7月 10 日(土)から 京都・南座で「松竹新喜劇 夏まつり特別公演」新作喜劇『一休さん』と、『愛の小荷物』の二本立ての上演が始まった。
渋谷天外、藤山扇治郎らお馴染みの劇団員に加え、南座には五回目の出演となる久本雅美、OSK 日本歌劇団 特別専科の桐生麻耶、高い演劇力で話題を集める毎田暖乃がゲスト出演。笑いと感動いっぱいの公演は7月18 日(日)まで上演。
藤山扇治郎
見どころは…
新作喜劇『一休さん』
ご当地京都を舞台に、将軍様へ献上するお茶をどの茶にするかでもめている村民を鎮めるため、山城の飯岡へ出立する一休の活躍を描いた本作。
藤山扇治郎 桐生麻耶
主役の一休を勤める藤山扇治郎は、持ち前の温かさと優しさ溢れる演技で青年期の一休を演じました。一休と共に京都の山城を目指す、桐生麻耶演じる蜷川新右衛門は、正義感あふれる侍でありながら、一休と小坊主たちの見分けがつかず、勘違いに勘違いを重ねて大混乱。お茶目な一面も見せます。
右から渋谷天外 毎田暖乃 藤山扇治郎 桐生麻耶
一休らが道中で立ち寄る茶屋で働く女の子小夜を演じるのは毎田暖乃。元気いっぱいに登場し、客席からは大きな拍手が。素直で芯が強く、弟思いな小夜を見事に演じました。渋谷天外が演じるのは、小夜を見守る茶屋の主人と将軍様。二極のキャラクターで客席を楽しませ、早変わりも披露しました。
渋谷天外 毎田暖乃
渋谷天外
物語の見どころは、一休が、一休に変装した小夜の兄・彦助と出会い、家出した小夜を家に戻るよう説得するところ。丁々発止のやりとりに、さらに新右衛門と小夜も現れて……。客席は笑いに包まれました。
最後は、一件落着、桐生演じる新右衛門を中心に出演者揃って舞を披露。温かな拍手の中、舞台の幕を閉じました。
桐生麻耶
『愛の小荷物』
舞台は大阪南港のターミナル。妻に逃げられ、赤ん坊を抱えて途方に暮れる小荷物係木村のために、
久本雅美演じる斎藤常子(おつね)と曽我廼家文童演じる安田平次郎がお節介を焼きます。
曽我廼家文童、久本雅美
おつねは船に乗り遅れた篠原君子という女性を木村の再婚相手にしようと画策。久本雅美は等身大の
姿でおつねを演じ、生来の世話焼きさをいかんなく発揮。その自然なおばちゃんらしさは客席の笑い声
を誘いました。やがて、木村と君子の二人はめでたく再婚することになりますが、そこへ平次郎がやっ
てきて、木村の元妻に戻ってくるよう説得したというからおつねと木村は驚きです。やがて君子の胸の
内も明かされて……。人々の世話焼き・純粋な心に客席は感動に包まれました。