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「命を使いきる」舞台『醉いどれ天使』明治座にて本日開幕!

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い初日を2日間延期していた、舞台『醉いどれ天使』が9月5日(日)に明治座にて開幕した。
名匠・黒澤明の名作を、演出を三池崇史、脚本は蓬莱竜太がつとめ、出演者に桐谷健太、高橋克典、佐々木希、田畑智子、篠田麻里子、髙嶋政宏という個性あふれる実力派が揃った。
初日の観劇レポートと、桐谷健太 高橋克典のコメントをお届けする。(撮影:田中亜紀)

物語の舞台は、戦後復興を目指す日本のある街。

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闇市の顔役の松永(桐谷健太)が、夜中に町医者の真田(高橋克典)をたたき起こした。銃創の手当てをしてもらうためだった。
酒が好きで口は悪いが、心根は優しく一流の腕を持つ真田は、松永が結核であることを見抜き、大病院での検査を勧める。

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真田の元に身を寄せ働いていた美代(田畑智子)も心配するのだが、松永は聞き入れずヤクザな仕事を続けていた。

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そんな松永を心配している人がもう一人。幼馴染のぎん(佐々木希)だった。

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病が進む松永に転機がやってきた。兄貴分の岡田(髙嶋政宏)が出所し、勢力分布が変わり始めたのだ。

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落ちぶれ始めた松永の元を、恋人の奈々江(篠田麻里子)も離れていく。

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映画を知らずに見た身としては、闇市をめぐるヤクザの抗争を軸に描かれる物語かと思いきや、このコロナ禍の私たちの心の内を行き来する思いと重なる大きな流れに圧倒される物語であった。

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登場する人物の誰もが、戦争という生死が紙一重だった時代を超えて、さらに苦難の今を鮮烈に生きていた。松永(桐谷健太)の外見と心の中との温度差、真田(高橋克典)の酔っぱらい医者の苦悩に引き込まれる。岡田(髙嶋政宏)の悪のエネルギーの迫力、ばあや(梅沢昌代)のウィットや、ライブ感満載な場面も舞台ならでは見どころだろう。

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そしてぎん(佐々木希)の自分ではどうしようもなかった過去について、夢から哀しみを打ち明けるモノローグが、冒頭から心に沁みた。2015年の初舞台の『ブロッケンの妖怪』から6年ぶりのこの舞台出演だが、今後もぜひ舞台で活躍してもらいたい。

同じ黒澤明監督作品「生きる」についてしばしば耳にする言葉ではあるが、この作品の台詞にあった「命を使いきる」という言葉が強烈に心に残った。そして、今の私たちはその使い道を自分で選ぶことができる幸せに、感謝と希望を感じさせてくれる舞台だった。

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桐谷健太(きりたに・けんた)コメント
今、日に日に全体がパワーアップしているのを感じますし、稽古をしていない時も、その時代や松永の感情が流れ込んできて、どんどん変化していくのを感じます。他のキャストの皆さんも力強いうねりのようなエネルギーが1つになったり、ぶつかりあったり、色んなところで刹那の強い渦が現れて、とても刺激的です。きっと毎回違う世界が生まれるのだろうとワクワクしております。
戦後の闇市で、明日も見えない中、必死で今を生きる人たちの姿は、きっと観る人の心を揺さぶる何かがあると信じています。
全員でエネルギーや波動を惜しみなく出していきますので、ぜひ劇場でギンギンに感じて頂きたいです。

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高橋克典(たかはし・かつのり)コメント
黒澤明監督のどの作品も、若い頃から何度観たかわかりません。この「醉いどれ天使」も然り。三池監督から聞いたところによると『醉いどれ天使』は戦後すぐに作られた、当時の4年後くらいの希望のエネルギーに溢れた作品であると。戦後の焼け野原の中から力強く立ち上がり必死に生きる全ての登場人物たち。その生き様に心打たれます。僕が演じる真田は、幾重にも挫折を重ね、医者としての真っ当な心を持ちながらも酒に溺れる街の医者です。昔確かにいた、街ののんだくれの頑固オヤジですね。桐谷健太さん演じる松永と出会い、ぶつかり合いながらも共に生きる中でどう変わって行くのか、ぜひご覧になっていただきたいと思います。戦争や、あの焼け野原、屈辱、絶望を知らぬ我々現代の若いキャストではありますが、今また別の形で生きるのが困難なある種絶望と圧力の下、三池崇史監督の元、明日への希望を振り絞り、在る命の価値を感じ、演じられたらと思います。人生における時期も含め、とても今の自分に合った役だと感じています。素晴らしいスタッフ、魅力的な共演者達と一緒に演じられることが嬉しく、役者としてのやりがいを感じています。是非劇場で、この熱くエネルギッシュな舞台をご覧ください。

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『醉いどれ天使』

原作  黒澤 明 植草圭之助
脚本  蓬莱竜太
演出  三池崇史
出演  桐谷健太 高橋克典
佐々木 希 田畑智子 篠田麻里子
髙嶋政宏 他

公式サイト  www.yoidoretenshi.jp

【東京公演】
公演期間/会場 2021年9月3日(金)~20日(月祝)/明治座
チケット料金 S席\14,000/ A席\7,000(全席指定・税込・5歳以下のお子様入場不可)
お問合せ 明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)

【大阪公演】
公演期間/会場 2021年10月1日(金)~11日(木)/新歌舞伎座
チケット料金 S席\14,000/ A席\7,000/ 特別席\14,500(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
お問合せ 新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222 (10:00~18:00)

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