東啓介 有澤樟太郎
1960年代に♪Sherryをはじめとする全米No.1ヒット曲を次々と生み出したザ・フォー・シーズンズ(The Four Seasons)。その誕生から栄光、そしてその悲哀までも描いたミュージカル「ジャージー・ボーイズ」が、10月から日生劇場を皮切りに全国で上演される。
2016年の日本初演では演劇賞を総なめにした本作。2018年は全国ツアーを行い、2020年7月,8月公演は、新型コロナウイルス感染の拡大のために全公演中止となるも、世界初となるコンサートバージョン(「ジャージー・ボーイズ イン コンサート」)を上演。絶大なる人気を獲得し続けてきた。
この10月からはフランキー・ヴァリ役に日本人で2人目となる花村想太(Da-iCE)を迎え、チーム BLACK とチーム GREENという2チームで上演。さらなる進化を遂げる。
今回は、ザ・フォー・シーズンズの最年少メンバーで、キーボード・作曲を担当するボブ・ゴーディオ役を演じる東啓介、有澤樟太郎に話を聞いた。(東啓介は2020年にキャスティングされコンサートバージョンに出演。有澤樟太郎は今回、初出演となる)
―ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」の印象、ボブ・ゴーディオ役での出演が決まった時の感想をお聞かせください。
有澤樟太郎(以下 有澤):ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』は、このお仕事をさせて頂く前に映画を見て知りました。華やかなミュージカルという印象があり、すごく憧れていた作品なので、その作品に携われるのは、とても嬉しいです。ボブ・ゴーディオさんは、天才気質でプロデュース能力もある、とても多才な人物だと思います。その役を演じるのはプレッシャーも感じますが、楽しみたいなと思っています。
―作品に憧れを持っていたとのことですが、「自分がやるなら、ボブだな」という感じはありましたか?
有澤:いえ、映画は見ていましたが、詳しいことは知らなくて、ボブ・ゴーディオさんが背の高い方だということも知らなかったので、ザ・フォー・シーズンズのメンバーじゃなくて他の役かなと思っていました。ザ・フォー・シーズンズのひとりに決まるとは思ってなかったので、よかったです!
東啓介(以下 東):2020年に出演が決まった時は本当に嬉しかったです。以前に本作を観劇していたので、この作品に携われることが本当にうれしくて、プレッシャーを感じつつ稽古に挑みました。(2020年はミュージカルとしての上演はコロナ禍のために中止になりましたが)結果的にコンサートバージョンとして上演できたことは、本当によかったです。今回は本公演ができるということで、前回できなかったときの思いも重ねて、改めて気を引き締めて頑張りたいと思っております。
―この作品がこれほど世界中で愛される理由をどう考えておられますか?
東:ボブ・ゴーディオの「僕らを押し上げてくれたのは一般大衆だ」という意味のセリフがありますが「みんなが支持してくれたから、みんながいるから、自分たちがいるんだ」ということを、ちゃんとザ・フォー・シーズンズのメンバーも理解していたから、今でもなお愛され続けてるんじゃないかなと思います。
有澤:ザ・フォー・シーズンズは、曲がすごく有名で、ずっと受け継がれていますが、これがミュージカル『ジャージー・ボーイズ』になったことで、ニュージャージー州から成り上がったザ・フォー・シーズンズの男たちの物語・彼らの生き様も広まり受け継がれた。彼らの音楽の魅力も大きいですけれど、彼らの物語もすごく魅力的だから、愛され続けているのだと思います。
―今回はフランキー役がふたりになって、2チーム制になるのが新しい点だと思いますが、それぞれのチームの現時点での推しポイントがあれば聞かせて頂けないでしょうか?
東:チーム BLACKは2020年のコンサートバージョンからメンバーは変わらず、その時からすごくチーム感があって、自然と役割が出来ている。公演でも4人の素と役が合体した姿が出るんじゃないかなと思っています。マサ(藤岡正明)さんがすごく引っ張ってくださるし、アッキー(中川晃教)さんはこの作品を一番理解していらっしゃると思うので、そこで色々お話を聞いたりして、このチームとしての色をもっと濃く強くしていきたいなと思っています。
有澤:チーム GREENは本当に個性あふれる、粒ぞろいのメンバーだと思います。違うフィールドからの方が多く、撮影の時にお会いしただけで、まだどうなるのか分からないんですが、その読めない感じがチーム GREENの魅力だと思います。今までにこの作品をご覧になったことがある方も、これから観劇しようという方も、たくさんの方が「どういうチームになるのだろう?」と思っておられるのではないかと思います。チーム BLACKがコンサートバージョンもやっていて、自然体で出来上がっているのに対して、チームGREENがいい刺激になって相乗効果が生まれるといいなと思います。新しく参加する僕としてはありがたいことに、みなさんが「新しいものを作っていこう」という姿勢で望んでくださってるので、僕も心おきなく何の遠慮もなく役に集中して頑張っていきたい、新しく作っていきたいと思います。
東啓介
―東さんと有澤さんが同じ作品に出演なさるのは、今回が初めてかと思いますが、お互いの印象やお話しされた事があったら教えてください。
東:以前にも何度か会った時はあるんですが、それからかなり時間が経っていたので、今回、最初に歌稽古で会った時には緊張しちゃいました。「あ、敬語しゃべってるな」と自分で思いながらも敬語が抜けないなと(笑)。 嬉しさと共に緊張があって、早く歌声を聞いてみたいなと思いましたが、僕が積極的過ぎても、逆に歌稽古前に緊張させないかなとか、勝手にソワソワしていました。
有澤:(その話を驚いたような表情で聞き)僕もデビューしたての頃は同い年(1995年生まれ)の俳優が少なかったので、その時から結構意識していました。すぐ主役をされて、ミュージカルや映像作品に出演されて、本当に多才で歌もうまいし、いろんな趣味もあって「すごいな」という目で見ていたので、共演を夢見ていました。今回、同じ作品に出演できるということで、めちゃくちゃ嬉しいですし、とんちゃん(東)からもいろいろアドバイスもらいたいし、いろんな話しをしたい。すでに歌を聴いて「すごいなぁ」と思っています。しかも同じ役なので、一緒になって戦っていかないといけないので、分かち合いたいなと思ってます。
―今日は撮影があったと伺いましたが、エピソードがあれば教えてください。
東:撮影の前に歌稽古があって「チームによってパートが違うんだね」とか、話しましたね。
有澤:(笑いつつ)自分で言うのもなんですが、僕も身長184㎝で大きい方ですが、とんちゃんはもっとデカいので、近くで撮影していて「普通じゃない」「客観的に見てもすごいことだ」と思いました。そういうところも楽しみにしてもらえればと思います。
―歌稽古があったとのことですが、今、歌の面で自分に課題があると思っているとしたらどんなところでしょうか?
東:もう全部です。今回の歌い方は特殊で、いろんな声質を使い分けないといけないので、体に馴染むまで大変です。それをやったら絶対うまくなると思いますが、僕はずっと「あ~、もうダメダメ!」と思いながら稽古してました。でも樟太郎くんはすでにパートもちゃんと覚えていて、ハモリに流されてなくて「ホントすごい!」と思いました。
有澤:いえいえ、周りの声を聴いてしまうと惑わされてしまうので、本番でやっとちゃんと聞けるようになるかなと感じている段階です。でも稽古でそれが求められていて、使ったことが無いような脳の部分を使っている気がして、歌稽古の後は頭も体もドッと疲れます。稽古が始まる前から「覚悟しておいたほうがいいよ」といろんな先輩からアドバイスはもらっていたんですけど、やってみると知らないことばかりで。でも全部吸収したいことなので、すごく楽しい。だから今日もとんちゃんと二人で…、二人での歌稽古はなかなか今後もできないだろうから、すごく貴重で…
東:すごく楽しかった!
有澤:はい、朝も早かったですけど、そんなの関係なし!めちゃくちゃ楽しかったです。
有澤樟太郎
―名曲揃いの本作ですが、お気に入りの曲やセリフがあったら教えてください。
東:今後、変わるかもしれないですが、♪My Eyes Adored Youが好きです。僕はコンサートバージョンに出演させてもらったんですけど、当時のいろいろな出来事と重なったりして、すごく思い入れのある曲です。他には、コンサートバージョンでは♪December(Oh,What A Night)だけが歌えなかったので、歌えるのがすごく楽しみです。
セリフでは、やっぱり最後のボブの「ああしたことは全て起こり得なかったはずだ、僕がいなければ」が好きです。「かっこよすぎだろ!」と思います。(笑)
有澤:♪Sherryなどは、自分ひとりで歌っているときはそうでもないんですけど、みんなと合わせた時に「この名曲を自分が歌ってるんだ」と、そこでまず感動しました。好きな曲は、最初のトミーの歌…
東:♪Silhouettes かな?
有澤:♪Silhouettes!すごく好きですね。セリフでは、♪Sherryの途中のセリフで「本当に成功しているんだって僕がわかったのは…親がビジネススクールの話をしなくなったから」。日本には無い言い回しだなと。
東:確かに!おしゃれだよね。
有澤:単純に売れたって気が付いたんじゃなくてね。その他にもいっぱいありますけど。
―本作を愛して止まないファンの皆さんへ、メッセージをお願い致します。
東:本当にいろんな方に愛されている作品で、熱狂的なファンも多いので、そういう意味での怖さはすごくありますし、比較もされるのだろうと思うのですが、見に来てくださる皆様には純粋に音楽を楽しんでほしいです。夢や目標がある方にはこの作品を見て、その夢を追いかけ続けて欲しい。初演から見てくださっている方には、チーム BLACK とチーム GREEN、どちらがいいとかではなくて、両方のチームの色を愛していただきたいって思いますし、初めて観る方には存分に楽曲と物語の素晴らしさを楽しんでいただきたい。そのために、僕らは一生懸命頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
有澤:僕の周りの『ジャージー・ボーイズ』を観たことある方は「ものすごく面白かった」と、心に残っている作品になってる。それはやっぱり、カンパニーの作り上げてきたものがあるからだと思うので、それを受け継ぐ気持と更に超えたいっていう気持ちと、いろいろ色々あります。ボブ・ゴーディオも途中から加入してきたメンバーで、僕も今回、初めて参加させて頂きますが、皆さんにとって更に印象に残る作品になればいいなと思います。「お手柔らかに」って感じじです。
東:わかる!
―「やってやるぞ!」と「お手柔らかに」という両方の気持ちなんですね?
東・有澤:もちろんです!(笑)
撮影:古熊美帆
ヘアメイク:東=谷口祐人(amber_be)/有澤=SHIO
スタイリスト: 東=青木紀一郎(ALVARO)/有澤= 山田安莉沙
ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』
日程: 2022年10月6日(木)~10月29日(土)
会場:日生劇場
脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎
出演:
チームBLACK チームGREEN
中川晃教 花村想太
藤岡正明 尾上右近
東 啓介 有澤樟太郎
大山真志 spi
大阪・新歌舞伎座 11月3日(木・祝)~6日(日)
福岡・博多座 11月10日(木)~13日(日)
愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 11月26日(土)~28日(日)
秋田・あきた芸術劇場ミルハス 12月3日(土) ~4日(日)
神奈川・横須賀芸術劇場 12月10日(土)~11日(日)
公演サイト https://www.tohostage.com/jersey/