2021 年劇団☆新感線 41 周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』製作発表が、7月17日に新感線オフィシャルYouTubeチャンネルにてライブ配信された。
マスコミと共に多くの視聴者が見守る中、作の中島かずき、演出のいのうえひでのりと、出演する中村倫也、吉岡里帆、向井 理が登場した。撮影:田中亜紀
中島:20年前から安倍晴明の話はどこかでやりたいと思っていた。今回中村倫也くんが主演でいのうえ歌舞伎をやるということで、倫也君で清明はいいなと思いつきました。キャスティングをする中で、向井君がライバル、一見陰陽師に見えて実は狐…これは烏帽子が似合うしいいなと。烏帽子が似合う男ふたりの中に吉岡さんが入ってくる。
清明は狐仙の子と言われている。狐で霊で…どうしても思いつくことがあって、どうしようと、やるかやらないか…。いのうえにも相談して、狐の霊で清明と一緒に戦う…どうせなら堂々と自分の見たいものを書こうと決意して、吉岡さんがきつねの霊ということになりました。初めに考えた話とは全然違ってしまったのですが、これはこれで面白くなったと思います。
いのうえ:いのうえ歌舞伎は生田斗真くんの『偽義経冥界歌』が東京公演の途中で中止になって博多公演は全部中止になって、非常に悔しい思いをしました。いのうえ歌舞伎は人数が多く立ち回りもあるので、なかなか作れなかったのですが、満を持して全力でフルスペックでやる舞台になりました。
しかも、安倍晴明ということで、ファンタジー色の強い、『阿修羅城の瞳』『BEAST IS RED~野獣郎見参!』の非常に妖や妖術魔術が出てくるファンタジー色の強いいのうえ歌舞伎になっています。最近のいのうえ歌舞伎に比べても仕掛けがあったり、面白い舞台になっていると思います。
劇団新感線参加は2回目、いのうえ歌舞伎は初参加の中村倫也。
中村:横をみましたら、僕よりはるかに身長が高いおさむっちより、僕よりの方が座高が高いのではないかと、愕然としております。そんなチビとノッポとかわいいきつねちゃんでお送りお送りします。
どこで出演が決まったのか定かではないですが、ここ2~3年で「こんなことやろうか」と、現実味を帯びてきましたが、共演者が決まったときが「これでやるんだな」と実感したポイントでした。出演する客演の方、劇団員のみなさんを含め、とても面白いものになるのではないかと、そしてバランスがいいカンパニーになるのではないかという予感がしております。
昨日、本読みをしてとても楽しかった。いろんな妖怪が出てきて嬉しかったです。すごく楽しいものになるのではないかと思っています。客演は若い者が多いのですが、古くからの新感線ファンにも楽しんで頂けるものになる予感がしました。これから一日一日頑張って、いいものを作れるようにしたいと思います。
清明に助けを求める狐役の吉岡里帆。
吉岡:きつねの役を某CMで何年かやらせて頂いていて、実は狐歴が長いのです。今までやってきたことが役に立つ日が来たと思ったが、台本を読んでみたら「私の知っている狐と全然違う」というのが初めの印象でした。不思議な世界観にお客様がすぐに引き込まれるのではないかと思います。
清明の中村さん、九尾の狐の向井さんという最高のメンバーの中に入らせて頂いて、すごく楽しみであり、緊張もすごいです。劇団新感線参加が初めてなのは私ひとりらしく、足手まといになりたくないと思いながらなんとか皆さんにしがみつきながら頑張りたいと思っています。
陰陽師であり九尾狐役の向井理。
向井:いつ決まったのかさだかではありませんが、またオファーが来たと聞いて、「一度目で嫌われてないんだ」と思ってよかったという思いが強かったです。(内容を)何も聞いていない中で快諾しましたが、想像以上に大変そうでちょっと後悔し始めています。
(劇団新感線に初参加した)ステージアラウンドでは、経験したことのないエンターテイメントをやらせて頂いたので勉強になりましたし、「やってなかったことが、こんなにいっぱいあったのか」という気づきもいっぱいあり、本当に鍛えられました。大変でしたがご覧になった方々が楽しんで頂けたと聞いて、エンターテイメントの力はすごいと思いました。
昨日、本読みをやってみて、膨大な台詞に溺れそうになりました。大変な舞台になると思いますが、僕の小さな経験上ですが、役者が苦労している作品こそ見ている人は楽しんでもらえるものだと思っていますので、その苦労を観て頂いた方に消化(昇華?)して頂くべく、これから2か月、稽古に励んで、こんな時代だからこそ楽しんで頂ける作品にしたいと思っています。
共演者については…
中村:吉岡さんは間違いなくキュートな狐ちゃんになるだろうということで期待大です。弟の早乙女くんとの掛け合いもコミカルなところもあり、知恵比べ・主導権を握り合うシーソーゲームの中で牧歌的な瞬間になることを期待しています。
向井君のド悪役芝居がすごく楽しみです。クールで無駄なことはしゃべらないイメージですが、ド悪役の発声をしてもらいたいです。
(向井と知り合ったのは)僕が18歳デビューしてまもなく、戦争映画の同じ部隊でした。まだ(向井が)ブレイク前で「戦争映画なのに、すごくシュッとした人がいる」と。その時になつかせてもらいました。
向井:(知り合った時は中村が)最年少でもあり、みんなの弟みたいな感じで、でも、その時から生意気でしたよ。(笑) その懐かしさはありますが、10何年という時間を芝居の世界でどっぷりやってきているので、刺激し合えればいいと思います。
吉岡:中村さん演じる清明は愛さずにはいられない人だなというのが、本読みの第一印象です。少年性とピュアな感じと、占ったり魔術を使う危うい部分が混在しているキャラクターが中村倫也さんへのイメージと重なるところがあったので、「ぴったり!」という感じでした。
中村:俺、魔術使いそう?(笑)
吉岡:使いそうです。向井さんは初主演連ドラでご一緒して、(役の上で)すごくいじめ抜かれたので。
向井:でも俺は台本通りやったから。一語一句。アドリブとかしてないから。
吉岡:すごく優しくて素敵な先輩だとわかっているんです。わかっていても、どうしても怖い表情とかが心に植え込まれています。でも、今回は逆にそれがしっくりする因縁の深い役どころなので、それを活かして反撃できるように頑張ります。
中島:今回も当て書きです。今回は向井くんの悪い人を見たかったので、二面性ですね。一見良さそうに見えるけれど悪いという。
今回は知恵くらべなので、(中村・向井の)ふたりは良くしゃべる。普段ならアクションでやるところを、二人は台詞の応酬のようにやる部分があり大変だと思いますが、やり取りがサスペンスになるでしょうし、吉岡さんの存在が緩衝材であり癒しであり、実は話をひっぱっていきます。
いのうえ:いろいろ考えていますが、ネタバレになるので、あまり言えないのですが、最後に向井くんが小林幸子的な出方をするので楽しみにしてください。(爆笑)
2021 年劇団☆新感線 41 周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』
作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
出演:中村倫也 吉岡里帆 / 浅利陽介 竜星 涼 早乙女友貴
千葉哲也 高田聖子 粟根まこと / 向井 理 他
【東京公演】2021 年 9 月 17 日(金)~10 月 17 日(日) TBS 赤坂 ACT シアター
チケット発売日:2021 年 8 月 21 日(土)午前 10 時
【大阪公演】2021 年 10 月 27 日(水)~11 月 11 日(木) オリックス劇場
チケット発売日:2021 年 9 月 26 日(日)午前 10 時