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栗山民也演出、奈緒、風間俊介出演の舞台『恭しき娼婦』開幕しました!

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2022年6月4日(土)に紀伊國屋ホールにて、栗山民也演出、奈緒、風間俊介出演の舞台『恭しき娼婦(うやうやしきしょうふ)』が初日を迎えた。
開幕前にフォトコールと取材会が行われた。

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20世紀最大の哲学者にして、現代思想の巨人、ジャン=ポール・サルトルが1946年に発表した「恭しき娼婦」は、非情な世界における人間の“権利”、“尊厳”、そして、“自由”といった、いつの世も人類が向き合う問題に正面から取り組み、最も完成度が高いと評されている作品。

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舞台はアメリカ南部。冤罪を被せられて逃走する黒人青年をかくまう娼婦リズィー(奈緒)。だが、その街の権力者の息子であるフレッド(風間俊介)はリズィーに虚偽の証言をさせようと、その黒人青年と由緒ある家系の白人の男どちらを救うか選べと迫る。街全体で黒人が犯人と決めつける状況の中で、リズィーは決断を迫られる。

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奈緒の挨拶から取材会が始まった。

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奈緒:劇場入りしたのが2日前ですかね、ようやく劇場の空間にも慣れてきて、今日、こうして取材の皆様に入っていただいて、客席に人がたくさん座ってらっしゃってお芝居をするのはこういう感覚なんだなと新鮮な気持ちでフォトコールをさせて頂きました。お稽古を重ねてきたものと初日に新しいことに出会えるだなと、緊張はありますが楽しみに一生懸命やりたいと思います。

風間さんとはドラマの共演はありましたが一緒の場面は無く、打ち上げでお話をさせて頂いて「いつか一緒にお芝居をさせて頂ければ」とずっと思っていたので、こうやって二人でのお芝居が多い作品の中で濃厚な時間を過ごさせていただいて、風間さんには信頼しかありません。感情や言葉をぶつけるシーンがありますが、風間さんがフレッドとして立っていてくださるので、胸をお借りして思い切って飛び込もうという気持ちでご一緒させていただいています。

お稽古の中で栗山さんからも毎日「役の関係性に嘘をつかずに、稽古で毎日新しいものに出会って毎日違っていいんだ」というふうにお言葉を頂いて、私もシーンごとに挑戦をして、自分でもお芝居で使ったことのない声をつかったりしながら、日々が新鮮です。そこに入ってくる風間さんのお顔も「こんな風間さんは見たことがない。フレッドだ」と思う瞬間がたくさんありました。自分も挑戦はたくさんありますが、舞台上で生きるキャストのみなさんを、早くお客様に届けたい見てほしいと思うばかりです。

お芝居を始めた頃の「なんでも新しくて、なんでも楽しかったころ」に今、戻っている感じで、日々のお稽古が幸せでした。栗山さんから頂く言葉の一つひとつが染み入りますし、なによりも栗山さんがおっしゃった「台詞がないところで人は嘘をつけないんだ」というのが、お芝居をする上で大きい言葉を頂いたなと思っています。舞台上では全身を見て頂くことになるので、嘘をつかないリズィーとして舞台上にいられたらなと、その言葉を大事にしながら日々、立っています。

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風間俊介:稽古を重ねていく中で本当に素晴らしい作品・素晴らしい演出家の栗山さん、キャストの皆さん・スタッフの皆さん、そして劇場とすべてがそろっている状況で、あとはお客様に見て頂いて、お客様に見て頂いて心を動かしていただくのみと思っております。僕自身もこの作品に出合ってよかったと思える素晴らしい作品になっていると思います。ただただ一生懸命にやっていけたらと思っています。多くの人に見て頂きたいと思える作品になっています。

僕も(奈緒さんに)信頼以外の何ものでもないので、お互いにそう思っているのなら有り難いことだなと思いました。すごく柔らかくて素敵な笑顔の印象が強くて、でも当たり前のことですがリズィーという役を通して奈緒ちゃんを見ると、今まで持っていた奈緒ちゃんの像が微塵もなくて、むき出しの感情でそこにいるリズィーがいるというのが、惚れ惚れするというか、こちらの背筋も伸びて風間俊介としてでなく役としての時間をしっかり作らないと…と改めて背筋が伸びる思いです。

人間は一色じゃないというか、状況によって変わってくるものだと思うんです。僕自身もそうだし、役もそうだと思うし。だからちょっと悪い顔やピュアな顔が混在していて当たり前なんですけれど、わかりやすく見せようとすると栗山さんが「人間というのは、瞬間瞬間でパワーバランスも変わっていくんだ」とおっしゃってくれて。当たり前のことにちゃんと向き合う時間を栗山さんにいただけたなと。栗山さんという演出家は、本当にすごいんです。続けていく中で、いろんな悩みみたいなものが積もっていくのですが、栗山さんと出会ってそれが一つひとつ紐解かれていく時間でした。

栗山さんの自分への言葉でないときも、みんながメモっているという本当にたくさん(印象に残った言葉が)あるんですが、「茫然としている、自分を失っている(演技の)ときは、そのまま自分を失って歩けばいいんだよ」と栗山さんはおっしゃるのですが、自分を失っている自分を見せようみたいな自我みたいなものが介入した瞬間に「そういう風に歩こうというのが見えます」と言ってくださるので、ただただ役としてそこにいることの大事さを、今こうして言っていますが、まだまだ日々成長だなと思います。

あとは稽古中に奈緒ちゃんが小さなカレーパンみたいなものをムシャムシャ食べだして、栗山さんが「どうしたの、カレーパン食べだして」と言ったら、奈緒ちゃんが「これ、カレーパンじゃなくてフィナンシェです」と言ったやりとりがすごく記憶に残っています。(笑)

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『恭しき娼婦』
【作】ジャン=ポール・サルトル 【翻訳】岩切正一郎 【演出】栗山民也
【出演】奈緒 風間俊介
野坂弘 椎名一浩 小谷俊輔 金子由之

【東京公演】2022年6月4日(土)~19日(日) 紀伊國屋ホール
【兵庫公演】2022年6月25日(土)~26日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【愛知公演】2022年6月30日(木) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール