7月15日(木)に幕をあけた世界最高峰のミュージカルスターが集まった『ジーザス・クライスト=スーパースター in コンサート』の、7月18日夜公演を観劇した。このコロナ禍で、世界のスターの歌を生で聞くことができる稀有なコンサートだ。
天才音楽家アンドリュー・ロイド=ウェバーの音楽と最高の歌声をに浴びるように聞いた観客は、カーテンコールで最初からオールスタンドアップ!鳴り止まぬ拍手にキャスト達は笑顔で何度も何度も登場。大絶賛を受けた熱いコンサートだった。
公演は2021年7月27日(火)まで、東急シアターオーブにて上演中。 撮影:渡部孝弘
『ジーザス・クライスト=スーパースター』は、『キャッツ』、『オペラ座の怪人』で知られる天才音楽家アンドリュー・ロイド=ウェバーと、『アラジン』、『美女と野獣』等と手掛けた作詞家ティム・ライスが、20代前半でタッグを組み生み出した傑作ミュージカル。ミュージカルファンでなくても、誰もが耳馴染みのある楽曲が何曲もある名作中の名作ミュージカルだ。
その名作を、世界トップのミュージカルスターがコンサート形式でお届けするこのシリーズは、今回で2回目。
前回2019年は、即日完売。その大好評を受けての、今回の上演となった。
描かれるのは、イエス・キリストの最後の7日間。
コンサート形式とはいえ、元々すべてが歌で綴られるミュージカルなので、キャストはミュージカル同様に演じて歌う。舞台セットが鉄パイプで組まれた簡易なものである他は、ミュージカルを観劇している感覚だ。
ミュージカルとして成立していると言えるコンサートだからこそ、音楽を楽しむだけではもったいない。
是非とも物語を踏まえて、その歌を演技を楽しんで欲しいのだが、日本人にはなじみの薄い題材で、しかも全編英語での歌唱とハードルは低くはない。
ただ舞台脇に出る字幕は、とても分かり易くかみ砕いてある。これまで本作の映画の日本語字幕よりも、分かり易いと感じだほど。
なので、登場人物とその関係性・・・キャストがどんな役を演じているかを理解してから参加してもらえたら、初めて本作を観る方も物語まで楽しめるだろう。
とにかく音楽は最高だ。どれほど素晴らしいかは、ゲネプロの動画をすこしお見せしよう。
キリストを演じるマイケル・K・リーは、韓国で幾度も出演作を見たことがあるが、この舞台での存在感はまた格別。神の子のオーラを漂わせつつ人間らしい表情も。「キリストが人間だったとしたら、その心の内は…」と、公演終了後にもいろいろと考えさせられてしまった。
ラミン・カリムルーは、ミュージカル『チェス』で2020年1月に来日した時よりもワイルドで精悍。 (その稽古場の様子) いかにも裏切り者ユダのエネルギーをあふれさせている。毎年のように生歌を聞かせに来日してくれることにひたすら感謝したい。
マグダラのマリア 役のセリンダ・シューンマッカーの澄んだ歌声は癒しに満ちて、この舞台ならでは。
そして、シモン役の柿澤勇人。歌い終わりの表情を見るためだけでも、本作に行く価値があるかもしれない。それほどに、魂を込めたというような満足げな笑顔を見せていた。
意表を突いた演出で聞かせたのは、藤岡正明。ヘロデ王という王の貫禄でステージを制圧するのは1曲だけなのだが、実は1幕からずっと王としてステージに君臨している。そんな細かなところにも目を配って楽しんで欲しい。
『RENT』で来日した時にはエンジェル役を演じていたテリー・リアンの全く違った姿や、ピラト役のローベール・マリアンの深い歌声、カヤパ役の宮原浩暢(LE VELVETS)の冷めたい響く低い声と、見どころ聴きどころは満載。
声は出せないが、コンサートではあるので手を打ち、乗りに乗って楽しんで欲しい。
『ジーザス・クライスト=スーパースタ― in コンサート』
【東京公演】2021年7月15日(木)~7月27日(火)@東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11F)
※プレビュー公演 2021年7月12日(月)~7月13日(火)
【大阪公演】2021年7月31日(土)~8月1日(日)@フェスティバルホール
出演: マイケル・K・リー、ラミン・カリムルー、セリンダ・シューンマッカー
藤岡正明、宮原浩暢(LE VELVETS)、テリー・リアン、ロベール・マリアン
柿澤勇人、アーロン・ウォルポール 他
演出・振付:マーク・スチュアート
公式HP:https://theatre-orb.com/lineup/21_jcs/top.html