かつてヨーロッパ中を魅了したダンサーで伝説のスパイ、マタ・ハリの恋と人生を描いたミュージカル『マタ・ハリ』が、6月27日(日)まで、東京・東京建物 Brillia HALLにて上演中だ。
6月15日(火)19時公演、17日(木)19時公演を観劇したので、この人気公演の魅力を5つのポイントからご紹介したい。
(東京公演の後には、愛知・大阪にて上演。ライブ配信は、6月26日(土)17:00、6月27日(日)12:00公演)
★誰もが見とれるゴージャスさ これぞミュージカル!
本作は2016年にフランク・ワイルドホーン作品として韓国で初演。日本初上演の2018年には完売御礼となった人気作品だ。
その魅力は、「これぞミュージカル」といえる音楽、ショーイズム、そしてヒューマンストーリーという3つの融合にある。
今回の再演では初演をさらにブラッシュアップ。より分かりやすくなった脚本と演出は、厳しい時代を必死に生きた一人の女性の切実な物語を、とてもリアルに見せてくれる。マタ・ハリが実在した人物だという実感をともなって胸に迫ってくる。
そして『ジキル&ハイド』で名を知られ、以来、数々の名作ミュージカルを生み出してきたワイルドホーンの壮大で美しい音楽と、ヨーロッパ中を魅了したマタ・ハリの踊りを今に具現したエキゾチックでセクシーなダンスは、私たちの耳と目を贅沢に楽しませてくれる。実力派俳優揃いのエンターテイメントの醍醐味を味わって欲しい。
★二人のマタ・ハリ 柚希礼音と愛希れいか
今回の再演では、マタ・ハリ役として初演にも出演した柚希礼音に加えて愛希れいかがマタ・ハリ役となり、Wキャストが実現した。
女スパイとして名前は知られていても、その実像はあまり知られていないマタ・ハリ。その人物造形には大きな想像力とそれを形にする苦労がともなったことだろう。
柚希と愛希は、異なった二人のマタ・ハリを誕生させた。
絶対的なカリスマ性を感じさせる柚希のマタ・ハリ。その強さの裏に潜む女性らしいロマンチックで純粋な一面が、女性たちの共感を呼ぶ。
対して、しなやかで妖艶さをのぞかせる愛希のマタ・ハリ。か弱そうに見えながら、マルガレータという名の1人のオランダ女性がマタ・ハリとなるまでの苦労が、その芯の強さを支えているように見える。
ふたりの個性の違いは、ダンスにも歌唱にも映し出される。Wキャストの魅力を、存分に楽しめる魅惑の配役となっている。
★マタ・ハリをめぐる男たち
マタ・ハリをめぐって多くの男性が登場するのだが、中心となるのはマタ・ハリにスパイになることを依頼するラドゥー大佐と、マタ・ハリにまっすぐな愛を捧げる若きパイロット・アルマンだ。
ラドゥー役を加藤和樹と 田代万里生がWキャストで、アルマン役を三浦涼介と東啓介がWキャストで演じる。
今回の観劇では、加藤、三浦の組み合わせで見た。
初演ではラドゥーとアルマンの2役を演じた加藤が、今回はラドゥー役に専心。男の野望とエゴを代表するようなヒールな役といわれるラドゥーだが、その底にある人としての渇望と哀愁をにじませる。
三浦のアルマンは少年のような純真さと、兵士として生きるための葛藤を見せる。マタ・ハリを見つめながらこぼした涙がキラリと光り、純愛を象徴するようだった。
今回は残念ながら田代ラドゥー、東アルマンを見ることはかなわなかったが、初のヒールな役に挑む田代、
初演でスケールの大きな愛を見せた東がどんな演技を見せるのか、期待が膨らむ。
是非とも、今週末に行われる配信で、その演技を見たい。
★背景となる歴史 第一世界大戦
本作で描かれるのは、1917年(大正6年)。第一次世界大戦の真っただ中のヨーロッパ。
マタ・ハリはオランダで生まれ、一時期を東アジアに暮らした。その影響を強く受けて誕生したのが、そのエキゾチックなダンスだと言われている。
ブラッシュアップされた脚本によって、当時の状況がわかりやすくなり、通信も交通も今とは格段に未発達だった時代にあっても、人や文化の交流があり、世界がひとつであったことを思い知らされた。
と同時に、今、不要不急といわれるエンターテイメントが、大戦時にも国境を超える稀有な存在であったことにも驚かされた。
100年前のお話でありながら、今と変わらない世情と、輝きを失わないラブ・ストリーを体感して欲しい。
★そして・・・、さらに・・・
今回の公演から参加した見逃せない新キャストが、ドイツ軍人・ビッシングを演じる宮尾俊太郎。バレエ界のスターが、ミュージカル俳優としてビッグナンバーを歌う。また初演にはなかったマタ・ハリとダイナミックなダンスも大きな見どころ。また、ベテラン・春風ひとみ演じる衣装係が、マタ・ハリに寄せる思いにも涙を絞った。
そして、なにより、マタ・ハリのゴージャスな衣装の数々に見とれ、シンプルなセットからは想像力を刺激される。
視点を移しながら、何度も楽しんでもらえるミュージカルとなっていた。
公演は、6月27日(日)まで、東京・東京建物 Brillia HALLにて。その後、7月10日(土)~7月11日(日)愛知・刈谷市総合文化センターアイリス 大ホールにて、7月16日(金)~7月20日(火)大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。
6月26日(土)17:00、6月27日(日)12:00公演はライブ配信もあり。お見逃しなく!
ミュージカル『マタ・ハリ』公演概要
◇脚本:アイヴァン・メンチェル
◇作曲:フランク・ワイルドホーン
◇歌詞:ジャック・マーフィー
◇オリジナル編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ホーランド
◇訳詞・翻訳・演出:石丸さち子
◇出演: 柚希礼音 愛希れいか(Wキャスト)
加藤和樹 田代万里生(Wキャスト)
三浦涼介 東啓介(Wキャスト)
春風ひとみ 宮尾俊太郎
鍛治直人 工藤広夢 飯野めぐみ
石井雅登 伊藤広祥 竪山隼太 上條駿 中川賢 中本雅俊 森山大輔
彩橋みゆ 石井千賀 石毛美帆 桜雪陽子 Sarry 鷹野梨恵子 原田真絢
◇東京公演:2021年6月15日(火)~6月27日(日)/東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
◇愛知公演:2021年7月10日(土)~7月11日(日)/刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
◇大阪公演:2021年7月16日(金)~7月20日(火)/梅田芸術劇場メインホール
【配信日程】アーカイブ配信なし
[1] 6/26(土) 17:00公演 マタ・ハリ:柚希礼音/ラドゥー:加藤和樹/アルマン:三浦涼介
[2] 6/27(日) 12:00公演 マタ・ハリ:愛希れいか/ラドゥー:田代万里生/アルマン:東啓介
【配信チケット料金】
●ライブ配信視聴券:4,000円(税込)⇒「Go To イベント」適用で3,200円!
●ライブ配信視聴券(公演パンフレットの郵送サービス付き):6,000円(税込)⇒「Go To イベント」適用で4,800円!
◇公式ホームページ→https://www.umegei.com/matahari2021/ ◇Twitterあり!