子役から活動を始め、数多くのドラマや映画に出演。大学時代には自らが出演・監督・脚本・編集を務めた短編映画『言葉のいらない愛』が第68回カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナーに入選。昨年は映画「ミュジコフィリア」で初主演…と目覚ましい活躍を続ける井之脇海が、5月4日(水・祝)から PARCO 劇場にて上演されるPARCO PRODUCE 2022『エレファント・ソング』で舞台初主演をつとめる。
その舞台について、井之脇海に話を聞いた。
『エレファント・ソング』は2002年にカナダの作家 ニコラス・ビヨンによって書かれ、オーストラリア、ロンドン、ニューヨーク、韓国など世界中で上演されてきた。また、2014年にはグザヴィエ・ドランが主演を務めて映画化もされた。
井之脇が演じるマイケルは、誰よりも愛情を渇望しながら、他人を籠絡しようとする“普通ではない青年”。
井之脇は「台本を読んだときに『この役は僕以外、誰にもやらせたくない』と、俳優になって初めて思いました」と役への熱い思いを語った。
「昨年、主演映画が公開になり、今年、この戯曲、マイケル役で主演を迎えられるのは、嬉しいと同時に、やっぱり挑戦になると思います」
「ここ数年『何が僕なりの芝居なのか』を模索してきました。映像の現場は長くてもワンカット、ワンシーンは5分くらいなので、一回演じたら素の自分に戻って思考を整理したりしますが、今回はステージに上がったら上演時間中、ずっと立ち続けなければいけない。そういった体験をすることによって僕の芝居にも、成長できる何かが見つかるのではないかという期待を込めての挑戦です」と語る。
“舞台体験での成長”を期待する気持ちは、3年前の舞台『CITY』があったからだと言う。
「『CITY』は普通の作品とは違う作り方の作品だと思います。その時の“今”を込めた作品で、台本が本番当日に出来上がるというのも貴重な経験でした。さらに、舞台の上で柳楽優弥さんから出てくるとてつもなく巨大なパワーみたいなものを受け取ることができたので、それに負けないように舞台に立つ感覚を持てたのは大きかったです」
以来、「舞台はこわい」という気持ちが無くなり、それが積極的に今作に取り組む気持ちにもつながっていると言う。
この作品の魅力については「愛されたいという欲求はほとんどの人が持っている欲求だと思いますが、それが叶わなかった青年が愛を探していくという普遍的なテーマは皆さんに響くと思います。日本に暮らしていると恵まれていることが多くて、僕たちが当たり前だと思っていることを見つめ直すことにもなると思います。広くいろいろな方に届くテーマだからこそ、多くの人に見てほしい」と呼び掛けた。
さらに「今は自分から出向かなくても楽しめるエンタメが増えていていますが、それらは後でも見ることができます。でも、舞台公演はその時しかない。生ものを見る経験は、その時しかできない経験です。チケットを買って劇場まで足を運ぶのは、大変な一歩だとも思いますが、ぜひ生で観てほしいです。画面越しに見ることに慣れている人ほど、舞台で体験するインパクトは大きいと思うので、生のパワーを浴びに来て欲しいです」
最後に「見どころを踏まえて、この取材記事の見出しを考えて頂きたい」とお願いをした。
「それは難しい!」と笑いながらも考えてくれたのは『一挙手一投足に意味がある舞台』。「これから稽古で作る部分ですが、お客様が一瞬も目が離せない舞台にしたい。そこは大事にしていきたいです」
一挙手一投足を見つめ続けることは、観客が見たいものを切り取ることができる舞台だからこそ。見逃せない作品になりそうだ。
PARCO PRODUCE 2022
「エレファント・ソング」
[作] ニコラス・ビヨン [翻訳] 吉原豊司 [演出] 宮田慶子
[出演] 井之脇海 寺脇康文 ほりすみこ
[東京公演] 2022年5月4日(水・祝)〜5月22日(日) PARCO劇場
[愛知公演] 2022年5月25日(水)刈谷市総合文化センター アイリス大ホール
[大阪公演] 2022年5月28日(土)COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
ヘアメイク/AMANO
スタリイスト/檜垣健太郎(tsujimanagement)
公式 HP https://stage.parco.jp/program/elephant
#舞台エレファントソング