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『ラビット・ホール』インタビュー 新原泰佑 ストレートプレイ初挑戦「どんどん冒険していきたい」

2022 年 2 月 23 日(水)~3 月 6 日(日) KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉で、ピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる戯曲『ラビット・ホール』が上演される。(2/18(金)~20(日)の公演は中止となりました。2/15修正・追記)
描かれるのは、愛する幼い息子を失った悲しみと向き合いながら、一歩を踏み出そうとする家族の物語。
この繊細な物語を、ドラマ『クロサギ』『紙の月』や、連続テレビ小説『まれ』など映像作品の脚本家として活躍する篠﨑絵里子による上演台本で、2017 年『チック』(翻訳・演出)で第 10 回小田島雄志・翻訳戯曲賞、第 25 回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞し注目を集めた小山ゆうなが演出する。

裏面新原さま 写真:久家靖秀CUT01_0262b

写真:久家靖秀

今回、Astageにご登場いただくのは、小島聖と田代万里生演じる夫妻の息子を、車で轢いてしまった青年・ジェイソン役をつとめる新原泰佑。
“日本一のイケメン高校生”を決める「男子高生ミスターコン2018」グランプリを受賞し、ABEMAのオリジナル連続ドラマ「17.3 about a sex」(2020年)でドラマデビュー。ミュージカル『ポーの一族』、ミュージカル『ニュージーズ』では4歳から続けてきたキレキレのダンスとのびやかな歌声も注目を集めた。現在はTBSの朝の報道・情報番組『THE TIME, 』火曜レギュラーとして出演中。日の出の勢いの21才だ。

ストレートプレイ初出演となる『ラビット・ホール』への意気込みを伺いました。

―ドラマ、ミュージカル、情報・報道番組と大活躍されている新原さん。演劇ファンの皆さんにもご挨拶をお願いできますか?
今回、こちらの『ラビット・ホール』という作品で初めてストレートプレイに出演させていただきます新原泰佑です。KAAT神奈川芸術劇場の2021 年 8 月~2022 年 3 月までの「冒(ぼう)」というテーマを掲げたシーズンの最後を素敵に飾れるようにしたいと思っています。KAAT芸術監督の長塚(圭史)さんが“冒険の「冒」だ”とおっしゃっていましたが、僕にとっても初めてのストレートプレイで、どんどん冒険していきたいと思っているので、お楽しみにしていただけたらなと思います。

―キャスティングが決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
お話を頂いた時には、まず「自分にストレートプレイができるのか」という不安はありました。舞台に立つ自分を想像してみたのですが想像できなくて、実は今もまだあまり現実味がありません。ただ、稽古をしていくうちに、稽古の仕方もミュージカルとは違い、ドラマや映像作品とも進め方が全然違うことがわかって、新たな世界を感じています。
台本を読んで、小山さんや出演者のみなさんとお話しさせていただいて、自分でも役を掘り進めていく中で「これまでとはまったく違った攻め方をしていかないといけない」ということも学べて、それが「すごく楽しい!」と思い始めているところです。

―その“違った攻め方”とは?具体的に教えてもらえますか。
ミュージカルには歌とダンスがついていますよね。先日出演していた『ニュージーズ』ではとにかく踊っていて、『ポーの一族』では歌っていました。なので、踊りや歌に感情を乗せて、そこから物語を紡いでいくこともできるのですが「ストレートプレイには踊りや歌に当たるものが全部ないんだ!」と思いました。それは、僕がミュージカルから舞台をはじめたので、そういうとらえ方になってしまったのですけど。
映像作品でも演技をさせて頂いていますが、ストレートプレイではそれとも違う攻め方をしていかなきゃならない、台本から自分なりに読み解いて、歌やダンスではない表現の仕方をしなくては…と思っています。それも僕の冒険です。

―新しい挑戦ですね。演じるジェイソン役は、どのように考えておられますか?
道路に飛び出してきた4歳の男の子を車で轢いてしまう青年で、小島聖さんが演じる男の子の母に、自分の懺悔も含めて寄り添っていく役です。もちろん自分にはこのような経験は無いですが、無いものをあるように見せるのが役者なので、自分の中でいかに作りこんでいくかが大事だと思っています。キャストは全部で5人ですが、そのうち4人は家族で、ジェイソンだけが違うので、登場人物すべてに対してアクセントになる役だと思います。その異物感や歯車の噛み合わない様を見て頂けたらと思っています。

新原泰佑メインアー写

―演出の小山さんからのアドバイスはありましたか?
最初に小山さんがお話しされたのが「基本的にギリギリまでお芝居を固めないよ」と。僕は自分でお芝居を考えて持っていくことが多いのですが、小山さんは「何も考えないで自由にやろう」という方針で「一回、捨てようか」といつも話されます。
「こうしたらいいんじゃないかな」と思うものを一旦、全部取っ払って、新しいものをどんどん出していく。その中で出てきたものの中に「それいいかも」「その手はありかもね」というものを見つけるという演出の進め方です。
キャストへの「固めてしまわないで、あくまで、その空間を生きている人として舞台の上で立っていてほしい」というメッセージを感じて、表現としてもやり方としても「すごい!」と思って、思わず「ウォ!」って声が出たほど、僕には新鮮で革命的でした。

―まさに生モノの舞台、生きている新原さんを拝見できる舞台になりますね。
ホントに生だと思います!しかも、何度か観ると、台詞も変わっているように感じるんじゃないかと思います。それは俳優の言い回しが変わるのではなく、「その台詞、もしかしてこういう意味だったのかな?」と受け取り方が変わってくると思います。

―それは深い見どころポイントですね。お稽古も随分と進んでいると思いますが、お稽古場の雰囲気はいかがですか?
稽古が始まる前に、僕がよく相談をする先輩に「今度、KAATでやらせて頂くんですよ」と話したら、「KAATは、いろんな人がやってきていて吸収できることも多いから、その場の空気を感じたらいいよ」とアドバイスをもらっていたので、すごく楽しみに稽古初日を迎えました。稽古場が開放的ですごく好きです。僕が出ていないシーンの先輩方の稽古を見ていると「えっ、そういうこと、するんだ!」と、自分の中に無いものを見せて頂けたりするので、日々、先輩方のお芝居の攻め方や居方を参考にさせてもらい刺激的な稽古場です。先輩の言葉通りで「新たな何かが得られそうだな」とすごく感じています。

―勉強でもあり楽しみな毎日なのですね。
稽古場に向かっているときは「今日は何が起こるだろう」とワクワクもして、前日の反省も含めて「こうしてみたらよかったかも」と考えながら歩いてます。

―苦労もありながら、楽しく挑戦されている感じが伝わりました。では、当初のストレートプレイへの不安はなくなりましたね?
初めての試み故の自分の中の葛藤や、努力が必要なところはありますけれど、みなさんと直接お芝居できること、会話だけでしかもカメラを通さず生でやるお芝居を見せることへの楽しみをすごく感じています。

―共演のみなさんとも仲良くされていますか?
みなさんととっても仲良くさせて頂いています。でもお稽古になると、みなさん、切り替えが早くて、すごく情熱のあるお芝居をされるので、そのパワーをもらいながら、自分も稽古をさせていただいています。

―新原さんのこれからの夢や希望を教えて頂けますか?
俳優は自分以外の人間になることで、その人の心情をお借りしていろいろ考えなきゃいけないのですが、たくさんの役の人生を生きることは、役者にしかできない、本当に素敵なことだと思うので、これからも誰かになり続けていきたいです。僕は一癖あるような少し変わった役をやるのが好きなので、そんな役にもいろいろ挑戦していきたいと思います。

―いろんな役を演じることで新原さん自身も変わっていきますか?
はい。最近では、Huluのドラマ『鶴美さんのメリバ講座』で同性愛者の男の子を演じましたが、新しい感情を引き出してもらえて、役者であることが有難いと思えたので、今後も役者をやり続けていきたいです!

―最後に、『ラビット・ホール』を観に行こうか、まだ迷っている方もいらっしゃるとおもうので、本作のお薦めポイントとメッセージをお願いいたします。
『ラビット・ホール』は5人という少ないキャストが、日常を切り取ったような風景の中で、どこかでずれてしまった感情が交差していくような会話を繰り広げます。
誰にでも起こりえる、自分の身にも起こるかもしれないお話ですが、見れば見るほど、いろんな意味を持つ作品で、何かを感じ取って頂ける作品だと思います。
僕は最初に台本を読んだときに、家族の顔が思い浮かびました。ご覧になった後には、大切な人に連絡したくなる作品かなと思います。心に“ずしん”とくるかもしれないです。

ラビットホールチラシビジュアル表

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
「ラビット・ホール」
2022 年 2 月 23 日(水)~3 月 6 日(日)(2/18(金)~20(日)の公演は中止となりました)
KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
作:デヴィッド・リンゼイ=アベアー
上演台本:篠﨑絵里子
演出:小山ゆうな
出演:小島聖 田代万里生 占部房子 新原泰佑 木野花

■チケット料金(全席指定・税込)
一般:6,800 円 / 一般・平日夜割:6,000 円
U24 (24 歳以下):3,400 円 / U24・平日夜割:3,000 円
高校生以下割引:1,000 円
シルバー(満 65 歳以上):6,300 円 / シルバー・平日夜割:5,500 円
*U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・WEB にて 12 月 18 日より取り扱い(前売のみ、枚数限定、要証明書)
*車椅子でご来場の方は事前にチケットかながわにお問合せください。
*未就学児の入場はご遠慮ください。 *営利目的の転売禁止
公演 URL https://www.kaat.jp/d/rabbithole2022    企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場

兵庫公演
2022 年 3 月 12 日(土) 15 時開演、3 月 13 日(日) 13 時開演 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール