梅田芸術劇場×英国チャリングクロス劇場による日英共同プロジェクト第一弾となったミュージカル『VIOLET』の日本キャスト版が、ついに開幕!9月4日(金)~9月6日(日)わずか3日、5回だけの奇跡の上演が始まった。
梅田芸術劇場が英国チャリングクロス劇場と共同で演劇作品を企画・制作・上演し、演出家と演出コンセプトはそのままに「英国キャスト版」と「日本 キャスト版」を各国それぞれの劇場で上演する本企画。演出家、藤田俊太郎が単身渡英し、現地のキャスト・スタッフと作り上げたロンドン公演は、昨年の1月から4月まで上演され、オフ・ウエストエンド・シアター・アワードで作品賞を含む6部門にノミネートされるという快挙となった。
その話題作の日本版は、本来今年4月に予定されていたが、コロナ禍により中止。幻となりかけていた『VIOLET』は、一部キャストや演出を変更し3日間のみの公演を実現。9月2日と3日に公開舞台稽古が行われた。
ここでは9月2日の公開稽古の模様をご紹介する。ヴァイオレット役をつとめたのは、wキャストのひとり、唯月ふうか。
さらに成河、吉原光夫、spi、横田龍儀、岡本悠紀、エリアンナ、谷口ゆうな、畠中洋、島田歌穂と、歌にも演技にも手練れの出演者が揃った。
物語の舞台は、1960年年代のアメリカ。幼い頃に父(spi)の斧が当たるという事故で顔にキズを負ったヴァイオレット(唯月ふうか)が、ひとり長距離バスに乗って旅にでた。
目的は、あらゆる病や傷を癒すという伝道師に会い、醜い傷跡を治してもらうため。観客はヴァイオレットと共に、彼女の1500㎞にも及ぶバスの旅…自分探しの旅に同行することになる。
旅の途中で出会う人、通り過ぎる街々…。舞台での難題は、多才なキャストと心地よい音楽が助けてくれ、彼女の秘密が、少しずつ明かになっていく。
ヴァイオレットの顔の傷跡は、メイクではなく、触れられること嫌がるヴァイオレットのしぐさや言葉で表され、成河と吉原が違う人種を演じていることも見た目だけではわからない。そこはまさに俳優陣の腕の見せどころ。そして、観客はその演技に想像をプラスしながら見ることで、より深く肌の色を考えることになる。その他にも多くの問題について、時代は50年以上経ったのに、何の回答も見つけられていない私たちにさらりと、しかし鋭い刃を突きつけてくる。
本来の演出計画では、舞台を客席が取り囲む“シアター・オン・ステージ”を計画していたそうだが、それもコロナウイルス対策のために断念。 その臨場感は、舞台後方の大きな映像スクリーンが補ってくれ、伝道師のテレビライブシーンは劇場全体が共鳴し、見どころのひとつとなった。
多くのキャストは幾つもの役柄を早変わりで演じて楽しませてくれるのみならず、それぞれの見せ場もあり、その力量を惜しげもなく見せてくれる。なかでも島田歌穂の瞬時に変わるふり幅は、感動もの!ご覧になる方は、お見逃しなく!
上演がわずか3日間、5公演のみ。さらにコロナ感染対策のため客席数の制限された上演というのは、あまりにも惜しい。この新鮮な刺激あふれる公演が、改めて多くの観客に共有される日が、一日も早く来ることを願ってやまない。
ミュージカル『VIOLET』東京公演
▼出演:唯月ふうか/優河(Wキャスト) 成河 吉原光夫
spi 横田龍儀 岡本悠紀 エリアンナ 谷口ゆうな 稲田ほのか/モリス・ソフィア(Wキャスト)畠中洋 島田歌穂
※公演スケジュールの変更に伴い、一部の出演キャストに変更がございます。
(伝道師役 原田優一に代わり畠中洋、リロイ役 森山大輔に代わり岡本悠紀が出演いたします)
▼日程:2020年9月4日(金)~9月6日(日)
9月4日(金)13:00/18:30
9月5日(土)13:00/18:30
9月6日(日)13:00 計5回公演
▼会場:東京芸術劇場プレイハウス
▼チケット料金:SS席 12,000円 S席11,000円 A席8,000円 ※簡易プログラム付