演出の『フローズン・ビーチ』のプレビュー公演が、7月12日(金)~14日(日)に杜のホールはしもと・ホールで上演された。(現在はシアタークリエにて上演中。)
ブルゾンちえみ 鈴木杏 花乃まりあ シルビア・グラブ
最後まで目が離せない事件が続発するスリルと恐怖が、笑いにサンドされたKERAの世界に解き放たのは、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブという個性あふれる4人の女優。
描かれる1987年、1995年、2003年という3つの時代を、観客も4人と共にダイブしてしまう2時間15分。
公演は、東京・シアタークリエで8月11日(日)まで。その後、大阪、静岡、愛知、高知、高松で8月31日(土)まで上演される。(撮影:桜井隆幸)
物語の舞台は、カリブ海と大西洋の間の小さな島の別荘。
1987年、千津(鈴木杏)が友人の市子(ブルゾンちえみ)と一緒に、幼なじみで資産家の娘・愛(花乃まりあ)と愛の病弱な双子の姉・萌(花乃の二役)の住むこの別荘を訪ねたことから始まる。
そこに、愛の父と後妻の咲恵(シルビア・グラブ)が旅行から帰ってくる。起こるのは、予想もつかない事件の連続!
そして、この女たち4人がたどる1995年、2003年が描かれていく。
それぞれの人間像が次第に明らかになってくると、それぞれの思惑、その行動、「リアルなのか?ファンタジーなのか?!」と思えるような衝撃的な事件も、なぜだかストンと心に落ちてしまう。
芸達者な鈴木杏の時代による変化の面白さ、一番の難役ともいえそうな市子役のブルゾンちえみの演技は、本作の見どころのひとつだろう。
女たちを通して描かれる1987年、1995年、2003年も面白い。本作の初演が、1998年だったことを考え合わせると、二度目三度目の観劇には、また違った読みもできそうだ。
忘れてならないのは、映像シーン。カリブ海と大西洋の間の小さな島の別荘でのお話ならではの涼やかでキュートな映像が、観客をも青い海と空の下に誘ってくれる。そしてそれが4人の登場人物のイラストと共に絵本のようにパンフレットに納まって、お持ち帰りできるのも嬉しい。
鈴木杏からのメッセージ
「戯曲自体もスリリングですが、少人数で台詞量も多い芝居なので、舞台上にいる私たちもスリリングな日々を送っています。でも、やればやる程KERAさんの戯曲の、面白さ、難しさ、楽しさ、を体感しながら日々過ごせているので幸せです。この面白さを観客の皆様にもお伝え出来たらと思い、私たちも稽古を重ねてきました。これから色々な場所で公演をさせて頂きますが、皆様にお楽しみ頂けるように、更に精進して各地に伺いたいと思います。是非、劇場に足を運んで頂けたらと思っています。宜しくお願いします」
「KERA CROSS」第一弾『フローズン・ビーチ』
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:鈴木裕美
出演:鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブ
日程:2019年7月31日(水) ~8月11日(日)
場所:シアタークリエ
チケット料金:9,000円(全席指定・税込)
公式HP :https://www.keracross.com
<全国公演>
<神奈川・橋本プレビュー公演>7月12日(金)〜14日(日) 杜のホールはしもと・ホール ※公演終了
<新潟公演>7月25 日(木) 19:00 開演 長岡市立劇場 大ホール ※公演終了
<福島公演>7月28 日(日) 13:00 開演 いわき芸術文化交流館アリオス 大ホール ※公演終了
<東京公演>7月31日(水) 〜8月11日(日) シアタークリエ
<大阪公演>8月16日(金)〜18日(日) サンケイホールブリーゼ
<静岡公演>8月21日(水) 18:30開演 静岡市清水文化会館マリナート
<愛知公演>8月23日(金) 18:30開演 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
<高知公演>8月28日(水) 13:00開演/18000開演 須崎市立市民文化会館 大ホール
<高松公演>8月31日(土) 13:00開演 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール