6月25日(土)より東京・世田谷パブリックシアターにて、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作、河原雅彦演出、古川雄輝主演による舞台『室温~夜の音楽~』が開幕する。初日を控えて、取材会と公開ゲネプロが行われた。
ゲネプロでは、ホラーコメディと銘打たれている本作が、予想以上にミステリーでサイコでサイケで、しかも笑いがあふれこぼれ落ちる作品であることに魅了された。瞬きするのも惜しい一幕60分、二幕70分(休憩20分)だった。
公演は7月10日(日)まで世田谷パブリックシアターにて、7月22日(金)~24日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。
【ゲネプロ】実際にあったコンクリート殺人事件をモチーフに、元々は たま の音楽でKERAが生んだ作品を、今回、河原雅彦が在日ファンクに音楽を依頼。オープニングから在日ファンクが、“がっつん”と聞かせてくれる。
物語の舞台は、寂れた漁村のある家。かつて美人の双子とその両親が暮らしていたのだが、妹が事件で亡くなり
今はホラー小説家の父(右 堀部圭亮)と姉(左 平野綾)が暮らしていた。今日は妹の13回忌。その家には何故か警官(中 坪倉由幸)がいつも入り浸っていた。
そこに、父親の小説のファン(中央 長井短)が訪れ
通りかかりの体調を崩したタクシー運転手(中央 浜野謙太)が休ませてほしいとやってきていた。
さらには、妹を殺した犯人の1人(中央 古川雄輝)もやってきた。
それぞれが曰くありげで、秘密がありそうで…
それに不思議な人や事件が続いて…
ライブで幕開け、物語といえば、昔話から現在、そしてその先へと、伏線が張り巡らされていそうなミステリー。でも、始まりからあまりにもホラーで、しかも噴き出さずにはいられない笑いがちりばめられ、人間の性や悲しさが見え隠れする。この結末はどう転び、どう落ちるのか?!
さすがのKERA作品であり、俳優たちの思わぬ表情に驚かされて、河原雅彦演出の醍醐味も存分に味わえる。そして、最初から最後まで、随所で登場する在日ファンク面々の演奏する表情も楽しげで、その音楽も満喫できます!
【取材会】
河原雅彦 コメント
21年前に初演を拝見してからずっと頭の片隅に残っていた作品に、こうして素晴らしい俳優さんたちを迎えられました。音楽も“この人たちが引き受けてくれなかったら上演はできない”と思っていた在日ファンクさんが、浜野さんに至っては役者とボーカリストを兼ねながらバンドまるごと参加してくださり、実現できてとても嬉しいです。個性的でオリジナリティあふれる舞台になると感じています。
古川雄輝 コメント
以前に出演した舞台(『イニシュマン島のビリー』2016年)の劇場がこの世田谷パブリックシアターだったので、劇場に入った時にとても懐かしさを感じました。また、3年振りに舞台上からの景色をみて、ワクワク感と緊張もあります。とにかく早く、たくさんのお客さんに楽しんで観ていただきたいと思っています。
河原さんも仰っていましたが、ケラさんの台本は人間の二面性を描いているので、自分の役も、誰とお芝居しているかで性格やお芝居のテイストが変わるような役柄になっています。在日ファンクさんの音楽もとてもかっこよくて、好きな曲が流れると思わずノリたくなるんですが、舞台上でじっと我慢していなければならないので、たまにチラ見しています(笑)。
ホラーコメディというジャンルなので、怖さと思わずクスっと笑ってしまう面白さの両面を劇場で楽しんでいただきたいです。
平野綾 コメント
最近はミュージカルに多く出演させていただいて、ストレートプレイは3年振りになるのですが、稽古の取り組み方が違っていてとても新鮮な気持ちでした。今回私が演じているキオリという役は、かなり感情の振り幅が大きく、感情を露わにするシーンもあるので、どういう声を出したらよりお客さんに効果的に届くのかなど表現を模索しながら演じています。また、この作品はミュージカルではありませんが、これだけふんだんに音楽を使っている作品に今まで出会ったことがないので、新しいジャンルが生まれている瞬間に立ち会えている気がして嬉しいです。きっと観てくださるお客様にもそれを感じていただけると思います。
浜野謙太 コメント
思ったよりもあっちこっちで出番があるので“またあいつ出てるよ…”と、うざく思われないように演じています(笑)演出の河原さんには“ハマケンくんが下で出てきて、また早着替えして上に出てきて、また下から出てきて…その変わり目が面白いよ”と言われました。また、舞台上での在日ファンクの見せ方もすごく派手で、映像が激しく歌詞がでてきたりもするのでメンバーも楽しんでいます。ぜひ観に来てください。
舞台『室温~夜の音楽~』
作:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:河原雅彦
音楽・演奏:在日ファンク
出演:古川雄輝 平野綾 坪倉由幸(我が家) 浜野謙太 長井短 堀部圭亮 他
【東京公演】2022年6月25日(土)~7月10日(日) 世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2022年7月22日(金)~24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール