2014年にZu々プロデュースにより日本初演されて以来、緊張感に満ちた、繊細で濃密な会話劇として高い評価を得て繰り返し上演されてきた舞台「Being at home with Claude~クロードと一緒に~」が、新演出となって7月3日(土)に初日を迎えた。
今回の出演者は、溝口琢矢、原田優一、米原幸佑、そして毎回のように出演している鈴木ハルニ。初日前日に行われたゲネプロの模様をお伝えする。(写真©︎Zu々 Photo by NORI) 公演は7月11日(日)まで。千秋楽は配信あり。
【ゲネプロ】
真っ暗な部屋にフラッシュバックのようにいくつかの場面が浮き上がる。
駆け込んできた“彼”(溝口琢矢)が電話を掛ける。部屋に入って“彼”にピストルを突き付ける男。
緊張の場面から物語は始まる。
次の場面では、男(原田優一)が刑事で、“彼”を取り調べていることがわかる。
罪状は殺人。被害者はエリート大学生・クロード。被疑者は、先ほど電話をかけていた”彼”(溝口琢矢)。クロードと肉体関係にあった若い男娼だ。
”彼”は自ら警察に通報。そしてマスコミにも事件を知らせていた。
刑事(原田優一)は、すでに36時間も”彼”を取り調べていた。
「犯人はこいつだ」
刑事は確信していたが、事件の核心はまだ何もわかっていなかった。”彼”の名前さえわからない。
次第に焦りと怒りに支配される刑事。
“彼”はなぜクロードを殺したのか?いや。なぜクロードは”彼”を出入りさせていたのか。彼は本当に犯人なのか?
今作から原作に忠実な脚本・演出に変わったいう。刑事の攻撃が一層厳しくなった気がするのは、そのせいだろうか。 ベテラン刑事が繰り出す手練手管の影に、刑事の人間像が見える気がする。さすがの原田優一だ。
刑事の追及をのらりくらりとかわす”彼”。自ら通報しておきながら、何も語らない”彼”。
だが”彼”はやがて語りだす。
その長い独白ともいえる長台詞は、この作品のクライマックス。溝口は、それまでの彼のイメージを脱ぎ捨て、身を削るように”彼”を演じる。それまで男娼である”彼”を自らとは遠いかけ離れた人間だと思っていた観客の心に、自らの心の中の”彼”を呼び起こす。あるいはクロードの姿を描かせる。
ミステリアスなサスペンスと見せながら、観客にその後ろにある世界を思い描かせる。
舞台の暗がりの向こうに広がる、もっと深く広く美しい闇をのぞきに、是非劇場へおいで下さい。
「Being at home with Claude~クロードと一緒に~」
2021年7月3日(土)~11日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト
原作:ルネ=ダニエル・デュボワ
翻訳:イザベル・ビロドー、三宅優
上演台本・演出:田尾下哲
キャスト:溝口琢矢、原田優一、米原幸佑、鈴木ハルニ
「Being at home with Claude~クロードと一緒に~ ★当日引換券」
https://www.confetti-web.com/detail.php?tid=61926&
R-15と同程度のセクシュアルな表現があるため、15歳未満の入場をお断りします。
配信チケット
【ライブ配信】アーカイブなし
[配信期間]11日(日)13:30~
https://confetti-web.com/detail.php?tid=61925&