2023 年 2 月 4 日(土)から 2 月 12 日(日)まで、東京・自由劇場にて秦建日子の書き下ろし舞台「トムラウシ」が上演される。
「HERO」や「ドラゴン桜」の脚本を手掛け、小説家デビュー作「推理小説」は「アンフェア」として連続ドラマ・映画化され大ヒット、小説家・劇作家・演出家・シナリオライターとして幅広く活躍する “秦建日子”が、サスペンス要素のあるストーリーを軸にしたストレートプレイに、《和太鼓の生演奏をフィーチャー》したエンターテイメント作品、舞台「トムラウシ」を書き下ろした。
描かれるのは、国による不当逮捕が横行している世界。ある日、ありえない理由で逮捕され、脱獄不可能といわれる雪山の牢獄「トムラウシ監獄」へと送られてしまう人気絶頂の国民的俳優、大和仁を主人公とする物語。
今回Astageにご登場いただくのは、作・演出を手掛ける秦建日子と、大和仁役を演じる石黒英雄。
お稽古中盤を迎えたおふたりに、本作への思いと見どころを伺いました。
石黒英雄
―題名の「トムラウシ」は北海道の山の名前だそうですね。
秦:「北海道を舞台にした作品を」と思った時に、学生時代に北海道が大好きでキャンプに行っていた思い出の場所であり、話の内容にしっくりくる地名でもあったので、実際の地名でやらせていただきました。
―作品のイメージとぴったりだったんですね。
秦:そうですね。トムラウシは地元の方々にとっては聖地であり、パワースポットであり、神々の遊ぶ庭という意味もある。漠然と「大事な何かを取り戻す話」をイメージしていたので、このタイトルがいいかなと思いました。
―今はお稽古も中盤で、昨日、台本も最後まで届いたそうですね。
秦:今回は、僕が初めましての役者さんが多かったので、役者さんたち全員と会う前に、最後までに一方的に書いてしまうのはつまらないなという気持ちがあったので、敢えてクライマックスのところだけは残して、その手前までの台本で稽古に入りました。皆さんのお芝居を拝見して、一緒に稽古をすることによって膨らんだものも入れて、最後まで書き上げました。結果的に正解だったのではないかなと思ってます。
―では、クライマックスには当て書き要素もありますね。石黒さん、お稽古はいかがですか?
石黒:がっつりと秦さんとお仕事でご一緒するのは初めてでしたので、どんなお稽古かなと思っていました。秦さんとよくご一緒されている“秦組”の皆さんが、非常に完成された素晴らしい方々ばかりで、限られた稽古時間の中で効率的に進むので、僕は座長とはいうものの、頼ってばかりで申し訳ないと日々反省しつつ甘えちゃっています。毎日、皆さんをすごいなと思いながら、自分の芝居がまだまだなので、ブラッシュアップしていきたいなと思っているところです。
―お稽古の前におふたりで話し合われたことなど、ありますか?
石黒:僕は固定した概念を持ってお稽古に入ると、何かを言われても出来なくなってしまうので、何も考えずにお稽古に入って、まず一回見てもらって、何かあれば変えていくスタイルです。皆さんにはご迷惑をおかけしているかもしれませんが、今回も傲慢だったり、あるいは優しくやったりと、どこがフィットするのだろうかと、いろいろやっています。やはり地の力は必要だと思うので、それも含めてフラットな気持ちで柔軟にやっていきたいと思っています。
秦:石黒さんに限らず、僕も役者さんたちと事前に役柄についての打ち合わせはせず、台本にも最低限の動き以上の書き込みはしていません。まず序盤は役者さん自身が「こういうキャラクターでやりたいんだ」「こういうテンションでやりたいんだ」というのを拝見するというスタンスです。ある程度まで稽古が進んでくれば、役者さん同士や、相手役と何回も会話をすることで、自然と整理されていく部分もあって、そういうことが大事だと思っているので、そのあたりを信じて、今回もしばらく静かにしていました。
ちょうど今日(取材は1月中旬)から大きい稽古場に移って本番に近いセットも出来上がるので、ここから稽古は後半。セカンドギアが入る感じかなと思っております。
石黒:以前、秦さんとは食事をご一緒したことがあったので、その時の秦さんが僕の知っていた秦さんで、お人柄も含めて好きな方だと思っていましたが、稽古場で気を使ってくださっている様子を見て「まだまだ、これからだな」と思っていました。(笑)
秦:石黒くんは「自分のやり方はこうです」というのがはっきりあったので「一緒に稽古していきやすいな」という第一印象でした。そして、僕は役者をやったことないので想像ですけれど、スーパースターの役は普通は嫌だろうと思いますが、石黒くんは稽古の初日から堂々とスーパースターの雰囲気だったので、素晴らしいと思いましたね。
石黒:僕は仁王立ちしてるだけで…、そう思って頂けるなら有難いです。(笑)
―脚本を拝見しました。サスペンス作品だと思いますが、コメディの要素も大事になってくるのでしょうか?
石黒:あります!ホントに皆さんが面白くて、僕自身もリアクションも含めて、これから考えていきたいなと思っているところです。脚本だけ読んでいるときには「ここ、どうなるの?」と思っていたシーンも、秦さんの演出で「なるほど!」となるところがすごく多い。“舞台演出の妙”というか、“トリック”と言いますか、稽古場に来て「うわぁ、すごい!」「面白い!」と思うことが多い。それを限られた時間と場所で作っていて、驚きましたね。
秦:ありがとうございます!(笑)
―すごく楽しみです!もう1つのポイントが和太鼓。もう使っておられますか?
秦:初めは「最後のここぞというところで叩こう」と打ち合わせていたんですけれど、稽古中に「ここでも叩こう」「君も叩こう」と叩くシーンも人もどんどん増えてきました。(笑)
石黒:気持ちいいんですよ。芝居に合わせて太鼓の音が乗ると、ちょっと温度の高い場面が生まれる。太鼓だからこそ生まれる温度と言いますか、それに合わせて、僕らの熱も上がる。軽くたたけば軽妙な「ポン」という音になって、そこに台詞をのせると、シーンが変わるんです。
秦:稽古が1ヶ月あるので、そういう変化ができるのが映像とは違う舞台作品の強みかなと思います。太鼓指導の先生や、叩かない予定だったのに急に叩くことになった人は大変だと思いますけどね。
―楽しい要素も多そうで、楽しみです。では、最後に作品としてのと、石黒さんご自身についてと、それぞれの見どころを教えてください。
石黒:トムラウシという雪山でのお話で、見た目は冷たいのですけれど、本当に熱い芝居が繰り広げられます。そのギャップが、この舞台ならではの魅力ではないかと、僕は感じています。演じていて、すごく楽しいですし「役者やってよかったな」と感じる日々を送っています。
自分の見どころは…わからないです。(笑)堂々と立っていますので、見てください!僕は逃げも隠れもしないです。
―秦さんにも、作品の見どころ、石黒さんの見どころを教えて頂きたいです。
秦:エンターテイメントの舞台作品です。ラストシーンは、皆さんが予想してるのとは、かなり違うところへ飛んでいっている気がします。僕もちょっと裏切りも入れたいし、驚いても欲しいと思っているので「これがラストシーンになるんだ!」というところを目撃してもらえたら嬉しいなと思ってます。
石黒くんに関しては、繰り返しになりますけど、スーパースター役なので、そこでちょっと変に力が入ったり、照れたりすると、作品的に難しいところが多いのですが、初めから腹を括って堂々と中心に立ってくれているので、本当にありがたいです。そういう彼の姿をファンの方々には見に来てもらえたら嬉しいです。
演劇は、劇場で生で見るのが最上だと思うので、ぜひ劇場に足をお運び頂きたいです。
石黒:騙されたと思って観に来てください!
「トムラウシ」
【公演日時】2023 年 2 月 4 日(土)~2 月 12 日(日) 全 12 公演
【会場】 自由劇場(東京都港区海岸 1-10-53)
【チケット料金】・特典付き:12,800 円(税込) ● ショルダーポーチ(A 公演:ネイビー / B 公演:ブラウン) ● クリアファイル(A5)
・全席指定:9,800 円※特典付きチケットと全席指定席チケットは、座席の優劣はございません。
【出演者】
石黒英雄
金子昇、日向野祥、田中稔彦、市川慶一郎(9bic)
大湖せしる、伊藤純奈、山口真帆
武智健二、山本康平、田中しげ美、平山佳延、杉江優篤
石井真司、吉田晃太郎、池田彰夫、及川崇治、赤石ノブ、阿佐美 貴士、塩出純子、土肥麻衣子
細貝圭
【A】角田信朗、【B】宮迫博之(W キャスト)
【日替わりゲスト】
2 月 4 日(土) 13:00/18:00 白金倫太郎(7m!n)
2 月 5 日(日) 13:00/18:00 小出恵介
2 月 6 日(月) 14:00 小出恵介
2 月 8 日(水) 14:00/19:00 相馬トランジスタ
2 月 9 日(木) 19:00 瀬戸啓太
2 月 10 日(金)19:00 瀬戸啓太
2 月 11 日(土・祝)13:00/18:00 四季涼雅(9bic)
2 月 12 日(日)14:00 八戸 亮
【スタッフ】
脚本:秦建日子・最上奈緒子
演出:秦建日子
企画:苅羽 悠(Ask)
主催・製作:Ask/サンライズプロモーション東京
【公式サイト】http://askcoltd.com/tomuraushi-stage/
【公式 Twitter】@tomuraush