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『hana-1970、コザが燃えた日-』記者会見

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2022年1~2月に東京、大阪、宮城にて上演される『hana-1970、コザが燃えた日-』(以下、『hana』)の記者会見が12月23日に行われた。 撮影:宮川舞子

本作は沖縄復帰直前の1970年12月20日に起きたコザ騒動(アメリカ軍関係者の交通事故に端を発し群衆がアメリカ軍車両を焼き払った事件)を背景に、ひとつの血の繋がらない家族(イワイ家)を描いた物語。
演出は長年沖縄を見つめ、多くの問題に想いを寄せて来た栗山民也。脚本は栗山が絶大な信頼を寄せる畑澤聖悟が書き下ろす。

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会見には、イワイ家の長男ハルオ役の松山ケンイチ、ハルオの弟、アキオ役の岡山天音、ハルオとアキオの母親、おかあ役の余貴美子が登壇した。

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―稽古に入る前に沖縄に取材にでかけた松山と岡山。印象に残ったことと訪問後の自身の変化について教えてください。
松山:そうですね。コザ騒動自体、名前は知っていたんですけど、そこに行き着くまでの沖縄の人たちの感情だとか、想いみたいなものは、やっぱり分からないんですよね。知らなかったので、現地に行っていろんな方とお話しをさせていただきました。日本に対してもすごく怒りがあって、アメリカ人に対してもある。ハルオに関しては、自分自身にも怒りが向けられているようなところがあるんです。そういうなんかこう、一方向ではないというか、色んな角度から踏みにじられていることをいろいろ話を聞いて、驚きました。今でも自分のなかで消化しきれない何かがずっと、残ったまま稽古をしています。

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岡山:そうですね。僕はちょっと松山さんよりも遅れて沖縄は入らせてもらったんですけど。このモチーフになってるコザ騒動が実際あった場所、今の場所を歩いてみて。そこで実際渦中にいた方から、「ここでこういうことがあって」っていうお話を聞きながら、街を回ったのは非常に印象的ですね。やっぱりこの舞台をやる上でその体験てものすごくおっきいもので、そこで実感を持てた気がしますし、印象に残ってます。今もなんか力になっている気はします。
松山:なんか、お会いした人たちに、ものすごいパワーがあったんだよね。
岡山:そうですね。それは感じましたね。

松山:すごく圧倒されたよね。何十年も前の話を、今起こったかのように話してくれる方とかもいて。だから今も、解決していない問題としてある、というか。何も変わってない部分があるからこそ、声を発しているんだと思います。そのパワーに僕らはなんか圧倒されてたような気がしますね。

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―余さんはこれまで沖縄に関する作品にも多くご出演されていますが、ご自身の沖縄への想いというのは、いかがでしょうか
余:はい。もう2人は偉いですよね。こうやってお稽古に入る前にちゃんと行かれて。沖縄といえば20年以上前なんですが、『うみ・そら・さんごのいいつたえ』という椎名誠さんの映画に参加した時に三線にハマって三線をお稽古したり、古酒(くーす)泡盛を毎晩飲むとか、買い溜めしたりして、もう本当に沖縄に住みたいぐらいだったんです。
私は家族が台湾人なので食べるものとかは、沖縄だと台湾の方が東京よりも近いということもあり、ヘチマとか、ゴーヤなども毎日食卓にありました。香辛料の匂いとかも沖縄とそっくりで、自分の血の中に、生活の中に、沖縄の感じがあって、沖縄に行くとすごく居心地が良くて。だから沖縄に関わっていたいなっていう気持ちが強かったので、この作品に参加できてとっても嬉しいです。

―稽古が始まりって、最初に脚本を読んだ時から印象は変わりましたか?
松山:そうですね。台本読んだ時点で、びっくりすることばっかりだったんで。さっきも言いましたが、日本人に対しての怒りや、日本と沖縄のギャップっていう感じが台本にはすごく、きちんと表現されていて。本当にそれにびっくりしました。
なので、僕がびっくりした、感じたものをそのままを、出来るだけ何も混ぜ物なしに、お客さんに届けられるようにしたいです。

岡山:最初に読んだ時は、その歴史の中でのイメージだったり、沖縄の耳慣れない色んなエピソードが入ってたりしましたが、やっぱり実際にあった出来事が核にある作品なので、実際にあって今も続いてる、沖縄だったり日本の実情を伝える作品にもなっていると思います。実際演じてみて、皆さんのお芝居を観ていると、やっぱりその出来事を語るキャラクターの感情が、その言葉の裏には流れていて、人の声でそういった出来事の説明や固有名詞が発せられると、最初に思っていたよりも、やっぱり、なんか人間の生き様が、描かれた作品なんだなと、改めて身を以て感じました。時代も場所も全然違いますけれど、根本の根本は、現代、今東京で生きてる僕と、勿論同じ人間なんだなっていうことを感じました。

余:最初に頭の中だけで、読んだだけではとても理解出来なかったことが、相手がいて、ちゃんと話して読み解いていくと、本当になんか実感が湧いてきて。「あ、こういうことだったのか」と。やっぱり本当に相手がいて話の大切さを本当に実感で分かりました。その時代のことも喋っていくうちに、沖縄の言葉も口からこうやって出していくうちに、なんとなくこう実感してきて。時代の熱い感じとかも、やっぱり頭の中だけでは分からないなと思いました。

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―作品は家族や沖縄の歴史の物語として、色んなテーマを含んでると思いますが、お稽古で向き合って何か影響受けたことはありますか?家族も大きなテーマですね?
松山:そうですね。色んな、悲しみや怒りとか、ちょっと色々喋ってきましたけども、その反対側にも対になる部分は必ずあると思うんですよね。それが家族とのやりとりの中で、表現出来るのかなと思っていて。おかあとハルオと一緒に稽古していて、やりとりのテンポ感だったりが、昔からこんな風に接してきてたんだなぁ、一緒に過ごしてきたんだんなぁと実感出来るようなおかあで。そういうとこに、僕はすごく暖かさや幸福感みたいな、救われる感じをすごく感じています。なので、もっともっと、そっちの方も稽古中に試して、色々やって新しいものが出来たらいいなと思っています。

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―余さんはその辺りいかがですか?演出の栗山さんから演出などはありましたか?会話劇ということについてはどうでしょうか。
余:そうですね、栗山さんがいつも、演出家がおっしゃるのは、今回は特に言葉の力を信じろと。60年代後半から70年代辺りの時代を表現するには、やっぱり考えることが大切。本当の会話をする、対話をして、人と関わっていくことでしか、この時代を表現出来ない。本当に、会話して戦う、対話しないと前に進めないと。今はそれをみんな、止めてしまったと、怠けているんじゃないかとおっしゃるんです。確かに舞台上だけではなくて実人生でも「ああ、確かにそうだな」って思うので、この作品に今、出会って良かったなって思いますね。

―最後に、ずばりこの作品の見どころはなんですか?そしてファンの方へのメッセージをひと言お願いします。
余:そうですね。参加者全員の剥き出しな会話、丁々発止の会話をワクワクしながら、お楽しみいただけると思います。どうか劇場へ足をお運びください。

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岡山:はい。モチーフになってるのは沖縄で実際にあったコザ騒動だったりして、そういう史実に触れたことがなかったり、今沖縄に住んでなくて全然関係ないとこ住んでる現代を生きる人たちにこそ、是非観て欲しいなと思います。今の人たちが知らなかったり、どこかに置いてきてしまったりした人間の美しさみたいなものが、ふんだんに描かれた作品だと思います。新年から是非、濃い、沖縄に生きる人々のエネルギーを浴びに、是非いらしてください。よろしくお願いします。

松山:はい。今回なんかひと言で、言えるような作品ではないと思うんですけど、ただその登場人物、家族も、血が繋がってはいない疑似家族みたいな所に、アシバーという遊び人のような人がいたり、教師がいたり、生活のために密貿易やっているおじいちゃんがいたり、米兵がいたり、学生運動じゃないですけど、デモを熱心にやっている人たちがいたり、多様性のある、キャラクターたちが登場します。その多様性は、当時は普通にあったはず…、あったと思うんです。
今、多様性を認めようという動きがありますが、元々あったんですよね。もしかしたら何かをなかったことにすることで、多様性を見出そうとしているのかもしれないんですけども、やっぱり向き合っていくっていうことが、多様性なんじゃないかなと、稽古を通して僕が感じたことです。なので、この作品も、そういうテーマが1つとしてあるのかもしれません。今にも通じる部分があると思いますので、是非観ていただきたいなと思います。

『hana-1970、コザが燃えた日-』

<スタッフ>
作:畑澤聖悟
演出:栗山民也

<キャスト>
松山ケンイチ
岡山天音
神尾 佑
櫻井章喜
金子岳憲
玲央バルトナー
上原千果
余 貴美子

<東京公演>
日程:2022年1月9日(日)~1月30日(日)
会場:東京芸術劇場プレイハウス
主催:ホリプロ

<東京公演詳細>
S席:9,800円
サイドシート:7,000円
Yシート:2,000円(※20歳以下対象・当日引換券・要証明書・枚数限定)

■一般発売:発売中

 

<大阪公演>
日程:2022年2月5日(土)、2月6日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

<宮城公演>
日程:2022年2月10日(木)、2月11日(金・祝)
会場:多賀城市民会館

企画制作:ホリプロ
公式HP https://horipro-stage.jp/stage/hana2022/