6月8日(水)~12日(日)東京建物 Brillia HALLにて、スペクタクルリーディング『バイオーム』が上演される。初日前日の6月7日(火)に公開ゲネプロが行われた。Astage撮影の写真と動画でお伝えする。
本作は、宝塚歌劇団で心に残る数々の名作を手掛けてきた上田久美子による書下ろし戯曲を「麒麟がくる」「精霊の守り人」を手掛けた一色隆司が演出し、中村勘九郎 花總まり 古川雄大 野添義弘 安藤聖 成河 麻実れいという豪華キャストで上演する。朗読劇と紹介されてきたが、本を手にしない全くの演劇シーンも多く、朗読劇だということを忘れてしまう熱量にあふれた演技に圧倒された。映像と音楽と、そしてキャストたちのコーラスも贅沢で、間違いなく「見たことがない作品」となっていた。
チケットが入手難となった作品だが、6月11日(土)17時公演は3日間のアーカイブ付きのライブ配信が決まっている。
【ゲネプロ】7人のキャストはそれぞれ2役を演じる。中村勘九郎だけが人間を2役、他の6名は人間と植物の2役。人間の世界と、それを取り巻くように見つめて生きる植物たちの世界が、物語を織りなす。それぞれの2役の落差にも注目だ。
物語の舞台は、代々政治家を輩出してきた家の、森のような庭。
中村勘九郎は木をよりどころにする、8歳の男の子ルイと、少し冷静な8歳の女の子ケイの2役。ルイは夜中にベットを抜け出し、森のクロマツのところでフクロウの声を聴きに来て、そのまま寝てしまうという、独特の世界をもっていた。
一人で2役、それも子供を演じると聞いた時には、どうなるのか、想像もつかなかったが、幕が開き登場してきた瞬間、それが勘九郎だとすぐにわからないほど。勘九郎の役者としての底力を見せつけられた。勘九郎は「稽古を進めていくうちに作品がどんどん進化していき、ついていくのが大変でした(笑)」とコメントしている。スペクタクルリーディング『バイオーム』中村勘九郎インタビュー
ルイを心配しながらも、ルイの母(花總まり)と婿養子の父(成河)は、それぞれ問題を抱えていた。
植物の役ではクロマツの芽を演じた花總まり。「2週間余りのお稽古期間はアッという間に過ぎて、初日は目の前。まだ迷いや不安との闘い中ですが、今までに経験したことのない2つの対照的な役に全力で立ち向かっております」とコメント。
古川雄大はこの家の庭師の3代目・野口を演じ、植物の役では一重の薔薇。物語を大転換させる役を担う。「稽古の一瞬一瞬がとても刺激的で、あっという間に過ぎていきました」とコメント。
植物の役は若い木・セコイア役を演じた成河。時間が経てば100mもの大木になるというセコイアはアメリカからきた木。人間役との設定につながりを感じる。
成河は「試演として朗読劇からは随分とはみ出して欲ばったものになっていると思います。3週間あるんだったら覚えませんか、などと焚き付けてしまった責任の一端を感じつつ、これは吉とでるか凶とでるか、ドキドキしております」とコメントしている。
ルイの祖父(野添義弘)は一族の長としてルイに厳しい目をむける。野添のもう一役は、クロマツの盆栽。難しい役柄を楽しく見せてくれる。「これぞスペクタクルリーディングです。皆様同様、私も初めての体験です、ドキドキワクワクしながら演じたいと思います。皆様もスペクタクルリーディングの世界にドップリと浸かって下さい」とコメントを寄せた。
右)ルイの母・怜子の傾倒する花療法士と竜胆を演じる安藤聖。「経験したことも目撃したこともない朗読劇に仕上がっています」とコメント。
昔から働いている家政婦であり、ばあやのふき(麻実れい)。麻実は森の神木ともいえる大きなクロマツ役でも不思議なエネルギーを放つ。「頂いた本に初めて目を通した時、私にはとても難解な作品と感じましたが読み込んでいくうちに、ふきと植物たちを通して、生きていく強さと暖かさが私の中に広がり始めました。この気持ちを最後まで育み、皆さまにお渡しできたらと願っています」とコメントをくれた。
スペクタクルリーディング『バイオーム』
◇日程:2022年6月8日(水)~ 12日(日)
◇会場:東京建物Brillia HALL
◇出演:
中村勘九郎 / 花總まり 古川雄大 / 野添義弘 安藤聖 / 成河 / 麻実れい
◇スタッフ:
作:上田久美子
演出:一色隆司
企画・制作:梅田芸術劇場
主催:梅田芸術劇場
制作協力:NHKエンタープライズ
◇公式WEBサイト:https://www.umegei.com/biome/
◇Twitterアカウント:BIOME_UMEGEI