第10回市川森一脚本賞を受賞した加藤拓也が、俳優の橋本淳と組んでの最新作 舞台『もはやしずか』が本日初日を迎える。
昨日、初日前会見とゲネプロを行った。(ゲネプロ動画は4/17まで限定公開)
若手クリエイターの加藤拓也と存在感を確かなものにしている俳優・橋本淳が企画からタッグを組んで贈る舞台『もはやしずか』。
橋本はじめ、加藤と橋本が出演を提案した黒木華、安達祐実、平原テツ 他、という豪華なキャストで描かれるのは、日本のどこにでもいそうな一組の子供を持とうとしている夫婦のお話。だが、そこにある日常のリアルを淡々と描くことで生まれる重さが、そっと背中に覆いかぶさるようで、誰かにしゃべらずにはおられない作品となっている。
客席は舞台を挟んで二方向。
不妊に悩むも、家事を分担しながら、それなりに生活を楽しんでいるように見える康二(右 橋本淳)と妻の麻衣(左 黒木華)
実は妊娠の年齢的リミットを意識している麻衣の悩みは深かった。
だが、ついに妊娠!
妊娠を喜ぶ麻衣と妹(天野はな)は、幸せなひとときをすごす。
しかし産前診断で子供に障害がある可能性を指摘され、康二と麻衣の意見は分かれてしまう。
それは、康二にはかつて、障害を持つ弟がいて
父(平原テツ)と母(安達祐実)の苦労を見ていたからだった。
だが康二は多くを口にせず、抱えたままで…
ふたりの選択は?そして、その後は?そして、その後の後まで描かれる。
橋本&黒木演じる夫婦も、平原テツ&安達祐実演じる夫婦も、身につまされるほどに身近に感じるほどでありながら、加藤拓也作品がありきたりなはずがなく、伏線を回収しつつ、どんでん返しを、ブローをバンバン打ってくる。それが、またさらに現実を感じさせ、深さと重さをもって迫ってくる。
しかも、橋本によれば、それは表のテーマ。
「裏テーマとして、いろいろ書いてあるんだろうな」橋本淳『もはやしずか』インタビュー
そして、橋本の言うとおり、間違いなく「誰かにしゃべりたくなる作品」…しゃべらずにはおられない作品となっている。
今回は最後列のその後ろから観劇したが、小劇場なので俳優陣の熱が伝わる距離だった。まだ当日券もありとのこと。是非とも劇場で、今のリアルを深く深く体感して欲しい。
「もはやしずか」
【日程】2022 年 4 月 2 日(土)~17 日(日)
【会場】 シアタートラム
【作・演出】加藤拓也
【出演】
橋本淳 黒木華 / 藤谷理子 天野はな 上田遥 / 平原テツ 安達祐実
声の出演:松井周
【チケット料金】全席指定 \7,000(税込)