2015年に脚本・演出 三谷幸喜、出演 草彅剛・香取慎吾の3人により初演された舞台『burst!〜危険なふたり~』が7年ぶりに再演される。10月1日に初日を迎えるに先立ち、9月30日に取材会とゲネプロが行われた。舞台写真に取材会のコメントを交えて紹介する。
本作は草彅剛と香取慎吾二人だけの芝居だが、顔を見合わすことない二人のやり取りが芝居になるという、世にも珍しい舞台作品。
三谷幸喜作品への出演は、本作の初演以来となる草彅剛と舞台『日本の歴史』(2021年)をはじめ多くの三谷作品に出演してきた香取慎吾が、三谷を挟んで取材会に登場した。
草彅剛 三谷幸喜 香取慎吾
7年前の本作初演時のスタッフジャンパーを着て登壇した三谷幸喜。「僕もこの作品が好きなので、このメンバーと早くやりたいなという願いを込めて、 7年前からずっと着ているジャンバーです。この夢がようやく叶ったと感無量な気分になってます」と挨拶。
警視庁警備部第三機動隊 根上大五郎役の草彅剛
草彅剛は「慎吾ちゃんとの2人芝居です。慎吾ちゃんは三谷さんと色々な作品で一緒の機会が多い感じなんですけど、僕は三谷さんとは、この作品でがっつりというか、面と向かって演出していただいた作品でして、7年前も楽しく公演を終えた記憶があります。また、こうやって再演っていうのは、やっぱり何か意味があることなんだなと思ってます。再演で完成することもたくさんあるので、今回は再演のいいところもありつつ、 また新たな発見もあるんじゃないかなと思って、明日からすごく楽しみにしてます」とよく通る声で挨拶した。
青木誠二役 香取慎吾
香取慎吾は「三谷さんと色々なお仕事いっぱいさせていただいて、いつも刺激的に経験したことのない時間を作ってくださるんですが、 今回もまた7年前の再演ということ。面白かったのが7年前の映像とか、その資料が一切残っていなくて、思い出しながら、思い出しながらでも思い出すだけじゃなく、 新しい要素をたくさん入れて、新しいと思ってやっていたら、これ7年前もやってましたね…みたいな発見もありながら、楽しい時間を過ごし、そしていよいよ明日から始まるということで、三谷さんの作品に出れることもそうなんですが、草彅剛という僕はとても好きな俳優さんなので、 一緒に取材できて、とても楽しいです。僕よりも舞台経験が多いので、昨日通した時にも始まる直前に『慎吾ちゃんよろしくね』とさらっとさらっと言われて、僕も『お願いします!』と、本気の雰囲気で。古くからの付き合いですけど、今改めてこうやって2人がぶつかり合えてる時間がとっても楽しいです」と和やかな笑いの起きる挨拶をした。
三谷は、この二人を“最強のふたり”と称した理由を「まず2人芝居はすごく難しくて、 多分このおふたりはそういうこと何も感じずにさらっとやってこられてるんだけども、僕からすると、よくこんなことができるなと思うんですよ。しかも、このお芝居って、普通の2人芝居ではなくて、2人しか舞台にはいないんだけど、2人が顔を合わせるのって、1回だけなんですよね。 あとは、ずっと2人とも違う方向を向いて喋ってる。こんなのってあんまりないし、これってものすごく実は演劇的に高度なことなんですよ」と話し「知らないでしょ」と二人に振ると、草彅が「そうだったんですか?!」と驚いた。三谷が「普通はできないです」と付け加えると草彅は「もっと早く言ってくれたら、自信持てたのに」とぼやいて笑いが起きた。
三谷が「普通の会話はやっぱり相手の顔を見て、呼吸を合わせないとできないことなんだけども、今回それがない。遠隔操作みたいな感じで、2人がよそを見ながら喋ってる。それで、なおかつ呼吸がぴったりあって、綿密な構成で、いい演劇的な空間が1時間30分続くわけで、そんなことって、まず普通の俳優さんはできない。できたとしても、ものすごく稽古しなきゃいけないと思うんですけど、それをさらっとやっちゃった2人って本当にすごい2人だなっていう風に思います」と続けると草彅が「嬉しいですね、やっぱりそんなに褒めていただいて」と素直に。香取は「うん、嬉しいんですけど、なんか自分で作った作品を褒めているような」と切り返した。
「プライベートでお酒を飲んだことのある俳優さんもほとんどいないんです」と言う三谷。仕事は一緒にすることが多いが、香取との距離が縮まらないことはよく知られているようだが「僕と草彅さんの関係はどんどん深まってます。稽古場から帰る時に、一緒に送ってもらったりとかね」と言えば、草彅も「おかしいですよね。慎吾ちゃんへ連絡する時、僕のところにかかってきて、慎吾ちゃんに連絡とってくれって言うんです」と笑いながら話した。
「1ヶ月後の自分を想像してほしい」と問われて草彅が「終わってしまうのは寂しいかな。なので、初日に僕はすごくワクワクしてて、もしかしたら今日が1番楽しいかななんて思ったりするんですよね。 うん、だから気が早いですけど、再々演をしたいな、そんな気持ちで終えるんじゃないでしょうか。」と言えば、「1ヶ月後、僕はやっと終わったと解放感でしょうね。やっぱり(舞台出演は)緊張するのね、日々緊張が1ヶ月も続くと思うと、緊張も楽しみながらなんだろうけど、もう再々演なんて言ってるのが信じられない」と香取。
香取が緊張するという言葉が信じられない様子の三谷と草彅だったが…。
香取は「台詞をまだ覚えてない。もうちょっとなんですかね、8割ぐらいは覚えられたんで。覚えてないから緊張している」と打ち明けると、草彅が「それは天才ですよね。明日初日で8割って、あと2割をここからどうやって巻き返すの?!」と突っ込んだが、初演で台詞を忘れてお客さんに「なんだっけ?」と聞いたのは草彅だったようだ。
「今回もなんかあるんじゃないですかね。ハプニングが 起きそうなシーンもあるので、本当にみんなで助け合いながら、どうにか最後までたどり着けたらなって思います。本当に毎日、瞬間瞬間ハラハラする舞台なので、本当に楽しみな舞台だと思います」と緊迫のドラマであることを明かした。
最後に三谷が「僕はとにかくこのお2人の大ファンで、この2人のための作品を作ることができたのは、すごく光栄に思っています。(上演時間が)1時間40分ありますけど、こんなに長く、生のこの2人を見ていられるチャンスって、あんまりないと思うんですよね。ずっと出てますから、すごい機会だと思うので存分に楽しんで味わっていただきたいと思っております」
草彅が「慎吾ちゃんとの30年以上の絆だったり、自分自身も分からないようなところで繋がってる気持ちだとか、大袈裟でもないんですけど、本当に2人の人生が交差して生み出されるというか、お互いの人生の全てをかけるというような素敵な舞台になればと思っています。来てくれる方には、幸せを持って帰ってもらいたいなと思ってますので、1ヶ月よろしくお願いします」と言えば、香取は「コロナ禍でエンターテイメントが形をどんどん変えていっている中で、お客さんに足を運んでもらって、1時間40分。必ず皆さんのいい思い出になる、ずっと忘れられない、楽しい時間だったり、ハラハラする時間だったり、そんな気分になる時間だと思うので、たっぷりその時間を楽しんでいただきたいと思います。僕はこの舞台に人生はかけていません」と話し、草彅が「ちゃんちゃん!」とオチをつけて取材会を終えた。
ゲネプロ後、二人は役柄ではなく草彅剛と香取慎吾として登場しフリートーク。会見では「台詞をまだ8割しか覚えてない」と言っていた香取だが、草彅から「初めて台本を離した」「完璧だった」と驚きをもって褒められていた。
そして、草彅のギター伴奏で歌も披露。ハラハラドキドキの芝居と和みのトーク&ソングという完璧な組み合わせのエンタメステージが完成した。本公演でも芝居の後に、素のふたりとして登場するようなので、お楽しみに。
『burst!~危険なふたり~』
日程:2022年10月1日(土)~26日(水)
会場:日本青年館ホール
脚本・演出:三谷幸喜
出演:草彅剛 香取慎吾
企画・製作:㈱CULEN
チケット料金:S席 12,500円(税込)/A席 7,500円(税込)
公式サイト:https://burst-2022.com/